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中華 状元への道

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2007年 04月 15日

バングラデシュで死ぬかと思った 

8日間の出張から今朝戻った。
UAE、Bangladesh、Singaporeとまわったのだが
バングラデシュ国内の飛行機でさんざんな目に会った。

その日は夜中のフライトでドバイからダッカに入った。朝8時半に着くのですが機中でほとんど寝れなかった。

というのも真っ暗な機内で多く人がうろついているのだ。私も寝るのをあきらめ、シートを起こすとバングラ人のおっちゃんがパスポートをこちらに寄こしなんか言ってる。どうやら字がかけないらしく入国カードを書いてほしいということらしい。でもベンガル語なんで何を言っているか全然わからない。

困惑してると隣のビジネスマン風のバングラ人が俺が書いてやると言いすべて書いてあげた。するとさっきからうろついていた人たちが続々とこちらへやってきて彼にパスポートを渡し出した。

5,6人分書いたくらいで彼も困って、トイレに逃げていった。字もかけない人が多数中東に出稼ぎに出かけているのでだ。身なりがそれなりだったのは故郷に凱旋するかっこだったからなのだろう。

到着が30分遅れ、荷物を待っていると全然自分のバッグが出てこない。というのもあの出稼ぎの人たちの荷物が異常に多い。一人ひとりがすごい量持ってるのだ。

でそこで45分ロス。
国内便への乗り継ぎが迫っている。少しはらはらしたのだが運よく国内便も遅れており間に合った。

その国内便は一時間遅れのはずが結局二時間遅れて出発した。待たされている乗客は航空会社のスタッフに詰め寄り遅れに抗議する。皆血相変えて抗議してる。何言っているかはまったくわからないがそんな抗議したところで遅れるものは遅れるでしょ。でも予定のその後のアポイントは変更しなくてはいけない。

やっと出発になった。やけにちっちゃい飛行機なのでちょっと不安になる。何しろ最貧国の飛行機ですからたぶん中古だろう。

実は航空会社の選択にもひと悶着があった。
最初は国営航空会社を予約していたのだが、たまたまバングラから来られたかたに日本でお会いした際に国営航空会社はよく落ちるからやめたほうがいいとアドバイスされ民営会社に変更してたのだ。何しろ安全ランキングで200位以下だというのだ。

フライトを予約した旅行代理店に文句を言うと
状元さまのご指定のスケジュールを優先して組み立てましたとかぬかしてきた。予定通りにすすんだって堕ちたらもともこもないだろ!

かくいう経緯民間のちっちゃい飛行機に搭乗し第二の都市チッタゴンへ向かった。

離陸直後に眠りに落ちた。まどろみからさめると現地人の同行者が声をかけて来る。

「Mr.状元、目が覚めましたか?目的地チッタゴンの天候が悪くてダッカに引き返すことになったよ。」
「Oh no!Really?」
「はっはっは、I’ m joking!」

なんだよつまんねえジョーク言うなよ、疲れてるときにさと思ったのもつかの間今度はほんとに揺れてきた。乱気流でタービュランスがひどくなりガンガンゆれる。

もしかしてホントに着陸できないかもな。

揺れに対して私は最初余裕をかましていた。
ところが隣の同行者が前のシートにしがみつき、頭を下にしてスチュワーデスに恐怖を訴えているらしく何か怒鳴り出した。さらには後方の女性が大声で神に祈りだす。

これには私もさすがに不安になり来シートベルトを締めなおし、前のシートをしっかりつかんだ。

機体は揺れながらの旋回を何度も繰り返した。挙句、アナウンスが入り、結局着陸できずに別の小さな空港に降りることになった。ジョークが真に化けてしまった。

その空港で缶詰3時間。
その間じゅう乗客たちはスタッフに押しより大声で抗議する、怒鳴ったところで意味ないでしょ。体力の無駄遣いだと私は冷めていた。

サングラスをかけた若いパイロットがやってきた。
きちっと背筋を伸ばし、自信を持って乗客に状況を説明し始める。おそらくは軍人出身であろう彼の、信頼できそうな立派な立ち振る舞いが功を奏し、次第に乗客たちもおとなしくなっていった。

二度目の出発の時がやってきた。
パイロットが言う。
「悪天候は去りました。私には100%の自信があります。ただしお客様にはオプションがあります。バスで行くこともできます。所要時間は、バスなら3時間、飛行機は25分です。」

100% confidenceと言われては信じるしかない。
飛行機を選択した。

離陸後20分経つと、今度は先ほどよりさらにひどいタービュランス。しかも長い時間。ふたたび祈りの叫びのなかに埋もれている。これはいよいよホントにやばいのか。

人生というのはなんとあっけないのだ、こんな終わり方になるとはね。

するとアナウンスがった。あのコンフィデンスありありパイロットの声だ。
「悪天候により、ダッカに引き返します。」

てらいのないたった一言だけ。おいおいそれでしまいか?謝罪とかはないんかいな?

すると機体は潔く高度を急上昇させ、機体は安定した飛行に戻ったのだ。

なんだったんだこの一日は。でも死ぬよりはいいね。
パイロットに感謝しなきゃいけない。判断はともかく、操縦技術は良かった。

祈りの叫びと皆の動揺のなか常に笑顔で対応していたスチュワーデスにも救われたと言える。彼女の笑顔がなかったらもっと不安になっていただろう。

乗客のだれもがこんな経験は二度と忘れられないと語り合っていた。落ちたら二度体験できないけどね。

以上


by zhuangyuan | 2007-04-15 22:44 | 時事


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