<   2017年 04月 ( 2 )   > この月の画像一覧


2017年 04月 29日

韓国はいつでも事大主義

韓国ソウル南大門前を歩いていると大きなデモに出くわした。日本でも大きく報じられているパク大統領退陣要求か?でもすでに最高裁の結論は出ているはず。じゃあ一体なんのデモ?警備に駆り出されているイケメン警官に聞いてみた。


「このデモは大統領サポーターのデモですよ」

d0018375_08191057.jpg

デモ隊は何か整然としていて統制がとれている。大きな声を上げるが怒りのトーンはない。たまにスピーカーから明るい音楽まで流れる。太極旗と並び大きな星条旗を掲げている。


市庁舎広場にはテントが張られ大きな布にスローガンが書かれている。大統領弾劾は北朝鮮の陰謀だとかなんとか。


日本では朴槿恵大統領弾劾要求デモしか報じられませんが、考えてみれば当たり前、選挙でえらばれたわけですから支持母体があるわけです。彼も次の大統領を争わなきゃいけない。


支持者は年配者が多く漢江の奇跡前の貧乏時代を知っているそうで親米政策が功を奏したと考えてると。


ふと気づくと通りのはるか向こうにもデモ隊がいる。光化門の方から世宗大路を南下してくる。反大統領デモです。こちらは若者中心。いわゆるキャンドルデモ。


若者たちは富の偏りと就職もできない自分たち世代を憂いている。


通りの北と南で対峙する。

怒りが溢れ出していてもたってもいられず街に繰り出したというより、動員され組織だったデモと感じた。運動会の騎馬戦で戦いの位置につくような感覚。緊迫感ないね。


不思議に思ったのは北と南の配置。ソウルは風水の影響を色濃く受けています。北の山を背に王宮があり、今は景福宮があり光化門から南に向かい世宗路が通る。王様は北から南に向かうのです。非常に良い気の流れがあると言います。ちなみにに日本時代はこの流れを断ち切るように朝鮮総督府ビルがドカンと建てられました。今は撤去されましたけどね。



このデモをみると王が睥睨するはずの北から来るのが反体制派キャンドルデモなんです。南から来るのが大統領側です。違和感あり。野党が勝つのが決まってるからかな。


まあその王宮だって北京の紫禁城にいる皇帝が上であるから現代でいうと北京に支持されている北朝鮮、さらにはそれに先導されているというところの左派が北からってのはありなのか?


妄想はともかく韓国の政治を見ると外国勢力の影響が非常に強いのがみていてつらい。大国に囲まれた半島にあるという不幸ゆえ歴史的に隣国に翻弄されてきた。中国、日本、ロシア、アメリカ。外国の干渉のたびに国内が党派に分かれて対立する。いわゆる事大主義におちいる。権力基盤が変わると以前愛国者であったはずのものが売国奴に変わり、抑圧されていたものが不屈の志士となる。西大門博物館は日本時代の刑務所ですがたくさんの独立の志士がたたえられていました。


最近韓国映画を立て続けに観ました。「お嬢さん」「アシュラ」「哭声 コクソン」どれもが戦う相手お互いがどこか別の大きな勢力に操られてる。当事者は騙したり騙されたりしつつもどちらが正義か判別がつかないうちに消耗してゆく。「コクソン」では山あいの村で奇病が流行り罹患したものが家族虐殺を行う。これは最近村に入った謎の日本人が呪いをかけてるにちがいない。朝鮮伝統の呪術師に退治してもらおう。いやカトリック神父に原因見つけてもらおう。いやもしかしてあの美女が元凶?当事者たちは外に解決を頼み、それを鵜呑みにしてさらに戦い続ける。どんだけ血みどろで死ぬんだよ。韓国の歴史というか運命を物語で暗喩的に示してるんでしょうね。


事大主義の最大の対象はなんといっても中国ですが、この影響から逃れるために漢字をなくしちゃった。これはスーパー不便。表音文字のハングルがありますが漢字語とのセットで韓国語が成り立っているわけで70%を占めるという漢字語もハングルであらわすってのは土台無理がある。漢字なし政策のせいで若者は自分の名前の意味もわからない人が増えているという。基本漢字ですからね。また表意文字である漢字があらわす微妙な意味の違いが音だけで表現されて豊かな感情表現ができなくなってると年配の韓国人の友人は言っています。そもそもハングルは歴史的にはそう重んじられていなかった。政府の文書は漢文だった。ハングル漢字混じり文を教育に取り入れたのは日本時代だそうです。ハングルは世宗大王が14世紀に作りました。その功績で歴史上の英雄といえば世宗なのです。その証拠に光化門前の通りには王宮を背に大きな銅像があります。その前にはもう一人の李舜臣将軍の銅像もあります。秀吉の日本軍を撃退した英雄です。ところが世宗の後の時代にも関わらず碑銘には「忠武公李舜臣将軍像」としっかり漢字で書かれているのです。

d0018375_08195057.jpg


もちろん世宗のほうは「세종대왕」とハングルで書かれてます。


これだって漢字語ですけどね。韓日辞書を検索して漢字語だとがっかりします。覚えようというモチベーションがわかない。これがいつになっても韓国語ができるようにならない理由の一つです。한자어가 진짜 많아요。


以上




[PR]

by zhuangyuan | 2017-04-29 08:27 | 文化、歴史 | Comments(0)
2017年 04月 20日

狂気の芽は自分自身にも

「葛城事件」鑑賞。
d0018375_15033328.jpg


ずっと観るチャンスをうかがっていましたが、重苦しい内容だとわかっていますので躊躇します。ブルーに耐えるのは体力が要りますのでこれまでタイミングが合いませんでした。名画座でたまたま時間があったので疲れは横に置いて夜の最終回を観てきました。

案の定はじめから終わりまで沈鬱なムードで貫かれ救いがない。しかも全員が暗い。三浦友和演じる最低な親父も怖いが、ちょっとネジが外れた系の妻役南果歩のカラ回りした明るさがもっと怖い。

凶悪殺人を犯した次男はどう育ったのか?家庭が崩壊したのはなぜか?父親はいつから傍若無人なふるまいをするようになったのか?

さして大きな転換点があるわけではない。どこかでボタンを掛け違えたままジワジワと深々と軋轢の起点に重しが積み重なっていく。

登場人物は皆、それぞれ描いていた未来と違う自分に気づき、それでいてそこに正面から向き合わず誰か他人や社会そのものに理由を求め、自らの不作為に対しても細かい言い訳を繰り返す。その言い訳は外部に対して行っていたはずであるが知らぬうちに自らもそれを信じ込み、というか信じざるを得ず、それに固執してしまう。正義と思い込もうとすればするほどに後に引けなくなる。

父親の人格を形成してきた成り行きを想像すると、学歴はないながらも親の店を継ぎ、時代の勢いか、それなりに成功し、家庭も持ちマイホームを立てる。ある一つの到達点。ここからは幼い子を育てあげる責務が加わる。

十数年後にはこれまた時代のせいか仕事はうまくいかず、マイホームはくすんだ色合いとなり、家には無職の次男が無気力にこもっている。妻が甘やかしすぎた。学歴は大事だと当てほど言い続けたのに。俺のせいではない。でもどう考えても父親の血を多く引くのは次男のほう。父親のように世を憂う言動を繰り返す次男。いつか一発逆転してやると唱えつつ悶々と過ごす。父親も何かをなすことなく子供に自分を仮託しつつも上手くいかないことは自分以外に安易な口実を見つけののしり、時に暴力に訴える。

長男の嫁の実家と中華テーブルを囲む場面がヒリヒリして痛ましい。20年家族で使っている店に招待したまでは良かった。麻婆豆腐が辛すぎる。店長呼んでこいと怒鳴りつける。ホストたる自らのメンツを立てることに必死で客はそっちのけ。それでいて自分の選択があっていたことを相手に執拗に合意させるべく、水餃子がうまいと言い続ける。1人よがり独り相撲。なんのコンプレックスがそれをさせるのか?自分のあるべき姿との違い、周りとの違い、時代のずれ、浮いている自分がわかっているのに認められない。

家族をとりまく人々も含めすべての人々が大小、濃淡はあれど不如意な自分への言い訳を続ける。これは時代性のせいなんだろう。大きく背伸びして膨らんだバブルとそれに続く長期停滞。一度上を知りながら下にいる理不尽感を大多数が持っている。オレのせいじゃないんだ。オレはやってきた。それなのに..

観ているあいだ終始ざわざわさせられっぱなしでした。その夜寝てる間もざわついていたような。

これほどの破綻はないというほどの家族崩壊が起こるんですが、それほど特別に追い込まれる環境がなくとも、もっと言えば自分自身でもいつの間にかこうした破綻に近づく可能性を想像させられるキツイシンドイ映画でありました。みんなと語りあいたいけどもオススメするにはむごすぎる。

以上

[PR]

by zhuangyuan | 2017-04-20 14:58 | 映画 | Comments(0)