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中華 状元への道

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2011年 05月 29日

ハングルvs事大主義

ハングルの誕生 音から文字を創る (平凡社新書 523)

野間 秀樹 / 平凡社



世宗の大偉業としてハングルが誕生したわけですが
誰もが賛成であったわけでないのです。

ハングルを実質的に作った集賢殿という研究機関にも猛反対する人がいたと。

崔萬里。

彼の反対の論理はこうです。

「我が朝、祖宗より以来、至誠にして大に事へ、一に華制に遵ふ。」


だって昔っから中華の制度でやってきたでしょって。

「唯だ蒙古、西夏、女真、日本、西蕃の類、各々其の字有るのは、是れ皆夷狄のみ」


自分たちの文字持っているのは野蛮国ばっかりである。

字をつくるなんてこんなことが中国の都に知れたら大変だ。
中国文化のエバンジェリストたる朝鮮が中華を捨てるなんてとんでもない。
文字を統べるなんて大それたことをできるのは唯一中国皇帝だけであると。

正に事大主義であります。

ただここは礼儀の国、朝鮮。
儒教思想のなかで朝鮮王に命令されて逆らえるのでしょうか?

でもこの崔萬里にとっては世宗なんてピーナッツ。
たかが衛星国の一王様、悠久の歴史を前にすればなんてことはない。
中華すなわち世界のことわりは優先なわけです。

現実的にも当時の朝鮮知識人にとっては漢字はすべてに値する。
漢字がなければ知識はないわけで、
知識がなければ特権もないわけです。

既得権益者としての存在意義を根底から否定される出来事なのです。
そういう意味では世宗のハングル創製ってのは一種の革命といえますね。

この革命からずっと後世に野蛮国日本の言葉を強要されたのですが
当時の屈辱はこうした歴史を知るとよくわかります。

その後紆余曲折をへて立派に国の文字として定着しました。
今ではかつての支配者日本のおばちゃまたちの心までハングルが征服しているのです。


以上

by zhuangyuan | 2011-05-29 22:41 | 文化、歴史


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