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2018年 04月 03日

歴史に学ぶ朝鮮有事と台湾

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『朝鮮戦争 米中対決の原形』神谷不二著

古典読書会の課題として読んだ。

朝鮮戦争についての本なのに韓国でなく、台湾出張中に読みました。これが意外にも臨場感を醸し出しました。

朝鮮戦争についていつも不思議に思ってたのはなぜ中国が参戦した理由。中国は日本と15年戦争し、内戦をした末に、共産党がやっと政権とったのが1949年。国土は荒廃し、人民は疲弊してるはずなのに、翌年朝鮮戦争にあえて参戦した。しかも相手は世界最強のアメリカです。このモチベーションはどこから来たのか?そもそも第二次大戦後ソ連が北朝鮮を統治したのではなかったか?しかもまだ国連にも加盟できていない新生中国がなぜ?

『当時、中国政府の指導者たちが国内にまだ多くの敵ー「反革命」分子、「帝国主義者の手先」「国民党のスパイ」などーを抱えていたのはいうまでもない。彼らはまだ政権獲得の直後だったのである。朝鮮への介入は、人民解放軍の一部を国内「平定」の任務から引きはなすことを意味し、さらに経済的負担を増大させる点からも、決して容易な事業ではなかった。

中略

反面、もし北朝鮮を見殺しにするならば、マッカーサーや蒋介石が「大陸光復」へ勇気づけられ、国内の反政府分子にも反革命への新たな希望を持たせるおそれがあった。』p126

 共産党軍参戦の動機は台湾の国民党にあった。アメリカのいうドミノ理論への恐怖は、中国共産党の方が強くもっていたということでしょうか?開戦前、海南島、舟山列島に続き、台湾侵攻目前であったと本書にあります。アメリカは当時、台湾は防衛線に含めない意向でしたが、朝鮮戦争を境に、第七艦隊を台湾防衛に使うとした。このポイントで中国共産党の敵はアメリカとなった。これにより人民解放軍の台湾侵攻は難しくなったが、このまま国内の反革命分子を勢いづかせるわけにはいかない。そこで北朝鮮を援護することにした。援鲜抗美。中国の外交は全て内政の発露だと小室直樹氏が書いてました。まさに内政の発露。

 ソ連バックの金日成が南朝鮮に侵攻していなければ、台湾は今の形ではなかったのではなかろうか?なんてことを台湾新幹線で読書しながら思いをめぐらす。台湾島を共産党がとったか?もしくはアメリカがとったか?少なくとも当時の中国が朝鮮戦争に踏み切らなければ今日の大国はないでしょう。歴史のifを思うが楽しい。

 今の台湾を外国人として訪れると平和そのもので、大陸中国との緊張関係を感じることはほとんどありません。今の与党は台湾独立派であるが、先の抜粋にあるような「大陸光復」つまり大陸を取り戻すなんて気概は微塵もない。野党国民党だって国共合作が関の山。ただし少し前までは確かに大陸をうかがっていた。徴兵制があるので大抵の男子は軍隊経験があり、今回の出張でもお客さんに話を聞来ました。彼は大陸に一番近い中華民国領土である金門島で兵役についた。彼がいたのは80年代だが、金門島の最前線では双方から爆弾が飛び交い非常に危険だったという。ただ兵役が終わる頃には爆弾もおさまっていったという。

 もう一人はレーダー制作会社エンジニア。会社は軍の発注で潤っていたがレーダーに使う肝の技術は米国企業が握っていたという。彼はその技術を学ぶべく米国に派遣された。そして2年がたち、成果を持って帰国するはずが、緊張緩和のために政府防衛予算編成が変わり、受注が減った企業は倒産してしまい戻るところがなくなってしまったと。いずれも80年代の話だ。

そして現代、つい最近兵役についた米国帰りの若者はいう。一年の任務はとても楽だったと。太った上官は緊張感がなく、え米国文化に憧れていたため、彼は上官に英語を教える役目だったそうだ。両岸関係緩和の様子が伺える。

 今は緊迫感がない両岸だが、どこかで歯車の一つか狂えば、戦争になっていたかもしれない。本書「朝鮮戦争」もそんな小さなボタンのかけ違いが国際政治や戦局を大きく左右する様子が描かれている。北朝鮮とトランプそして中国がにわかに喧しい。大国中国にとって朝鮮有事は割に合わない。だがしかし何かの拍子でバランスが崩れれば.....。今こそ読むべき古典だろう。

以上

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by zhuangyuan | 2018-04-03 14:42 | 中国関連DVD、本 | Comments(0)


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