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中華 状元への道

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2007年 11月 10日

ファスト風土

ファスト風土化する日本―郊外化とその病理 (新書y)
三浦 展 / / 洋泉社

前に本屋で見たときには帯にこうありました。
「犯罪現場の近くにはなぜかジャスコがある」
こんなショッキングなこと大きく出していいのかな、さすがにやばいだろと
思いつつもかなりインパクトがあり印象に残っていました。

買ってからも暗い本なので何度も中断しつつも先日読み終えました。

地方都市の風景が均一化して「ファスト風土化」して、コミュニティを破壊し犯罪を増加させているとのこと。
確かにこのどこに入っても同じ風景の郊外の国道沿いってのはほんと嫌になります。
量販店、パチンコ屋、車のディーラー、ファミレスetc 全国チェーンのものばかり。
最近はサラ金無人店舗も増えました。

著者曰く
この郊外の住民は同時期に開発された住宅地に住むため
年齢や家族構成が似通っており、競争が激しくなる。
特に子供の学歴が激しくなる。
またサラリーマンが多く、働く大人の姿が見えない。見本がない。
車でしか移動できないため子供は近所で遊ばないでショッピングセンターでの消費生活が中心になる。買い物かゲーム。そしてますます均一化していく。そんな均一化された無機質社会が全国どこへでも道路でつながって移動して行けるようになる。
そんな社会で育った子供たちは匿名性が高く、犯罪が増えるとのこと。

私は郊外化はともかく、この均一化した社会と平等主義が昨今の日本をだめにしたと考えてます。
戦後民主主義教育のなかで平等、平等と教えられ、皆に公平にチャンスがあると
言われてきましたが、その実、平等なんてあるわけはなく
皆、ばらばらな家庭環境で、財力も違うし、能力も違う。

それが平等なんだっていいつづけるから、いろんな結果に差異が出てきたときに
現実とのギャップに打ちのめされる。
なんでうちだけ?
なんで俺だけ?
なんでうちの子だけ?

そしてそんなのが積み重なって自分がこわれっちゃっったり
犯罪をおかしちゃったりするんじゃないでしょうか?

でも社会の資本が戦後確実に蓄えられていますので
いくら貧乏でも餓死するわけじゃなし、それなりに食えるし、テレビ見れるしも
パソコンも出来る。

それが逆に無気力を生むことになり社会は活力を失っていると思います。
格差社会がどうのって騒いでいますが
格差なんか最初からあるし、その格差を乗り越えてやるって気概が活力を生むんでしょう。
それが弱者を助け格差をなくし、平等平等、一億中流なんてのはナンセンスだと思います。

その点、中国の人たちは激動期の超格差社会に生きてますから
眼が違う。生きるのに必死です。

地域格差もすごいですから地方にも都市に負けるなって勢いが
ありますし、中央の言うことなんか聞いていられるかって意志がある。

日本も都市が先に発展しましたが、その後は地方への利益還元を
公共投資という形で行い、道路もいっぱい作って助けました。
でもその助けだいつの間にか利権になって腐っちゃった。
そして地方文化をうしなって中途半端なミニ東京ができて無機質な活力なしになった。
地方が取り残されたからお金ください。これって違うだろ。

中国も今、ものすごい勢いで道路が作られ、都市化の波が地方に行ってますが
30年後はどうなるんでしょうか?
日本よりはるかに大きいですし、中央の影響力が小さいですから
別の道をいって地方の魅力も残し、お互いが切磋琢磨する活力のある社会になってほしいものです。

以上

by zhuangyuan | 2007-11-10 22:06 | 学習


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