中華 状元への道

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2011年 02月 27日

中国A、中国B

先日、ジャーナリスト富坂聰氏の「中国の現実」と題する講演を聴きました。

中国は経済絶好調ですが
格差はますます広がっているといいます。

リーマン後の世界危機を救うべく史上空前の4兆元公共投資を行った後
さらに助長されたと。

投資のほとんどが国営企業にまわった。
国営企業とその周辺はガッポガッポだが
民営企業は苦しんでいる。

国進民退。

王朝経済といっしょだといいます。
官僚をひとり出せば一族が潤う。

国営企業に群がる利益集団は濡れ手に粟状態。
いっぽう民間企業は労働者は塗炭の苦しみ。

まるで中国が二つ存在するようだと。
中国Aと中国B。

この実態を富坂氏の著書でみてみましょう。

中国の地下経済 (文春新書)

富坂 聰 / 文藝春秋



中国の官僚は表の給料はたいしたことはありませんが
裏の収入はすごい。

灰色収入という。

権限にむらがる人たちからの贈り物。
昇進や記念日、家族の誕生日、お祝いなどなど。

民間人からも地方官僚からも。

官僚のポジションごとにどのくらい灰色収入が見込めるかも
わかっており、それを地位の含金量というんですって。

そういえば中国語先生も言ってた。
中国は暮らしにくいと。
会社の上司にお金を払わなくてはいけないと。
上にひっぱってもらうためにはプレゼント攻勢が必要だと。

会社員すらこれですからましては官僚なんていわずもがな。

プレゼントだってもらいすぎたら価値がないとおもわれがち。
でもそうじゃない。
換金出来るんです。

回収煙酒なんてところがあって
日本のパチンコ交換所みたいに現金と換えてくれるそうです。

酒、タバコ、プリペイドカード...
何でも現金になる。

こんなおいしいことはない。
とするとみんな権限のある地位につきたがる。
ということで中国就職人気ナンバーワンは税務署ですって。
凄い権限ありますからね。

灰色収入全国に蔓延していてが統計に出てこない。
地下経済ならぬ第二経済といってもよいほどの大きな規模だとか。

中国は得体がしれない。

でもふと思った。
日本の官僚もそうかも。
ハイウェイカードなんか出回ったことあったな...。
公然でないとこが逆にきたない。


以上
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by zhuangyuan | 2011-02-27 22:14 | 時事 | Comments(0)
2011年 02月 19日

ソーシャルメディアの力 中国誘拐事件解決

PodcastでアメリカのNPR(National Public Radio)を聴いていますが
2/11付けのニュースは中国からの衝撃でした。

誘拐された子どもを中国版twitter(微博)で見つけ出したのです。
In China, Dad Uses Social Media To Find Missing Boy(中国発、父親がソーシャルメディアで行方不明の息子を探し出した)

三年前当時三歳だった息子を誘拐された父親はいろんな手をつくして探しますが
なかなか見つからない。そこでネットに目を付けた。

He blogged and he flooded weibo — the Chinese equivalent of Twitter — with his son's photo. Journalist Deng Fei from Phoenix Weekly, who has 100,000 followers on weibo, helped in his search.

彼はブログに息子の写真をアップし、中国版twitter微博に写真を流し続けた。
それを10万人のフォロワーを持つ鳳凰週刊のジャーナリスト邓飞が手伝った。


三年後に見つかるなんて奇跡に近い。
子どもの顔が非常に特徴的だったのがよかったとか。

ただ子どもの三年は長い。
自分の本当の名前は覚えておらず
誘拐した男の息子として育てられていたと。
男は既になくなっていた。

この誘拐事件、誘拐されるところまで映像が残っているのです。
犯人がどうどうと子供を抱きかかえて走り去る映像。
周りは無関心。

そこまでいくと胡散臭いですが見てみましょう。
誘拐のその時から見つかる時までの動画がありました。


视频:儿子被拐 彭高峰寻子3年终有果
(視聴:息子誘拐 彭高峰息子を探して3年の末のにやっと)

twitterにいたるまで様々な活動をしてたんですね。

この活動をサポートしてた邓飞さんが誘拐を語った記事もありました。
这次微博寻童,我们赢了(行方不明児探し、Twitterで勝った)

誘拐後の2008年から捜索活動をはじめ、それが影響して公安も動いた。

2009年には一斉捜査に出た。
2009年4月,公安部宣布启动第五次打拐专项行动,投入更大力量来打击儿童拐卖,后来延至2010年。行动以来,全国破获拐卖妇女案件6574起,拐卖儿童案件4595起,打掉2757个犯罪团伙,.....

2009年4月、公安部が第五次打倒誘拐行動を宣言し、更なる人員で誘拐犯、人身売買犯を追い2010年まで続けた。それいらい婦女誘拐売買事件6574件、児童誘拐売買事件4595件、犯罪組織2757グループを壊滅....


公安もすごいがこの犯罪件数尋常じゃない。
交通安全週間のスピード違反じゃないですよ。
誘拐と人身売買。

おそろしすぎる。

こうした色んな活動があった末に
最後にソーシャルメディアが解決の最後の糸口を開いたのです。

今回の事件でさらに関心が高まり、ネットの力による解決事件が増えるでしょう。


欧米メディアにとってみたら中国でソーシャルネットの力が再認識されて
さらに強まるこの件は、中東北アフリカの政権打倒のこのタイミングで
ぜひ報道しておきたい絶好のネタになりました。


以上
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by zhuangyuan | 2011-02-19 18:02 | 時事 | Comments(0)
2011年 02月 05日

蟻族と鼠族と黒灯

先日、元東大学長、小宮山宏氏の講演を聞きました。

今、日本が内需不足に苦しんでいるのは人工物が飽和しているからだといいます。

車でも家でも家電でもある程度行き渡ると飽和して
その時期を過ぎると買い替え需要しかなくなる。

車でいうと二人に一台持ったら飽和。
アメリカもイギリスも日本もみんな同じだと。

家でいうと世帯数で終わり
日本だったら5000世帯だから5,000戸で飽和。
後は買い替えということは
家の耐久年数が50年だとすれば5000戸÷50年=100。
つまり一年で100戸しか売れない。

そこで企業は飽和してない新興国へ市場を求めてゆくわけです。
小宮山先生の話はここから課題先進国としての明るい未来を描いてくれるのですが
私はそんな話を聴きながら、飽和国家日本とはちがい
元気すぎて問題の中国でのマンション投機の話を思い出しました。

中国は飽和に至っていないばかりか
先高を狙った投機マネーが不動産市場に流れ込んでいるので
市場が高騰して止まりません。
政府が何度も規制しようと政策を出しますが勢いは止まらない。

先週、中国語教室で雑誌記事を紹介してもらいました。
网上流行“晒黑灯”(ネットで流行、『真っ暗』を暴きだせ)

見出しを見るだけではなんこっちゃ?って感じですよね。

空室のマンションを見つけて
明かりのつかない夜のマンション写真を公開することが流行っているそうです。

つまり投機用に買って誰も住んでいないマンションを見つけ出し
そんなマンションを開発する不動産会社を非難しようってこと。

中国の不動産バブルは住むためのものではない。
買ったらすぐ転売。建ってもいないうちからどんどん転売。
そもそも住む気なんかないんですから。
でもってどんどん高騰して庶民はまったく手がとどかない。

“中国到底有多少套房子卖了没人住?”
中国ではいったいどれだけのマンションが売れても誰も住まないでいるのか?


電力網会社が電力メーターをチェックしたところ
6540万室が6ヶ月連続で電力使用なしだったそうです。

なんと二億人が住めるスペースが空いたまま。
投機用でほおっておかれているのです。


でもそんなものを写真撮ってネットにアップしたってなんの意味があるかなと思い
中国語の先生に尋ねてみました。

「そんなもの投資した強欲な金持ちがいずれ暴落して損するだけなんですから
ほっておけばいいじゃないですか?」

「そうじゃないんです。住むところがなくて困っている大勢の人がいるのに
投機用住宅がたくさん空室のままになっているのが問題なんです。」

日本でも話題になった蟻族。
大都市郊外に学卒で職のない集団生活者。
アパートの一室に集団で住んでいます。

それに続いて出てきたのは鼠族。
地下に住んでいるのです。

首都北京不断上涨的房租迫使越来越多的人像张和坤一样——像老鼠一样生活在居民楼地下防空洞改造的狭小得像盒子一样的房间里。中国媒体称他们为“鼠族”。

首都北京では家賃が高騰し益々多くの人が张和坤のように鼠のように生活している。
団地の地下防空壕を改造した狭隘な箱のような部屋に住んでいるのです。
中国メディアは彼らを鼠族と呼んでいます。


そんな人たちは北京で100万人、郊外も合わせると450万人いると載ってます。

中国大城市高房租催生“鼠族”


中国の数字は何でもでかすぎて実感がわかない。
でもあの国土や13億の人口ってのが頭にあるとなんかありそうに思えてくる。

白髪三千丈の世界かな。

投機をしてる金持ちたちも空き家がいくらあったって13億って数字があると
いつか売れるでしょっておもっちゃうんだろな。

金持ちはとんでもなく金持ち
でもそのすぐ周りには貧者がうごめく。

こんな状況を杜甫が詠んでると。

朱门酒肉臭,路有冻死骨


【解释】:富贵人家酒肉多得吃不完而腐臭,穷人门却在街头因冻饿而死。形容贫富悬殊的社会现象。

(金持ちの家では食べきれないほどの酒や肉が腐臭を放っているが
貧乏人は路上で食べ物がなく凍死している。貧富の格差を表現している。)

中国語の世界は深い。
こんな言葉をすぐ思いつくようになりたいものです。

以上
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by zhuangyuan | 2011-02-05 18:05 | 時事 | Comments(0)
2011年 01月 15日

中国語テキストの言えない中身

今使っているテキスト「汉语口语习惯用语教程」が面白いとの話をしましたが
またもや凄い例文が出てきました。

被炒鱿鱼(解雇される)という言葉の用例としてこんなのがでてきます。

那个不愿意陪老板喝酒的女孩在第二天就被炒鱿鱼了。

社長のお酒のお供を断っちゃったあの子は次の日くびになっちゃった。


ありえない例文。
こんな例文を生徒みんなで声をそろえていたらやばい。

こんなこともよくあるんでしょうね。
エロ社長の姿が目に浮かぶ。

那个(あの)なんていうあたりを見ると
社長に誘われて飲みを断るなんて度胸のある女の子はめずらしいのでしょう。
でもやっぱり首になっちゃったって感じかな。


中国語のお勉強は社会学習にも役に立ちます。

先日はもっとすごいのに出会ってしまいました。

Chinesepod に「不能说的事儿(話せないこと)」という話題が登場しました。

私は何のことかわからず聴き始めました。

さっそく会話のスタートです。

ボスが女性の部下を部屋に呼び
先月の営業成績を報告させます。

A. 哦,来,你过来,坐下说吧。把门带上。

おいで、こっちにきて座りなさい。そこのドア閉めといて。

B.呃,好。

 あ、はい

A.坐,坐啊。你给我读一下吧。我过会儿要向张总汇报。

 まあ座りなさい。報告書を読んで。
 あとで張社長に報告しなきゃいけないから。

B.好的。上个月的销售额是一百五十万....欧阳经理请不要这样....

 わかりました。
 先月の売り上げは150万...欧阳经理よしてください...

A.你继续把。

 報告を続けなさい。

B.成本核算一百二十二万,其中....,欧阳经理请放尊重点儿!

 原価は122万、その内...欧阳经理、バカにしないでください!


なんのことかわかりますか?

テキストだけ見るとわかりにくいかと思いますが
セクハラ現場なのです。

これを音声で聴くとかなりリアルです。
女子社員のこまった感じをうまく演技します。
欧阳经理は威厳を保ちながらもセクハラします。
中国語ヒアリングの会話は演技がうますぎる。

ただご安心あれ欧阳经理の今日のセクハラはここまで。

このあと別の女子社員が欧阳经理の部屋にうっかり入ってきて報告は終了。
欧阳经理は現場を目撃されても動じない。にくたらしい奴です。

でもって何が不能说的事儿なのかといいますと
このあと目撃しちゃった女子社員は同僚に大変なものを見ちゃったと言い出します。

でも「不能说的事儿(話すことはできない)」となるわけです。

もちろん目撃女子はもったいぶってるだけで全部言っちゃいますけど。

ここからの女子の会話も面白い。

「私もこんな目にあったらどうしよう~!」

なんておそらく大して可愛くない子がいいますと。
その仲間が答えます。

「耐えるしかないでしょ。今は就職難だもん。」

中国現代社会をこんなあからさまにしちゃっていいのかしら。
chinesepodはどこの資本でつくってるのかなあ?


以上
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by zhuangyuan | 2011-01-15 16:03 | 学習 | Comments(4)
2010年 12月 18日

日本の水源を狙う中国投資家

先日中国からお客さんがあり経済動向について教えてもらいました。

開発投資は相変わらず多く、鉄鋼需要はまだまだ旺盛だとのこと。

ただ彼が懸念していたのは来年から始まる第12次五カ年計画で
国家が進める大プロジェクトはあらかた終了してしまうこと。
すると現在の消費量に合わせた鉄鋼供給能力が大幅に余ってしまうといいます。

「そうはいっても中国は大きいですから発展余地のある地域は多いですよね?
西部開発なんかも残ってますよね?」

と尋ねてみました。

「西部は開発余地がありますが問題が多いです。」

おしえてくれたのは次の問題。

まず水がないと。
水が絶対的に不足している。

もうひとつは環境問題。
乱開発で汚染がひどい。
大河の上流地域で水質汚濁などの問題が起こると
下流域の大都市まで影響をあたえてしまうと。

そして資源もない。
現在ですら経済発展を国内資源だけでまかなえないゆえ
海外から資源を輸入している。
その資源は沿岸大都市で吸収されている。
それを内陸まで運ぶコストが問題となるとのこと。
そもそも運ぶだけの資源が調達できるのか?


その中でも最も問題なのは水でしょう。

水は昔から足りなかった。
発展したらさらに足りない。

水がなければ人は住めませんし。
農業もできないし工業もできない。
工業にも大量の水が必要です。

水をめぐる話にこんな映画を思い出しました。
「古井戸(老井/OLD WELL)」映画はこちら主演、张艺谋。

井戸が枯れても土地に執着し
新しい井戸を探しにゆく男のストイックな物語。
中国の枯れた大地の圧倒的なスケールに人間の無力さを感じます。
でも強いのです人間は。

映像のインパクトは凄い。
水枯渇の話が出るとすぐ映画のシーンが蘇る。
果てしない赤い大地。
水は出ない。



そんな水不足の中国これからどうなる?

投資家たちが動き始めているそうです。

今日、報道特集でやってました。
日本の土地を次々に・・・中国人買収の狙いは?

最近中国投資家が日本の土地を買っているといいますが
都市部やリゾートだけでなく森林なんかも買ってるそうです。

ある北京のオバチャンは投資目的で温泉の出る別荘地を買い付けた。
他の投資家は森林をおさえた。

それは水資源を狙ってのことなんですって。
将来の水資源戦争に備えて水源を押さえる。

水不足に対応するためというか
水不足になる将来まで寝かせておいて
土地の価値があがったら高値で転売してやろうって感じです。

なんかそれが中国からっていうと
13億という想像しがたい人口を背景とした需要がイメージされるので
それ知れぬ恐ろしさを感じてしまいます。

北海道は来年森林買収規制に乗り出すそうです。

ところで肝心の日本は水が豊かなのでしょうか?
感覚的にいうと海に囲まれて、森林も多く、雨も多いので豊かかなと思います。

でもそうでもないみたい。
グローバルウォータ・ジャパン 吉村和就氏(前編)日本は水で滅びる!手遅れになる前にできることは?

降水量は世界平均の二倍だが、一人当たりの降水量となると世界平均の三分の一しかないんですって。

そんなところに魔の手が伸びる。
ああおそろしい。

以上
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by zhuangyuan | 2010-12-18 22:32 | 時事 | Comments(0)
2010年 11月 13日

中国現代アートと現実社会

最近気になっているのが中国現代アート。
現代アートには興味がないのですが中国がつくとなんか気になる。

ただ芸術的感性があるわけがないので解説本の助けを借りましょう。

中国現代アート (講談社選書メチエ)

牧 陽一 / 講談社



中国現代アートが打ち破らなければならなかった二つの負の遺産があるといいます。

中華伝統と革命伝統

4千年の歴史のなかで山水画だとか陶磁器だとか
伝統に裏打ちされた芸術世界がある。

それを思いっきりぶち壊したのが文革時の毛沢東様式。
なんでもかんでも毛沢東。
革命革命毛沢東万歳

文革終焉とともに自由をもとめた現代アートのつぼみができる。
花開くかと思いきや天安門事件を迎える。

抑圧からの解放を目指す現代アートへの道になるはずが
こんどはキッチュな方向へ進んでいったそうです。

抑圧で苦しいはずが
いつのまにやら経済大発展。
あれれ?ってなあいだに経済が肥大化してゆく。

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黄锐:毛主席万圆
毛沢東信仰から毛沢東のお顔を刷ったお札信仰へと
世の中は変わってしまった。

俺たちの戦いはなんだったの?
抑圧されてるはずなになんか満腹。



物のない時代、物は愛おしかった。
物を大事にと大切にとっておいた。

そんなつつましい生活を送ってきた自分の母親の家にあった物をアートにした。
趙湘+宋冬 「物尽其用」纽约MoMA将为宋冬举办个展
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すさまじいもの余り。
趙湘さんがアーティスト宋冬の母親ですって。

アーティストたちは時代に迎合したり批判したり打ち破ろうとしたりするものですが

時代ってのはそんなものはお構いなしにゴーゴー音をたてて変転してゆく。

何に向かって芸術を爆発させればいいんでしょうか?

以上
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by zhuangyuan | 2010-11-13 18:03 | 中国関連DVD、本 | Comments(0)
2010年 10月 30日

現代中国は大正時代の日本?

最近の世論調査では中国に対する不信感が過去最高レベルになったと
報道されています。
中国「信頼できず」84%

過剰報道のゆえだとは思いますが
なんでそんなに皆中国が嫌いないのか?

今読んでる本にそのヒントがありました。

輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)

佐藤 卓己 / 新潮社



経済拡大至上主義に邁進する現代中国に「田中角栄の日本」を見ているのかもしれない。


どういうことか?

日本は戦後高度成長を成し遂げ繁栄を手にした。
その象徴が田中角栄。

貧しい庶民からのし上がり、首相まで上り詰める。
そして列島改造。土建政治。
土地投機、狂乱物価。

戦後の成功には「影」部分があった。
そのスケープゴートにされたのが田中角栄であったといいます。

彼の姿こそ、敗戦の焼け跡から復活し成功を遂げた日本人の
辿ってきた姿であるのに、成功するや、自らを返り見ずに徹底的にたたいた。

この本では田中政治にノーをたたきつけた福田赳夫の言葉を引用しています。
日本は今日世界第一位の石油輸入国ですよ。
こういう日本がだね、今後も急速な経済成長を続けようとするなら、
世界の資源配分のなかでの日本の取り分は、加速度的に拡大されざるを得ない。」


これに続き福田の話は、国際摩擦、物価上昇、格差拡大、環境汚染、世界の日本批判と続くのです。

なんかどこかで聞いたような?

そうです今の中国です。

福田赳夫の言葉の日本を中国と入れ替えてもずばり当てはまります。

日本の世論は過去の自分を忘れ、現代中国を徹底批判しているのです。

中国の急速経済発展は日本の高度成長の辿った道です。
ただ大きく違う点があります。

軍隊です。

日本の高度成長には軍の拡大はなかった。

この点からいくと私は今の中国ってのは昭和の軍拡にいたる過程での
大正時代の日本に似てるんじゃないかと思うんです。

大帝没後―大正という時代を考える (新潮新書)

長山 靖生 / 新潮社



大正はどういう時代だったのか?

日露戦争に勝利した後、日本は八大強国となり、西欧列強に肩を並べる。
しかしそれとともに明確な国家目標を失い時代閉塞にはいる。
農村疲弊と都市化による経済格差拡大、資本主義発展に伴う労働問題の発生など
問題が山積していたといいます。

豊かになった社会で若者は親の財産を受け継ぎ、無気力化してゆく。
維新時代に父たちが戦って得た爵位や財産をメンタリティのことなる息子世代がうけづぐ。

大衆消費社会が出現し、消費者たる若者の影響力が大きくなる。

学校制度もととのい高学歴者が増えてくる。
しかし職がなく、高等遊民が問題となる。

大正青年たちは「古い家」を蔑ろにるすが自立はせずにむしろ家制度に依存していたといいます。
家の財産をつかいつくしたあげく、国家というシステムに依存するようになったといいます。

個人の欲望肥大化が国家の欲望肥大化に繋がっていったと。

こうして国家が肥大化し昭和へと向かってゆくのです。

人口増加で食糧、資源需要増加→海外進出
消費社会の拡大→退廃的社会へ
格差拡大で社会の鬱憤がたまる。→軍が貧しい層を吸収

ここからはこちらが参考に。

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

加藤陽子 / 朝日出版社



そうです拡大拡大で世界から孤立し戦争への道を突き進んで行くのです。

国共内戦、文革、改革開放を経て、現在の繁栄を手にした中国。

金持ちは第二世代、第三世代へと移り、無気力になり、
一方で貧しい若者たちは鬱憤がたまり、
爆発させどころを探している。

こんな問題がありつつも経済は急速拡大を続け
資源需要は増大し、海外へと食指が動く。

国際的に批判を浴びる。

その時、軍は?

大正から昭和への日本の道を進まぬことを願います。

以上
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by zhuangyuan | 2010-10-30 15:03 | 文化、歴史 | Comments(0)
2010年 09月 20日

ネットde読書会 「狼图腾」 第33章

この章は悲しい悲しい物語。

別の草原に移ることになった陈阵たち。
当然、飼っている小狼もつれてゆくのですがいうことを聞かない。

熊可牵,虎可牵,狮可牵,大象也可牵。蒙古草原狼,不可牵。

熊や虎、ライオンや象はひかれても、モンゴル狼はひかれない。


引越しの牛車につなぎひっぱろうとしますが徹底抗戦します。

龇牙咧嘴,凶狠咆哮,身子的重心后移,四爪朝前撑地,梗着脖子,狼劲十足,寸步不让

牙をむき出し、大口を開き、獰猛に吼え、重心を後ろにうつし、四足をつっぱり、首を硬くし、
力いっぱいで一歩も譲らない。


こんな表現も使われます。

桀骜不驯   強情で言うことをきかない。

宁死不屈   死んでも屈しない

犟得过牛 牛より強情

不屈不挠   不撓不屈

絶対いうことを聞かないのです。

つながれるかつながれないか

これが犬と狼をわける境界線なのだといいます。

ただそれでも牛車は進むのです。

だんだん狼も体力を消耗し弱ってきます。

倔强的小狼被拖了四五里,它后脖子的毛已被磨掉一半,肉皮渗出了血,四个爪子上厚韧的爪掌,被车道坚硬的沙地磨出了血肉。

屈強な小狼も4,5里引きずられ、首の後ろの毛は摩擦で剥げ落ち
皮膚には血が染み出し
四つの爪に掌は、硬い車道の砂に擦られて血が滲んでいる。


そしてついには血を吐きます。
それでも従わないのです。

じゃあ置いていけば? と张继原。
でもそれは出来ない。と陈阵。

人に育てられ牙の尖りをなくした狼は野生に返せはきっと淘汰されるのです。
モンゴルの草原を愛し崇拝しつつも知青たちは自然の摂理を犯してしまっている。

これ以上引きずることを続けるのに耐えられなくなった陈阵は
燃料の牛の糞を捨ててしまい、牛車の上に小狼を乗せる場所をつくります。

抵抗しつつも無理やり籠の中に押し込められた小狼は
今度は完全に打ちのめされてしまいます。

它异常惊恐地站在不断摇晃的牛车上,越来越害怕,吓得几乎把自己缩成一个刺猬球。
小狼不吃不喝,不叫不闹,不撕不咬,竟像一个晕船的囚徒那样,忽然丧失了一切反抗力。

小狼は揺れ続ける牛車の上で異常に恐怖に慄き、どんどん恐れを感じ、
ついにはハリネズミが丸まるように縮こまってしまった。
飲まず食わずで、吼えも騒ぎもせず、噛み付きもせずに
まるで船酔いした囚人のように突然一切の抵抗力を失ったのです。


悲しすぎる描写です。

狼は草原では負けるものがいないのですが
ひとたび草原から離れ、閉じ込められると途端に力を失ったのです。

これはまるでギリシャ神話のアンタイオス(安泰)のようだといいます。
アンタイオスは大地では無敵ですが大地から足を離すと力がでないといいます。

ギリシャ神話のこの英雄はモンゴル狼を指すのではないかと思いをめぐらすのです。

ソ連共産党史ではこの故事をあげ
大地を人民にたとえて、人民を離れると党は力を失うと訓戒をあたえたそうです。

ともかく知青たちは狼を愛するあまり狼を飼い、
逆に狼を壊してしまったのです。


いっぽう彼らの营盘ではもっとスケールの大きい破壊が進んでいたのです。

一部勢力が上層部へのへつらいで成績を上げたいばかりに狼をどんどん殺す。
草原のバランスを無視して。

しかもその方法がだんだんエスカレートしてゆく。
鋼製ワナを仕掛けたり、毒をまいたり。

目先の利益だけを追い、自然のバランスを壊してゆく。
いまでいったら地雷埋めて、毒ガスまくみたいなものでしょうか?
後世のことは一切無視。

知青や長老たちは嘆くのです。

再这么打下去,额仑草原的人就上不了腾格里,额仑草原也快完了。

このまま狩りを続けてゆけば
コロン草原の人は天国にはいけない、
コロン草原もすぐになくなってしまう。


 陈阵无法平复这位末代游牧老人的伤痛。谁也阻止不了恶性膨胀的农耕人口,阻止不了农耕对草原的掠夺。

陈阵この遊牧民の末代である老人を癒すことはできないのだ。
農耕人口の悪性膨張を誰も止められないし
農耕民族の草原に対する略奪も止められないのだ。


悲しい物語はつづきます。


以上
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by zhuangyuan | 2010-09-20 23:04 | 中国関連DVD、本 | Comments(7)
2010年 07月 11日

美女スパイに思う インテリジェンス

ロシアの美女スパイが摘発されて大盛り上がりの昨今、
スパイ技術の稚拙さはさておき
冷戦が終わってずいぶん経つ現在もなおしっかり諜報活動をしていることに感心。

わが日本はスパイ天国といわれるだけで
こちらはなんもやってないんでしょうね。

そもそも国の目指すところがあいまいだから
どんな情報あつめたらいいかわからない。

これは戦時中すらそうだったわけで推して知るべし。

日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか (講談社選書メチエ)

小谷 賢 / 講談社



先の大戦では日本は暗号をすっかり解読されて
ボロボロになったってイメージがありますが
暗号の解読だとか諜報活動だとかは意外としっかりやっていたそうです。

でもそれを全く生かせなかったといいます。

インテリジェンスにはまずリクアイアメントが必要だと。
つまりどんな目的のためにどんな情報が欲しいのか?

インフォーメーションをあつめて分析、加工し
インテリジェンスとしてカスタマーに提供する。

インテリジェンスサイクル。

これが日本には機能してなかったそうです。

情報関係部署OBの言葉が印象的です。

「情報収集の目的は【事実の実体を客観的に究明する】にある。
ところが日本人は主観を好む。
中略
我観及び主観を国家の問題に及ぼすにおいては、
危険これより甚だしきはあるまい。」

情報部が軽視されてるから
インテリジェンスさえもとめられず
インフォメーションをそのままつたえることになる。
インフォメーションは専門外にとっては役にたたない。

日本が不利であるという重要情報も主観にながされ見向きもされない。

「合理的思考よりも日本特有の場の論理や対外強硬論が蔓延しており、
そこからの逸脱はゆるされなかった。」

こうなると都合のいい情報ばっかり集めてくる。

情報の政治化というそうです。

ああおそろしい。

ビジネスや政治の世界にはいまでもありますこういうこと。

情報は実行スタッフと調査スタッフを明確にわける必要があるそうです。

国家の意思がしっかりしていて
情報部が強いなんてのも旧ソ連を思い出しておそろしいですが
なんもないのもののんきすぎて困ります。

ですから練習しましょう。

2014ワールドカップでベスト4に入るために
インテリジェンスを活用しよう。

以上
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by zhuangyuan | 2010-07-11 21:06 | 中国関連DVD、本 | Comments(4)
2010年 06月 19日

中国自動車産業は 利益矛盾体?

今朝の朝日にハッとする記事がありました。

見出しにこうあります。

スト工場は利益「矛盾体」

簡単にいうと
自動車メーカーは自分の利益ばかり考えて
下請けをいじめ
さらには下請けが労働者をいじめてるってこと。

最近中国では自動車部品工場などでストが相次いでいますが
その核心をずばりついています。

週刊アジアというページに載っていますが
日本の新聞は自動車会社にいっぱい広告出してもらってますから
あんまりストレートに書けません。
だから他国の人にいってもらって伝聞記事みたいに紹介してるんです。

発言してるのは自動車研究技術センターの主任さん。
中国語の原文はこちらです。
本田零部件工厂罢工事件提醒中国汽车产业转型

ホンダ部品工場のスト事件で中国自動車産業は変わらなきゃ!


抜粋します。
广东这起罢工事件影响了一些厂家的正常生产,
这是汽车企业的价值传递或者说它的利益分配不均衡造成的。

今回の広東スト事件は工場の正常生産に影響をきたしたが
これは自動車会社の価値または利益の分配が不均衡であることが引き起こした。

现在整车厂一降价,先压供应商,然后一没有钱,先压供应商。

自動車メーカーは値下げすると、まず部品供給メーカーを圧迫する。
お金がなくなるとまたすぐ圧迫する。

这样实际供应商跟整车厂就不是利益共同体,就成矛盾体。

このように部品メーカーと自動車メーカーは利益共同体ではないのだ。
利益が相反しているのだ。

供应商再压谁?就压工人。

部品供給メーカーが誰から絞るって?
労働者しかないでしょ。


こんな状況を脱するには労働集約的企業形態から転換しないといけないと続きます。

でもこれって堂々巡りですよね。

正に日本でその「利益矛盾体」状況がにっちもさっちもいかなくなって
日本ではリストラリストラで労働者をカットして
海外に進出していったわけですから。

その矛盾体のツケがまわるのが日本の工人から
中国の工人にかわっただけ。

まだ雇用があるからいいのかも。

いずれにせよ
永遠のコスト削減競争は未来の展望が描けない。

今年はもうかった。
じゃあ来年はさらにコストカットお願いしますね。
なんて。

以上
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by zhuangyuan | 2010-06-19 18:02 | 時事 | Comments(0)