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中華 状元への道

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2007年 11月 25日

ウイグル

龍の仮面(ペルソナ)
佐々木 敏 / / 徳間書店

この著者の書いた「ラスコーリ二コフの日」という本が面白いとどこかに書いてありまして
ちょっと検索してみると、中国ネタのこの本も書いているとのことで
amazonの古本販売で買いました。すごく安く売ってて送料のほうが高かったです。

ウイグル出身の将校がCIAのバックアップで中国の権力を握るお話。
主人公はその将校と美人スパイ。この美人スパイは整形で将校好みの顔にされ送りこまれる。
こうした紹介を読むと現実味がなくて読む気がなくなるのですが物はためしということでトライ。

時代は現代。2002年に発行されて2006年までに起こることを小説にしています。
つまり北京五輪にいたる間の国際情勢を書いてます。

この著者はなんでも予言(予測)がよくあたるそうで
アカシックレコードというメールマガジンも人気だそうです。

でもあまりにも現代に近い未来を書くのは度胸がいります。
すぐ結果が出てしまいますから。

この小説に出てくることは少なくとも今現在は起こっていませんが
起こる要素は中国の置かれる環境に内包されているのでしょう。

ストーリーはともかく現状の政治の状況分析なんかは結構面白かった。
新疆ウイグル自治区をふくむ内陸は新疆,西藏,兰州とあわせて新西兰(ニュージーランドの中国語)とよばれ辺鄙なところの象徴として差別されているという。

発展から取り残され、円借款なんかもまった回っていかないと。

古くは紅衛兵が大量に押し寄せ、文化財を破壊しつくしたとか。

今は西部開発とかいって大量の金が流れ込みますが
これも漢族が主導で使ってしまうとのこと。

少数民族保護政策なんかも大量移住した漢族が
戸籍名をウイグル名に偽装して補助金もらったりしてるそうです。
これなんかはありそうな話、規制が多いと許認可が生まれ汚職が生まれる。
役人に金だせば戸籍くらいは思いの通り。

まあこうしたことが真実はどうかしりませんけど
漢族都市住民はウイグル地区に対する差別感情があることは確かでしょう。

私が北京にいたときも
若い女性の先生が言いました。
外地人には気をつけたほうがよい。
特にウイグル出身者は強盗が多いから危ない。
私も取られそうになったことがあると。

この先生は両親ともに大学教授で両家のご子息で学もあるのですが
こういう発言を簡単にするのです。

そもそも新疆ウイグル自治区って名称自体なんか差別の語感があります。
新疆ってのは新しい領土ってことですから。

でも今となっては資源がたっぷり埋まってますから放しませんよー。

この小説こうした背景を読むのは面白いのですが
中国を描いていながら中国の匂い、雰囲気を全く感じない不思議なものでした。

以上

by zhuangyuan | 2007-11-25 17:01 | 中国関連DVD、本


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