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2017年 02月 01日

映画「十年」香港の核心的価値とは?ヒント:カネじゃない

香港映画「十年」鑑賞@多摩映画祭(2016.11.27)。
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FBで前日に上映会を知り駆けつける。会場はぎっしり。こうした地味なテーマに惹きつけられる同志がこれだけいるとはうれしくなる。

中国大陸の影響が強まるなか香港の十年後の姿を描いた問題作。アクション映画でもなくスター俳優が出ているわけではない本作が公開されると話題が話題を呼び大ヒット。大手映画館にはかからなかったにもかかわらず学校の体育館で上映会をやるなどして広がっていったという。この映画を観ることが現体制批判の意思表示として1つのファッションとなったと。その結果、超話題作スターウォーズを凌駕するヒットになったそうです。

5本のオムニバス形式である本作は十年後の諸相が異なる角度と様々なスタイルで映像化されている。

テーマは下記
国家安全条例制定
歴史の破壊と保存
消えゆく広東語
独立運動と焼身自殺
言葉狩り

それぞれこんな題名がついています。《浮瓜》《冬蟬》《方言》《自焚者》《本地蛋》

国家安全条例立法化をめぐる権力者の陰謀をヒットマンの葛藤から描く。権力におもねる統治者が大陸にいると思しき上層部からの指示で条例を通すための事件をでっちあげる。狙撃役に選ばれた2人はためらいつつもわずかな金欲しさに自分が実行したいと争う。そしてその結果は?

大陸と香港、香港政府と庶民、金持ちと貧乏人、権力と裏組織、いくつものメタ構造がこの狙撃をめぐる人間関係の行く末で預言されてるようで恐ろしい。この条例は胡錦濤が就任直後で国内で政争ネタになるのを恐れて断念した経緯があるそうだ。今中国は当時からすると存在感がぐっと増しており、さらに10年後なら言わずもがな。危機をあおる狙撃茶番など要らなくなるほど香港市民の洗脳が進んでいるかも。であるからこそ香港人民が今こそ政治に関心を持たなくてはならない。これこそが本作の狙いでしょう。もちろんわれわれも日本人も政治を意識しないとね。

人権に関心のない大陸政府に対抗するため独立を願う10年後の若者たちがすがったのがイギリス政府。国際世論の関心を引くためイギリスに訴える方法は強烈すぎる。英国領事館前の焼身自殺。

このストーリーの中で意識されてるのは香港の多様性。自由と民主を求める若者たちの中の重要な役でインド系の女子学生が出てくる。香港といえば中国人と英国人の国。なぜインド人が?香港のイメージは中華系の金融センターでありカネによってシンボライズされている。自由なカネを回すには安定したルールが必要。自由なシステムの元では人種は区別されない。そこではアイデンティティは血ではなく、民主的に決められた法治主義のもとの自由。英国統治時代に香港に来たインド系も多く移民してきており、彼らも代かわりして香港の自由のために戦っている。単に中国からの政治的独立だけでなく普遍の価値を求めた戦いであることをインド系を登場させることで象徴させているのではないか?

正直、映画を観るまでは、報道で若者たちの抗議デモを見ていてもピンと来なかった。民主とか自由とか言っても結局は香港人ってカネ第一じゃないの?土地への帰属心もうすく中国返還が決まったらどんどん海外に脱出したよね。バンクーバーなんて香港人増えすぎてホンクーバーなっちゃった。そもそも彼らに香港人としてのアイデンティティはあるのかと疑問を抱いていた。そこで上映後トークに登場したジャーナリストの福島香織さんに質問してみた。

「香港人のアイデンティティって何ですか?」

Rule of law 法による統治が香港の核心的価値であると香港の識者は主張していると。統治者が都合よく法をふりかざすRule by lawと異なる厳かな法による統治。為政者も法に支配される。「香港を知るための60章」でもイギリスが残した民主主義について触れている。返還を前にイギリスは優位に交渉するためとはいえ香港に高度な自治と社会福祉を充実させたと言う。返還にあたっては「五十年不変」を鄧小平に認めさせた。その高度な自治が骨抜きにされつつある今日、雨傘運動につながってくるのだと言います。

5つの物語で私が好きなのは「方言」。コミカルタッチな作品です。普通語がメジャーになっている十年後の世界では広東語は方言扱いされ、タクシー運転士も普通語をマスターすることが義務付けられてる。普通語試験に合格しないと「非普」のステッカーを貼られ空港などでは営業ができない。空港を利用する人の中にも当然広東語しか話せないひともいるのに広東語では営業できない。早く合格した香港人ドライバーからも蔑まれる。息子は学校で普通語マスターしてるのに親父はできない。香港の地名は広東語か英語だったのに普通語で発音しなきゃならない。サッカー選手のベッカムDavid Beckhamなんてのも香港では英語で呼ぶわけですが普通語では大卫·贝克汉姆と呼ぶ。Dawei Beikehanmu、ダーウェイ ベイコーハンムー。かなり笑えるのですがだんだん悲しくなってくる。言葉統制は統治の基本。日本も韓国や台湾でやりました。

香港では言葉がちょっと複雑。英語が入ってる。グローバルでは英語が主流ですがそれも排除すると言うのが十年後。もちろん想像の世界でのことですが。しかも香港は復帰直後までは中国世界の経済的繁栄の象徴であり、大陸中国の目標であり憧れだった。そのシンボルは広東語だった。スターがしゃべる広東語がかっこよかった。その排除にはかつての劣等感の裏返しがあるんでしょうね。

そのコンプレックス感は「本地蛋」の物語にも出てくる。「地元の卵」って題名です。十年後には中国大陸産卵を食べることが義務付けられ最後の地元養鶏場が廃業する。「本地」ってのは地元くらいの意味ですが香港ではすこしセンシティブです。遅れた大陸中国ではない文明化された我らが香港との響きがある。この「本地」という言葉も十年後には排除の対象となっている。そんな情勢下で衛生と滋養を満たした地元の卵を作ってきた最後の養鶏場経営者が追い込まれて行く。地元卵を売る店も取り締まられる。街を偵察して密告して糾弾するのは少年たち。文革の紅衛兵を模した少年軍。洗脳、密告、排除。醜悪です。でもありえるよね。すこし前にあったんだから。物語の最後には養鶏場経営者の息子が父を支持して立ち上がり希望を残して終わるのですが、いかにもありそうでこわいお話しでした。

私、二年前に久しぶりに香港旅行に家族で行きました。普通語はずいぶん通じるようになってました。ただレストランなどで普通語をしゃべると店員の態度がめちゃめちゃわるくなるのが困りものでした。その理由を友人に聞きました。香港には大陸の旅行者が大挙して押しかけ金に任せてやりたいホーダイ。大陸観光客に経済的にはたよりつつも異質な者として嫌っているのだそうです。香港人は彼らを揶揄してイナゴの大群と呼ぶ。700万人口に対して大陸からの訪問者4700万人(2014年)であると前掲書にある。香港は急拡大する中国と国際社会の摩擦の先端となっている。それを見るだけでも香港に行く価値がある。映画を観た後に訪問するとさらに奥行きが見えるようになる気がする。香港では若者が戦っている。

以上


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by zhuangyuan | 2017-02-01 19:53 | 言葉 | Comments(0)
2016年 04月 30日

山河ノスタルジア 中国大発展のひだにある故郷と広東語

中国映画 山河ノスタルジア 鑑賞@渋谷 ル・シネマ
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やっぱり中国映画が好きです。
時代の大きな変化の波涛にもまれる小さな人々の人生が描かれる。
そしてその時代に私自身も参加している感覚を持ってます。

物語は3部構成。
1999年 過去
2014年 現在
2025年 未来

私にとって1999年なんて昨日とさして変わらないし、20世紀の終わりとしてむしろ未来の象徴として認識して子供時代を過ごしてました。その未来としての1999はたいした変化もない連続した日々の延長でしかありませんでした。

でも中国では違う。
鄧小平の改革開放経済を経て、1997年に香港返還を過ぎ、1999年はマカオ返還、そして2008年のオリンピックに向けて音をたたてるように変動が大きくなってゆく時でした。

第1部舞台は山西省の炭鉱の街
来る新世紀を街全体で祝っています。

主人公は幼なじみの3人
町一番の美人 タオ
お金大好き ジンシェン
勤労青年 リャンズ

幼なじみで男女3人といったら起こることは決まってますね。
友人の二人は一人を愛し…。


ところで日本で観る中国映画の欠点は字幕で名前をカタカナで表記すること。
音が違うから漢字表記すると混乱を招くとの心づかいなんでしょうけど。
それでいて苗字や役職で読んだ時も同じ呼称を使ったりする。

漢字で書いたほうが趣きがあります。
饰 沈涛 Shi Shen tao
张 晋生 Zhang Jin sheng
梁 建军 Liang Jian jun

石炭はこの頃はまだただの石ころ
でもここから中国の経済発展を支える黒いダイヤモンドに変わるんです。

投機好きのジンシェンはリャンズの働く炭鉱を丸ごと買っちゃいます。
そして石炭価格が急騰していき富豪になる。
で、もちろん?タオはジンシェンを選び、リャンズは街を出てゆく。

タオはジンシェンと結婚し長男が生まれる。名づけた名前がダラー。
Dollarって意味です。米ドルのこと。漢字で書くと到乐。楽に至る。外来語の中国語表記ってのはいつもセンスありますね。

2部、3部と時代が変わると、ジンシェンはタオと離婚し、ダラーをつれてまず上海に行き、その後オーストラリアに移住します。大金稼いで街を捨てて富豪への道を駆け上っていく。人間関係のしがらみだけでなく、絆も断ちながら。こんな時代なんです激動中国。


ここでジンシェンの名前に意味が出てくる。
「晋生」
晋ってのは山西省のことです。古い国の名前。
山西生まれってこと。お父さんは国境を愛してたんだろうな。
それが炭鉱買って、山を破壊し、妻と友人と縁を切り、故郷をすてて、あげくは国を出る。
カネ、カネ、カネ

1999年に赤いアウディ買ったジンシェンとタオの会話で、いつかアメリカに行きたいなと夢を話します。遠い目標としてのアメリカ。香港でもいいなあ、でも広東語喋れないな。憧れとしての香港。当時すでに発展していた香港は文化の最先端として大陸では羨望の的でした。開放の象徴として。歌手も俳優も洗練されたスターの多くは香港出身でした。喋るのはもちろん広東語。

物語では広東語が中国経済発展過程を測る重要なキーになってます。

1999年タオが働くのは音響機器のお店。
お客さんが持ち込んだCDは香港女星サリー・イップ。
憧れの香港スター。言葉わからないけど雰囲気に浸る。
日本でいったら若者が洋楽聴くって感じでしょうね。



この曲がたびたび重要な場面で流れます。
私もカントン語わかりませんが好きになっちゃいました。
iTunesで落としてヘビロテしてます。

中国にとっての香港は2000年代の中国大発展を経てだんだん色あせて、香港スターも大陸市場をめあてに広東語でなく普通語を使うようになります。映画も歌も普通語バージョンががメジャーに。ジャッキー・チェンだって、アンディ・ラウだって普通語上手になりました。昨年家族で香港旅行しましたがブランドショップに並ぶのは大陸観光客ばかり。でっかい声で普通語しゃべってます。レストランで私が普通語喋るとウェイターの態度は悪いですね。経済的逆転とやっかみ。複雑な香港市民。サリー・イップだっていまではイップでなくイエと呼ぶらしいです。葉=叶の読み方が広東語から普通語へ。

映画の場面2025年での舞台はメルボルン。
ジンシェンは中国を脱出し、息子ダラーとくらす。
ダラーは中国語を忘れ、父とのコミュニケーションはGoogle翻訳。未来だしね。
世界経済で重要な存在となった中国と関わるには中国語が必須との考えからダラーには中国語を習わせます。

ここで皮肉なのはダラーの中国語先生が香港出身なこと。ダラーの母親年代ですが上品な美人です。
おそらく香港返還前に脱出したんでしょう。大陸支配を懸念して自由を求めてカナダトロントへ。トロントは世界有数のオールドチャイナタウン。いろいろあったんでしょう。豪州メルボルンに流れてきた。今は広東語を捨てて、需要の多い中国子息のための普通語教師です。

父ジンシェンのコミュニティはおそらく国には住めない華僑。カネを持って国外脱出。
ここで話されるのは普通語。かつてチャイナタウンといえば広東語か福建語と決まっていました。移民の国をオーストラリアではこの未来では中国人がメジャーなのかも。でも故郷を失い、世代が進むと言葉も消える。カネだけが残る。孤独な老人が無機質に暮らすだけ。

印象的なのはメルボルン観光地の12使徒。
ダラーと女教師がデートします。
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崖が侵食し、奇岩が林立しています。かつて9本立っていた奇岩は徐々に崩れ本数を減らしてる。2009年に8本になった。2025年は5本だったかな。崩れる原因は知りませんがカネ目的の人類が精神を蝕みながら聖徒を犠牲にするように地球を破壊してゆく。ジンシェンが国土を爆破して石炭鉱山を開発したように。

国を出た根無し草の二人がドライブし流れる曲がここでもサリー・イップ「珍重」
もう失いたくない。故郷も国も家族も友人も。

不肯不可不忍不捨 失去你
盼望世事總可有轉機
牽手握手分手揮手 講再見
縱在兩地一生也等你

以上


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by zhuangyuan | 2016-04-30 10:12 | 中国関連DVD、本 | Comments(0)
2016年 02月 09日

新年に歌おう 金持ちの唄

銀座の街を歩いていると聞こえて来るのは中国語ばかり。迎える方もラオックスにユニクロなんかで銀座の品格なんてのはどへやら爆買いのみが目当てって感じです。

先週マレーシアに行ってましたが中国人の街ペナンにも寄りました。そこで訪れたのはプラナカン・マンション。
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プラナカンとははるか昔、明の時代あたりに大陸から渡ってきてマレーの嫁を娶りマレー化した人々を指します。

その旧家を観光客に開放しています。旧正月前ということもありド派手。どのへんがマレー化してるのかよくわからない。
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とにかく金ぴか。食器だとか壺だとかを世界中で、というかヨーロッパから買いあさってこれでもかってほど並べてる。正直私のメンタリティーには合いません。
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まさに爆買いそのものです。
逆に言うとそのくらいしか金の使い道がない。
希少性なんてどうでもいい。多ければ多いほどいい。全部もってこーいって感じ。こんなに独り占めしちゃあ反感買っちゃうよ。でもね華人の金持ちにとっちゃあ成功者で誇らしい。ペナンに来たのだから是非訪問すべきだとゲキ押し。確かに面白い。趣味じゃないけどね。

旧正月ムードはどこでも金キラと真っ赤で飾られてますが軽快な音楽も流れてる。シンガポールで車で移動中に流れて来た歌に笑いが止まらない。

その名も「財神到」財神到
(金持ちの神さまが来たよー!)
http://youtu.be/y-BLwi5Xid0

财神到 财神到 财神来到我家的大门口
金持ち神さまが来たぞ〜 うちの玄関にも

迎财神 接财神 把财神接到我家里头
お迎えしよー 金持ち神さまをウチにお迎えしよー

从今我交好运 财源滚滚来
今日から運がめぐってきて カネがグングン入ってくる

做生意他一本万利 买马票他得心应手
商売やれば大繁盛 馬券を買えば大当たり

万事都东成西就 财神到 财神到
すべてがうまくいっちゃうよ 金持ち神さま来たれ

大家迎接财神到
みんなでお迎えするぞ〜!



華人のカネ崇拝にはあっぱれ
あからさますぎてむしろ気持ちいい。
この精神が共産中国ではながいこと押し込められてたんですから昨今の銀座の様子もむべなるかなと納得できるのです。
文革時に人民服きて地下でこっそり「財神到」を歌ってる隠れ金持ちを想像したら笑えてきた。
以上


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by zhuangyuan | 2016-02-09 06:59 | 文化、歴史 | Comments(0)
2016年 01月 24日

中国ではみんなが天下を狙ってる

ネオ・チャイナ:富、真実、心のよりどころを求める13億人の野望

エヴァン・オズノス/白水社

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大迫力。おすすめします。

読書ブログに書きましたのでこちらも寄ってみてください。


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by zhuangyuan | 2016-01-24 21:59 | 中国関連DVD、本 | Comments(0)
2016年 01月 16日

生涯ベスト級の小説「狼图腾」が映画になった

映画「狼图腾」




日本で公開はいつなのよと待っていましたが
ひっそりと公開されてましたので危うく見逃すところでした。

邦題「神なるオオカミ」
小説の邦題と同じですね。

私は原文で読んだため、ゆっくり丹念に読みました。
読書人生のトップテンに間違いなく入る名作です。
完全に私のツボにはまりました。

中国語ブロガーさんたちとのウェブ読書会にも参加しました。
当時の私の投稿はこちら。
いい場面でしたので力をいれて書いてます。

文革時代に北京の知青がモンゴルに送られる。
草原では人間の活動も大自然の摂理の一部。
神が支配する草原で君臨するのは狼。
人々は生活の糧である牧羊を狼から守るのですが
敵でありながらも畏れを抱き崇拝の対象でもあるんです。
戦いつつも神の決めた絶妙なバランスを保つ。
これが草原で暮らす掟。

長老が率いる遊牧集団に若者2人が預けられる。
毛沢東の政策で知識分子が田舎に出向き農民や遊牧民として労働をさせるというもの。

つまりこのころ中央の意思が草原にまで届いている。
社会主義体制は神を否定し、エリートたちが計画をたて生産を行う。
神の摂理は気にしない。生産、生産、拡大生産。科学万能主義が草原まで達する。

青年たちは大自然の生活になじみ、草原とともに生きたいと思う。
しかし彼らの思想も都会育ちのもの。良かれと思いつつも草原の掟から少しずつずれてゆく。狼の子をこっそり飼っちゃうとかね。

小説ではとにかく自然の描写が圧倒的で、その中で生きる人間を含めた動物たちが翻弄されつつも、歴史の知恵で自然と折り合いをつけてゆく姿が描かれます。

これって映像化できるの?

映画化は嬉しいのですが、狼と馬の群れの戦いだとか、ブリザードの中の狼だとか、餌付けされて野生を失いつつもがく狼の子だとか、うまく表現できるにだろうか?CG使い過ぎて興ざめにならないだろうか?そもそも狼そんなたくさんいるの?

そんな心配は取り越し苦労でしたよ。
モンゴルの大自然も、獰猛な狼も、大迫力の戦闘場面も、
鎖に繋がれた小狼も。期待にたがわぬ映像でした。
小説の映画の権利を買ってから8年かけて動物を撮るのにふさわしい監督を探したというだけのことはある。

この動画に撮影秘話が出ています。映画みてからのほうがいいかもしれませんが。



俳優たちの演技も素晴らしい。
特に中央から派遣された生産隊主任の小役人演技が秀逸。
命令だからと言って自然の掟に背き、失敗したらスケープゴート探し。
上級のために生産あげます。短期間に。

これって60年代の話ですが、こうして自然は破壊されてきた。
計画達成のため、生産拡大のため。
それが改革開放以降は市場経済でさらに拍車がかかって、モンゴルの草原ばかりか地球まで破壊しかねない勢い。そろそろ経済成長至上主義をやめないといけない。
自然の掟に逆らうといつか報いを受ける。

モンゴルの風景にひたるだけでも観る価値あり。


以上

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by zhuangyuan | 2016-01-16 22:16 | 中国関連DVD、本 | Comments(0)
2015年 08月 29日

香港の夜をUberで駆ける。これは社会の窓ですな。

週末に香港行きました。
なん年ぶりかな?
プライベートでは1992年以来。

またUberを使ってみましたよ。
それぞれの場所でそこならではの特徴が出てきて面白い。

まずはヴィクトリアピークの山頂でトライ。
百万ドルの夜景のとこです。
USドルか香港ドルかは不明です。

九龍のホテルチェックイン後に荷物を置いてすぐ出発。

行きはスターフェリーとバスを乗り継いで登る。
バスは15分くらいで着くかと踏んでいたら
大渋滞で一時間以上かかり到着。

疲れちゃったので食事してから夜景スポットに向かう。
大行列!
ここから60分なんて書いてある。
ここまで来て夜景をみないってのはあり得ない。
並ぶしかない。
夜9時ごろで子どもたちはお疲れの様子。

45分並んだところで、とんでもないことに気づく。
私たちが並んでいたのは、ピークのタワーではなく、
山を降りるためのケーブルカーを待つ行列でした。

大ショック。
行列から抜け出るのも一苦労。
私たちの間違いに気づいた韓国人観光客は悲鳴をあげてくれました。
なんてかわいそうなんだと。

タワーのチケット売り場を探すと
並んでいるのは10人程度。
うれしいのか、悲しいのか?

で、クタクタになりつつも夜景を堪能。

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でも降りるのに行列はもうゴメン。
バスだって並んでいるに違いない。

タクシーはいるにはいるが、やたらと観光客と争ってる。
価格交渉かな?
香港のタクシーマナーの悪さは有名です。

そこでUber。
幸い16分で着くと表示あり。

Uber Blackという高級車タイプでちょっと高いけど、まあいっか。
ん?到着が20分後になってる。なんか道に迷ってる様子。
今どこにいるかがマップでわかります。
しばらくすると、ドライバーがキャンセルを通知して来た。
渋滞してるんだろうか?

懲りずにもう一台チャレンジ。
これもぜんぜん着きません。
グルグル回ってる。

あと22分で到着って表示がが12分に変わるまで、すでに20分経っている。
もう嫌だと、家族の忍耐の限界。
渋滞の中、お客のために山に登ってるドライバーをキャンセルするのは忍びないが
バスを選択。

二階建て。
座らなければすぐ乗れるみたい。
一時間立ちっぱなしは辛いけど、もう待ちたくない。

で乗り込む。
2階の方が眺めがいいかなと。
するとバスのドライバーが何やら怒鳴ってる。
どうやら俺に向かって。

カチンと来た。
広東語じゃなくて英語で言えよ!
こっちも怒鳴った。

あっちはさらに、でかい声で同じことを繰り返してる。
やっとわかった。
2階に立つと危険だから1階に行けと。
しかも英語で言ってた。
カントン訛りの英語でね。

"Don't stand on upstair! Dangerous! Go down!"
香港人の英語と普通語はチョー下手。
まあ世界的には日本人の方が下手ってことになってますけどね。

下りの運転で危険さがわかった。
ぶっ飛ばすんです。
満員の客を乗せて、細い下りの山道を。
怖すぎる。
15分で着きましたよ。

それにしてもドライバーの態度悪すぎ。
香港はレストランも売店もサービス悪い。笑顔なし。

かつての中国のよう。
あとでその理由を聞きました。
最近、香港に溢れているのは中国大陸からの観光客。
去年のデモの影響で少し減っているとはいうものの
かなり多いですよ。うるさいうるさい。マナー悪い。

香港は経済では圧倒的に進んでいたはずが
大陸に急速に金持ちが増えてどんどんやってくる。
エルメスもシャネルも行列です。

でそんな観光客を地元民がなんと呼ぶか?
イナゴの大群。
このくらい嫌ってる。
でも金もってる。
蔑みと妬み。
それが香港のサービスの質を落としているとか。

店で普通語で質問して普通語で帰って来たことないですね。
知らないわけないんですけどね。

Uberに戻ります。

2度目のチャレンジはNazhan Roadで。

夜の女人街をあとにして。
誤解を招くといけないのでいいますが
女人街は女の子が好きそうなマーケット通りです。
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込み込みの地下鉄に乗りたくなかったのでUberを。

3分で来ると表示あり。
車はトヨタアルファード。
マップ上では近づいてるになかなか来ない。
と思ったら通りすぎてる。
ぐるっと回ってもう一度通過。
こっちもあっちも気づかない。
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もう一周目でドライバーからSMS。
Call me!
電話をしてやっと会えました。

会えな買った理由は車がアルファードじゃない。
エスティマでした。アルファードは車検に入ったって。

もう一つは乗車場所。
九龍半島で一番の目抜き通りはバス以外は止まっちゃダメ。

いろいろ難しいね。
でもスマホがあれば解決しちゃう。

ドライバーの彼、最近Uber始めたばかりだが
1ヶ月で1100HKドル稼げるって言ってた。
でもそもそもこのお兄ちゃん金持ちっぽい。
ピアスしてるし、散髪毎週行ってそうな髪型。

アルファードは自分の?と聞くと、
4台持ってるって答え。
そのうち一台はランボルギーニだって。
ほんまかいな?

Uber人気ある?

大人気だよ。タクシーはマナー悪いしね。
タクシー乗るのは中国人。俺たちはUber。
ドライバーは客の評価も星でつけますが五つ星いただきました。
もちろん五つ星をお返し。
こうして評価ポイントが溜まってく。

快適だったので帰国時の空港までもUber利用。
ホンダステップワゴンでした。

Uberを最近始めたやさしいお兄ちゃんは
ステップワゴンを日本の中古で手に入れたといいます。
税金が40%って言ってた。
香港でUberは3年前から営業を始め、今では人気だと。

明朗会計カード払いなので外国でタクシー乗る時の緊張感なし。
ボラれないからね。面倒な交渉もないし。
今の段階ではUberドライバーをする人はまずそれだけで意識が高い。

今度は日本で乗ってみよう。

以上




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by zhuangyuan | 2015-08-29 13:49 | 時事 | Comments(2)
2015年 08月 16日

異国の地で夜明け前にUber使ってみたよ 知らない人は必見です

Uberってのを使ってみましたよ。
Uber
出張先のバンコクで。

日本ではまだ浸透してませんがアメリカではかなり利用されてるって
シリコンバレー帰りのイケメン兄さんが言ってた。

簡単に言うとネットワーク化されてる白タク。
ドライブ好きが自家用車で空いた時間で副業してるってイメージ。
スマホでつながってGPSで車と客をマッチング。

さてバンコク。
仕事なんで自由時間はほとんどなし。
あるとすれば早朝のみ。
7:30に迎えが来るので朝5時始動なら2時間は自由になる。

早朝にワットアルン(暁の寺)でも行ってみるか。
ホテルのコンシェルジュに朝に聞いてみると
やめとけと言います。渋滞はまったら帰って来れないぞって。
行きは朝なら40分。帰りはアイドンノーだと。
帰りは通勤ラッシュ渋滞がはじまるよと。

そうだUber使ってみよう。
バンコクでのUberの評判を聞いてみたら知ってる人はゼロ。
でもね夜にアプリを立ち上げてみたらけっこう走ってるんですよ。
自分の居場所を中心としたMapに車のアイコンがたくさん。

よし決めた。
トライしよう。

朝5時、おそるおそるアプリっをたちあげる。
朝でもいるわ。
まだ真っ暗なのにね。

乗車場所を設定。
行き先を入力して歯医者ボタンにタッチ。
車が向かっています。
14分で到着します。
車はフォード。
アイコンを見るとドライバーは若い。

車のアイコンがグングン近づいてくる。
緊張。

着いたか?
ホテルのドアを開ける。

フォード登場。
おおお、いいねえ!

Uber?
Yes! Do you speak English?
A little.

ちょっと心配だけど、まあいっか。

ここに7時に戻らないといけないと伝え出発。
5:40。
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車の中にはiPhoneとiPadを装着してあり
かたやUberアプリ、かたやGoogleMapでナビ。
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ちょっと不安なので自分のiPhoneでもナビしようとしたら
電波悪し。
お兄ちゃんに頼んでデザリングしてもらいました。
やさしいね。

40分後にWat Arun到着。
車を狭い路地に駐車し、
自分ひとりで白み始めたチャオプラヤまで歩く。
なんとワットアルンは改修工事中。
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来年の12月までかかるよと散歩中のおばちゃん。
苦労して来たのにね。
ホテルのコンシェルジュさん教えてくれよ。

数枚の写真を撮り、そそくさと車に戻る。
渋滞こわいからね。
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帰り道は少し渋滞があったものの
計画通り7時にホテル到着。
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ありがとね!
Uber気に入ったよ。

部屋に戻ると早速Uberから領収書到着。
1時間20分乗って234バーツ。850円。
安い。
決済は事前登録しているカードです。

アプリを立ち上げるとドライバーの評価依頼が現れる。
星四つつけときました。

このシステムはいい。
ドライバーの顔が見える。
評価もできる。
何よりいいのは決済がシステム化されてる。
ぼられる心配なし。
ネゴの手間もなし。
これは世界を変えるね。

気をよくした私は翌日も利用。
朝のフライトの前に。

土曜日の5時にアプリ立ち上げ。
さすがに土曜は車が少ない。
需要と供給バランスで割増料金だという。
もちろん同意をタッチ。

この日は日産マーチでした。
日系企業で働くお兄ちゃんが週末の副業で始めたって。
Uber歴一ヶ月。
お互い初心者同士だね。

目的地のワットポーは高い壁に囲まれ、当然ながら開門前。
でもねあいてる門があったので入っちゃいました。
本来拝観料100バーツ。

真っ暗な中、寺に入るにはちょっとビビる。
でもドライバーくんが一緒に来てくれました。
Uberアプリを切って料金加算を止めてくれました。
やさしいね。

お兄ちゃん、田舎から出て来て、ワットポーは初めてだって。
「今、ワットポーに来てるよ」って電話してた。
多分奥さんに。
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夜明けの寺院を満喫し、早めに切り上げる。
まだ時間あるからワットプラケオも通って行こうと
お兄ちゃんが誘ってくれました。

ずっと見ていたかった朝陽に照らされる寺院の目覚め。
ドライバーくんには五つ星をプレゼント。
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以上



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by zhuangyuan | 2015-08-16 10:07 | 時事 | Comments(0)
2015年 08月 09日

キューバまで中国の世界戦略に入っちゃってるの?



ハバナの街を歩いているとよく声をかけられる。
「チーノ!」ってね。
Chino=Chinese 中国人ってことです。

客引きだけとは限らない。
彼らはこう続ける。

「チーノ! タバコ? コイーバ? チッカ?」
Chino! Tabaco? Cohiba? Chica?

おい中国人、葉巻あるよ、コヒーバもね、お姉ちゃんはどう?

Cohibaはハバナ葉巻の最高ブランドね。
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どこでも声かけられる。
時には大通りの向こう側からチーノって。

まあこれキューバに限った話じゃなくて
20年以上前に旅したメキシコ、グアテマラでもこれが日常だった。

パナマ運河の労務者として連れて来られて
いついたらいつの間にやら経済握ってちゃった華僑を妬みと蔑みをまじえてちゃかす。

でもねキューバは共産主義だから経済牛耳るってのはないはず。

じゃあなんでだろ?

最近は大国中国の影響が強まってるようです。

キューバ来訪者の数は日本人が約1万人に対し中国も似たようなものでしたが
ここ数年急増して3万人程度になったという。

キューバにはソ連亡きあと苦しかった。
アメリカに経済封鎖された後はソ連が砂糖買ってくれて
援助もしてくれてなんとかしのいでた。
それがパトロンが先にこけちゃった。

そのあとの90年代初頭の困窮時代をカストロは特別時代Periodo especialと呼ぶ。
配給する食べ物もない。各家庭にヒヨコを配ったなんて笑えない話も。
その期間中にも米国はテロ起こしたり、反政府勢力支援したり、カストロ転覆を企てたって。

それでもキューバは生き残った。
スペインが観光資源に眼をつけた。
音楽もいいねって。
ブエナビスタソシアルクラブだってその一環。

2000年代は中国ブームで資源が上がったので、産油国が力をつけた。
ベネズエラもその一つ。反米チャベスはキューバと組んだ。石油と医療技術をバーター。
チャベスはキューバで英雄ですね。
いたるところで写真を見ましたよ。
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さて中国。
2002年くらいからグングン成長した中国、国際戦略もしたたかなもんです。
アフリカや中南米もがっちり。
キューバに反米だから仲良くしておかないと行けません。

ハバナで泊まったNacional de Cubaは要人たちが招かれることで有名ですが
歴代中国の領袖の写真がずらり。
江沢民、李鵬、胡錦濤、習近平。
力の入れようがわかります。
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サンチアゴ デ クーバの港改修工事を請け負ったらしいし、自動車部品工場も作るって。

キューバはクラシックカーで有名ですが、観光バスはどれもピカピカの中国製。
中国の援助だと言います。目立つよね。中国宇通って漢字で書いてある。
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ハバナ郊外へ行く途中、キューバらしくないマスコットを見た。
ディズニーキャラのニセモノみたいな違和感あり。
そこは遊園地でした。
キューバのアートはいい感じだけど、アニメっぽいのはダメなのかな?
と思いきや、遊園地丸ごと中国のプレゼントだって。
恐るべし中国。
彼らにとっては安いもんでしょうが確実に印象に残る。

そんなキューバ、チャイナタウンもあるんです。
私も最終日の午後に予定したんですよね。
中華街探検。中国語通じるかなって。

でもねいけなかったんですよ。
スマホなくしちゃってさ。
捜索活動です。

この話は別に機会に。

ともかく中国の存在感は大きくなってる。
キューバはキューバらしくあってほしいな。
いつまでも。
カネ、カネ、カネになんないでね。

以上


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by zhuangyuan | 2015-08-09 20:38 | 時事 | Comments(0)
2015年 06月 27日

ダライ・ラマの言葉は英語を通じて世界に届く

ドキュメンタリー映画「ダライ・ラマ14世」鑑賞。

観音菩薩の化身
輪廻転生

ダライ・ラマ13世の死後、その生まれ変わりとして14世となる。
現人神。

人は彼を神と呼ぶ。

でもねダライ・ラマ猊下は言うんですよ。

It's non-sense.
そんなわけねえだろって。

中国共産党政権は彼を悪魔と呼びます。
もちろんこっちもナンセンスだよって。
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I'm just one human being.
僕は人間ですからね。

とは言うものの中国共産党政府はダライ・ラマを恐れているに違いない。
彼の類稀な包容力とリーダーシップが信者を束ねた時の脅威。

彼の講話を聞いたら皆心酔してしまう。
近くに寄ったらあったかくなりそう。

即物的な政治闘争だけで勝ち上がった中国指導者には得体の知れない恐怖感を与えるにでしょう。自身への後ろめたさも加わってね。

百度Baiduのダライ・ラマ14世の説明を抜粋しておきますね。ダライ・ラマ14世
中国政府の見解がよくわかります。
达赖喇嘛流亡海外,依靠西方反华势力,利用“宗教领袖”的外衣,四处奔走游说,散布种种谎言,欺骗国际舆论。
ダライラマは海外に亡命し、西側の反中勢力を頼り、宗教リーダーのカッコをして、四方遊説に駆け回り、嘘ばかり撒き散らし、国際世論を騙している。

ところでこの作品、もっと公開館数多くてもいいんじゃない?
メディアへの露出もすくないよね。
なんでだろ?

中国のほうが儲かるからね。
中国の爆買いばかり話題にしてる。


こんな環境でもダライ・ラマは人を惹きつけてやまない。
ダライ・ラマの強靭さは発信力にあると思う。
流暢な英語で平和を説く。

映画の中で言っている。
日本人よ、英語を勉強して世界を知れと。
そして世界を体験してこいと。

この言葉が一番ぐっと来た。

チベット亡命政権ダルムサーラではチベット語の習得はもちろんのこと
語学としての英語教育を徹底してるという。

チベット語では哲学的なことも全て表現できると言いつつ
英語を勉強させる。世界を知るために。発信するために。

平和な未来なんて空から落ちて来はしませんよ。
般若心経唱えててもダメなんだよ。
自分でとことん学んで掴み取れって。

チベットの僧院でも常に学習。
高僧が言っていた。

慈悲の心と怒りの葛藤。
毎日凌ぎあっている。
慈悲の心が勝る時、悟りが得られると。

私まだまだ学習が足りませぬ。
怒りが勝ってる。
執着しちゃう。

外国語を学んで旅に出よう。

以上

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by zhuangyuan | 2015-06-27 09:19 | 中国関連DVD、本 | Comments(0)
2015年 05月 09日

文革を描く大物監督には冷たい毒がある「妻への家路」鑑賞

映画「妻への家路」鑑賞。

題名からいったらスルーですが陳道明主演で张艺谋監督なら観るしかない。

原題は「归来](帰来)
例のごとく元のほうがよい。
「妻へ」がついちゃうとテーマがちっちゃくなっちゃう。

この予告編のほうがシンプルで深い。

右派として収容された夫の帰りを待ち続ける妻。
巩俐(コンリー)
老けた演技にドキッと。

夫は一度は脱走して妻に会いに来る。
妻と再会もすんでのところで阻まれる。
密告したのは娘。

純粋ないたいげな少女も、迷いつつも時代の価値観に従わざるを得ない。
親をも売るのがイデオロギー。

文革が終わり、20年ぶりに家路につく夫が出会ったのは
記憶障害になった妻。

愛し続け、待ち続けた夫が認識できない。
さらに待ち続ける。
夫を拒否し続ける。
娘とも疎遠になっている。

悲しすぎる。
淡々と時だけが刻まれてゆく。
強い心をもった不器用な人間は時代の変化に器用に対応できない。
信じるものは常に信じ続ける。

器用に立ち回っている人もたくさんいるんです。
それは善悪では語れませんが、文革中も指導的立場で
文革が終わって四人組が追放されて価値観が反転しても、
なおもうまく立ち回りその地位にとどまる。
監督はそれをデフォルメせずに淡々と描写する。

蒋介石が毛沢東になっても
文革がはじまっても
鄧小平になっても
うまく泳いでいくやつはいる。

でも素直で純粋でひたむきなほど時代に潰される。
振り落とされる。

ネットで映画評を見ていると
チャンイーモウの文革に対する批判が伝わってこない、
権力におもねってるなんてものがありました。

私には逆にあまりに冷酷で厳しい批判だと感じました。

だって記憶障害になっているんですよ。

待ち続けた理想の夫は帰ってきた。
でも何か違うんです。
妻への愛は変わらないし
誠実な姿勢も変わらない。
でも何かが。

社会に対する批判精神はどこいった?
思想教育されて奉仕労働させられて
時代が変わって解放、帰郷。
解放されれば良いのか?
怒りがどこへ消えた?
天の差支配への諦観でいいのか?

帰ってくる夫がきっと持っている信念。
それを信じる妻。

はたまた記憶障害の妻は現代中国人民のメタファーか?
経済的には豊かになったけど、社会にはびこる不公正。
不公正を打倒し、理想の革命社会を求めたはずなのに
打倒すべきかつての対象よりさらに醜い格差。
この現状に声を上げない人民は
あるいは記憶障害なのか?

张艺谋おそるべし。

以上









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by zhuangyuan | 2015-05-09 20:49 | 中国関連DVD、本 | Comments(0)