中華 状元への道

zhuangyuan.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:言葉( 52 )


2017年 02月 01日

映画「十年」香港の核心的価値とは?ヒント:カネじゃない

香港映画「十年」鑑賞@多摩映画祭(2016.11.27)。
d0018375_20014467.jpg

FBで前日に上映会を知り駆けつける。会場はぎっしり。こうした地味なテーマに惹きつけられる同志がこれだけいるとはうれしくなる。

中国大陸の影響が強まるなか香港の十年後の姿を描いた問題作。アクション映画でもなくスター俳優が出ているわけではない本作が公開されると話題が話題を呼び大ヒット。大手映画館にはかからなかったにもかかわらず学校の体育館で上映会をやるなどして広がっていったという。この映画を観ることが現体制批判の意思表示として1つのファッションとなったと。その結果、超話題作スターウォーズを凌駕するヒットになったそうです。

5本のオムニバス形式である本作は十年後の諸相が異なる角度と様々なスタイルで映像化されている。

テーマは下記
国家安全条例制定
歴史の破壊と保存
消えゆく広東語
独立運動と焼身自殺
言葉狩り

それぞれこんな題名がついています。《浮瓜》《冬蟬》《方言》《自焚者》《本地蛋》

国家安全条例立法化をめぐる権力者の陰謀をヒットマンの葛藤から描く。権力におもねる統治者が大陸にいると思しき上層部からの指示で条例を通すための事件をでっちあげる。狙撃役に選ばれた2人はためらいつつもわずかな金欲しさに自分が実行したいと争う。そしてその結果は?

大陸と香港、香港政府と庶民、金持ちと貧乏人、権力と裏組織、いくつものメタ構造がこの狙撃をめぐる人間関係の行く末で預言されてるようで恐ろしい。この条例は胡錦濤が就任直後で国内で政争ネタになるのを恐れて断念した経緯があるそうだ。今中国は当時からすると存在感がぐっと増しており、さらに10年後なら言わずもがな。危機をあおる狙撃茶番など要らなくなるほど香港市民の洗脳が進んでいるかも。であるからこそ香港人民が今こそ政治に関心を持たなくてはならない。これこそが本作の狙いでしょう。もちろんわれわれも日本人も政治を意識しないとね。

人権に関心のない大陸政府に対抗するため独立を願う10年後の若者たちがすがったのがイギリス政府。国際世論の関心を引くためイギリスに訴える方法は強烈すぎる。英国領事館前の焼身自殺。

このストーリーの中で意識されてるのは香港の多様性。自由と民主を求める若者たちの中の重要な役でインド系の女子学生が出てくる。香港といえば中国人と英国人の国。なぜインド人が?香港のイメージは中華系の金融センターでありカネによってシンボライズされている。自由なカネを回すには安定したルールが必要。自由なシステムの元では人種は区別されない。そこではアイデンティティは血ではなく、民主的に決められた法治主義のもとの自由。英国統治時代に香港に来たインド系も多く移民してきており、彼らも代かわりして香港の自由のために戦っている。単に中国からの政治的独立だけでなく普遍の価値を求めた戦いであることをインド系を登場させることで象徴させているのではないか?

正直、映画を観るまでは、報道で若者たちの抗議デモを見ていてもピンと来なかった。民主とか自由とか言っても結局は香港人ってカネ第一じゃないの?土地への帰属心もうすく中国返還が決まったらどんどん海外に脱出したよね。バンクーバーなんて香港人増えすぎてホンクーバーなっちゃった。そもそも彼らに香港人としてのアイデンティティはあるのかと疑問を抱いていた。そこで上映後トークに登場したジャーナリストの福島香織さんに質問してみた。

「香港人のアイデンティティって何ですか?」

Rule of law 法による統治が香港の核心的価値であると香港の識者は主張していると。統治者が都合よく法をふりかざすRule by lawと異なる厳かな法による統治。為政者も法に支配される。「香港を知るための60章」でもイギリスが残した民主主義について触れている。返還を前にイギリスは優位に交渉するためとはいえ香港に高度な自治と社会福祉を充実させたと言う。返還にあたっては「五十年不変」を鄧小平に認めさせた。その高度な自治が骨抜きにされつつある今日、雨傘運動につながってくるのだと言います。

5つの物語で私が好きなのは「方言」。コミカルタッチな作品です。普通語がメジャーになっている十年後の世界では広東語は方言扱いされ、タクシー運転士も普通語をマスターすることが義務付けられてる。普通語試験に合格しないと「非普」のステッカーを貼られ空港などでは営業ができない。空港を利用する人の中にも当然広東語しか話せないひともいるのに広東語では営業できない。早く合格した香港人ドライバーからも蔑まれる。息子は学校で普通語マスターしてるのに親父はできない。香港の地名は広東語か英語だったのに普通語で発音しなきゃならない。サッカー選手のベッカムDavid Beckhamなんてのも香港では英語で呼ぶわけですが普通語では大卫·贝克汉姆と呼ぶ。Dawei Beikehanmu、ダーウェイ ベイコーハンムー。かなり笑えるのですがだんだん悲しくなってくる。言葉統制は統治の基本。日本も韓国や台湾でやりました。

香港では言葉がちょっと複雑。英語が入ってる。グローバルでは英語が主流ですがそれも排除すると言うのが十年後。もちろん想像の世界でのことですが。しかも香港は復帰直後までは中国世界の経済的繁栄の象徴であり、大陸中国の目標であり憧れだった。そのシンボルは広東語だった。スターがしゃべる広東語がかっこよかった。その排除にはかつての劣等感の裏返しがあるんでしょうね。

そのコンプレックス感は「本地蛋」の物語にも出てくる。「地元の卵」って題名です。十年後には中国大陸産卵を食べることが義務付けられ最後の地元養鶏場が廃業する。「本地」ってのは地元くらいの意味ですが香港ではすこしセンシティブです。遅れた大陸中国ではない文明化された我らが香港との響きがある。この「本地」という言葉も十年後には排除の対象となっている。そんな情勢下で衛生と滋養を満たした地元の卵を作ってきた最後の養鶏場経営者が追い込まれて行く。地元卵を売る店も取り締まられる。街を偵察して密告して糾弾するのは少年たち。文革の紅衛兵を模した少年軍。洗脳、密告、排除。醜悪です。でもありえるよね。すこし前にあったんだから。物語の最後には養鶏場経営者の息子が父を支持して立ち上がり希望を残して終わるのですが、いかにもありそうでこわいお話しでした。

私、二年前に久しぶりに香港旅行に家族で行きました。普通語はずいぶん通じるようになってました。ただレストランなどで普通語をしゃべると店員の態度がめちゃめちゃわるくなるのが困りものでした。その理由を友人に聞きました。香港には大陸の旅行者が大挙して押しかけ金に任せてやりたいホーダイ。大陸観光客に経済的にはたよりつつも異質な者として嫌っているのだそうです。香港人は彼らを揶揄してイナゴの大群と呼ぶ。700万人口に対して大陸からの訪問者4700万人(2014年)であると前掲書にある。香港は急拡大する中国と国際社会の摩擦の先端となっている。それを見るだけでも香港に行く価値がある。映画を観た後に訪問するとさらに奥行きが見えるようになる気がする。香港では若者が戦っている。

以上


[PR]

by zhuangyuan | 2017-02-01 19:53 | 言葉 | Comments(0)
2016年 12月 04日

間から声があふれだす

「声の氾濫」と題するパフォーマンスに浸ってきた。語りと音楽の融合。テーマがいずれも私のツボをついてきて脳みそが熱を持ちすぎた。おかげで夜も眠れない。1時間おきに目が醒める。声がぐるぐるまわってる。
d0018375_17451634.jpg


リワイルディング 新しい野生化
日本語 中国語 台湾語
方言 南部弁 東北
時を超える旅と語り

第2部の討論会で司会の中村和恵さんが言った。
4人のテーマはいずれも「間にあるもの」と言えると。間からの叫び。ただその間には暴力の影が感じられると。

オランダの打ち捨てられた干拓地が自然の力のみで再野生化する。そこは決して原生林ではないが二次林のような力強さがある。人間の手を入れず自然が再構成されて行く。そのイメージは福島の再生ともつながる。しかしこちらには不遜な人間が不恰好な手を入れつつある。権力を背景に。人間の作為と不作為の果て。そしてその間。

近代の歴史の波間で漂う台湾もしかり。権力と結びついた言葉の支配と教育があった。台湾では国の定義すら言葉に弄ばれる。温又柔さんは言う。なぜ自分が日本語をしゃべっているのか?、それのみが創作者としての関心事だと。パラレルワールドの自分のダブルと思しき女の子、唐咲蓉。彼女が子供時代に母国語として習うのは國語と呼ぶ中国語。学校で一斉に唱えるのはJiang Zongtong Wansui ! 蔣總統萬歲! 國語で温さんが発した言葉に動揺して鳥肌がたちました。そして続ける。光復大陸!彼らのしゃべる國語は台湾の地すらも故郷としない。アイデンティティを求めるその先の曖昧さと危うさ、もっというなら醜悪さ。まさに間からの叫び。そこは割り切れない世界。

木村友祐さんは故郷に帰って方言でしゃべるときの心の伸びやかさを感じるという。経済至上主義の標準語教育により異質なもの、遅れたものとされた方言。標準語と相対するときしゃべる者をも自ら劣等感を抱かせる方言。木村さんは「まづろわぬ民」=服従しない民の言葉として方言をイサに化身して再生させる。自身より一世代前の濃密な方言をまとう。そして叫ぶ。「さがべ」と背をおす。方言での朗読、というか絶唱が、大きな流れとあらがうもの、流れから取り残された全てものたちにに普遍的に響く。そんな木村さんも東京に出てきて暮らしていると故郷八戸でも同じ時間が流れていることをしばし忘れていたという。東京中心主義標準化画一化。間のない世界。間のからの叫びが聞こえた。

姜信子さんは旅の言葉を声にしたいという。文章家はとかく論理や実証を求めがちだが矛盾しているもの、理屈の合わないものにこそ真実が宿っていると。そして理屈のない旅のコトバはどこかでみんなつながっているんだと。中村和恵さんはそれを「巨大なお芋」と表現した。一個掘り出すとどんどこどんどこつながってる。

アルバニアの地で管啓次郎さんが朗読した日本語の詩にアルバニア人聴衆が涙したことを思い出す。お芋はつながってる。

旅する詩人管啓次郎さんは言う。人は世界で見たものを書いて伝えなきゃいけないと。だから私も書いてみた。

頭を少し整理したから今日は眠れるかな?

以上







[PR]

by zhuangyuan | 2016-12-04 17:19 | 言葉 | Comments(0)
2014年 12月 05日

国家の言語戦略

昨日はシンガポールのお客さんと一緒でした。
彼はアメリカに留学していたらしく英語がぺらぺら。
私のiPhoneの着信に漢字表記がでたことで
マンダリンがはなせるのか?と聞いてきた。
いやいやこれは日本語だよ。
マンダリンもいけるけど。

彼もマンダリン(北京語)が話せる。でも広東系華人。
学校で習ったんだって。

シンガポールの学校では第一言語を英語として、
華人なら第二言語をマンダリン、
マレー人ならマレー語、
インド人ならタミル語とするんですって。
さすが国際国家シンガポール。国家として世界で生きる戦略ができてる。

以前はマレー語が第一言語だったそうですが英語にかえたそうです。
国民国家としての言語統一を目指すのでなく多様性をあえて残す。

先日会ったマレーシア人曰く、シンガポールとマレーシアいずれも多民族国家だが
うまく連携して助け合ってるのはシンガポール、
マレーシアはマレー人優遇のもと民族同士が年中喧嘩ばっかりしてるのがマレーシア。
その差が経済格差になったのだといいます。

シンガポールはリークアンユウ以来、明るい独裁国家で確固たるものがあるけど
マレーシアはマハティールが変わると喧嘩ばかり。ホモ疑惑で政敵を追い落としちゃう。

かのマレーシア人は華人ででシンガポール在住、会社も経営。奥さんもシンガポール人だというので、
そんなにお金あったらいつでもシンガポール国籍とれるでしょ?と聞くと、
マレーシアで仕事するにはマレーシア人であったほうが有利だと現実的なお話をしてくれました。

国籍もビジネスライクで選択。さすが華僑。
マレー人優遇でも経済はやっぱり華僑。
みんな英語もぺらぺら。
金儲けには言葉が必要です。

以上




[PR]

by zhuangyuan | 2014-12-05 22:03 | 言葉 | Comments(0)
2014年 08月 28日

文化を訳すのって難しい

イスタンブールへ向かう飛行機で隣り合わせになったのはアメリカの青年でした。

Can you speak English?
Yes, I can.

彼はバーレーンでコーストガードに勤務してるとのこと。
wikiによると南部の25%は米軍基地だという。

バーレーンはイスラムですがお酒は許されており、週末になるとサウジあたりから金持ちが酒目当てに来るそうです。

「オレはイスラム嫌いだよ。あいつら荒っぽいしね。いつも威張ってる。俺のHONDAは買ったその日にぶつけられて、逃げられた。イスラム教もやだよ。あいつら俺の生活も強制する。ラマダンの時は、外で昼間食べられないし、短パン、半袖もダメなんだ。」

いつも海上でテロリストを見張り、イランなんかのボートと追っかけこっこしてるらしいので、好きになれないよね。

「日本はいいね。礼儀正しいし。女の子もかわいいよ。美人の確率はアメリカより高いんじゃないの? こないだのあの子は部屋に連れってくれたしね。」
草の根国際交流。

日本での休暇は楽しんだ様子。

日本では不思議なことがいくつかあったようで質問してきます。

「バーで仲良くなった友達に、自分が払おうとすると皆んな断るんだよ。これって日本じゃ普通なの?なんで?」

「それは遠慮してるんですよ。」

と言おうとしたら
英語が思いつかない。
というか、
ないよねこういう表現。

苦し紛れにこう説明しました。

「あなたに払わせると、あなたに悪いと思うし、申し訳ない気分になる。
これは日本人の間でも同じ。まず初めは断るんです。でも2回3回言うとOKになるよ。」

難しいよね、日本の風習。

そういえば、昼飯奢るって表現も変だよね。
英語に直訳したらわけわからないだろうな。

「アメリカのバーだと席にあるベルを鳴らすには店の客全員にご馳走するよって合図なんだよ。」
太っ腹システム。


「あとさあ、ナイトクラブに入ろうとすると、どこでもメンバーズオンリーって断られるんだよね。そんなに会員制って多いの?」

「店に英語しゃべれる人がいないから断ってるだけだと思うよ。」
「やっぱりそうか!」

フレンドリーのようで、あと一歩踏み込めない不思議の国、ニッポン。
以上
[PR]

by zhuangyuan | 2014-08-28 11:13 | 言葉 | Comments(0)
2014年 08月 03日

マレーシアで何語でしゃべる?

マレーシア人の小説家Tash Awさんは英語で小説を書いています。
なぜ英語で書くのか?
マレー語で書くと政治性を帯びてしまうと。

シンポジウムで聞いたこの言葉の意味がいまいち飲み込めませんでした。
マレーシアに行ってみてやっとこの意味がわかったような気がします。

クアラルンプールでは様々な人種が行きかい、様々な言葉が話されてます。
英語、各種中国語も多く話され、インド系も多いのですが公用語はバハサマレーシアのみ。
国民統合の術としてマレー語があります。マレーシアの言語政策
マレーシアから独立したシンガポールがマレー語、華語=普通語、英語、タミル語をともに公用語としているのと対照的です。

クアラルンプールを案内していただいたご夫婦は華人系。
2人の会話を聴いていると中国語に英語が混じってる。マレー語は一切なし。
家庭では何語で?と尋ねてみた。

旦那さんの母語は福建語、奥さんは客家語。
それじゃお互い通じないので主に広東語を使ってるといいます。
二人とも学校はイングリッシュスクールを出たとのことで英語も良く使うと。
マレーシアはいまでも英連邦に属しており英国の影響はつよいです。
もちろんマレー語も学校の授業では使うわけで喋れるのですが
習った言葉って感じで母語という感覚はないのでしょう。

なんでマンダリンじゃなくて広東語なの?と聞くとさらに興味深いお話。
クアラルンプールでは広東語を話す華人人口が多いからだそうです。でもマレーシア全土で広東語というわけではないと。ジョホールバルではマンダリン、ペナンでは福建語がメジャーだと。ジョホールバルはシンガポールの影響で北京語が多く、ペナンは福建華僑が多いといいます。

今回の旅は家族で行きましたが、息子はガイドブックに載っているマレー語を使いたがります。
テレマカシ(ありがとう)、スラマットパギ(おはよう)なんて。

華人のご夫婦にも「テレマカシ」とお礼を言い、お二人も「サマサマ」(どういたしまして)と返してくれるのですが、それは母語としてではない言葉としてなんでしょう。

マレーシアへ行くまでのイメージは経済発展は遂げたものの個性のないのっぺりした国家というもの。
イスラムでまとまり、マレー人優遇で、法律も厳しいと。

でもわずか数日いただけでイメージ一新。
人種のごった煮で活力が溢れてる。
マレー人、華人、インド人に加え、インドネシアやバングラデシュからも出稼ぎが集まり、
観光では中国、韓国人がわんさか。

それに加え中東のアラブ人も沢山訪れるそうです。
目当ては観光と買い物。
同じイスラムとしてハラルフードが食べられる安心感。
お祈り場所だってありますよ。

もちろん日本人だってたくさん。
定年後の第二の人生をマレーシアでなんてお方もかなりいると。
案内してくれたご夫婦のお友達も二人コンドミニアム買って暮らしてると。
英語もほぼどこでも使えるから安心です。
まだまだいけるねマレーシア。

ちなみにマレーシア航空の機内エンターテイメントは国際色ゆたか。
選べる言語はこんなにも
マレー語。英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、アラブ語、ヒンディー語、タミル語、マンダリン、広東語、タガログ語、日本語、韓国語

圧巻です。


以上




[PR]

by zhuangyuan | 2014-08-03 13:28 | 言葉 | Comments(4)
2012年 11月 23日

中国コピー商品 梁山泊説

先日、朝日新聞書評欄に余華のエッセーが紹介されていました。

ほんとうの中国の話をしよう

余 華 / 河出書房新社


余華といえば

活きる 特別版 [DVD]

ハピネット・ピクチャーズ


この本はキーワードで中国を評論しようというもの。
書評にあげられていたのは「山寨」という言葉。

もともと山奥の防御用建造物をさすが、今は政府に管轄を外れたものをさす。
・・・・この言葉をかぶせればコピー版や海賊版も社会心理において合法的、合理的なものに化すという。


この紹介だけではぴんときませんでした。
ネットで検索しても「パクリ商品」などという軽い言葉しか出てこない。
もっと深みがある気がする。

そこで原文をあたってみました。「十个词汇里的中国」(10のキーワードで読む中国)
(もちろんただで。)

最近このブログが中国語学習目的であったことを忘れているようですのでちょうどいい機会でした。

中国にはケータイだったり、ブランド品だったり、DVDだったりと、
ありとあらゆる偽物、コピー品が氾濫していますが
その頭に山寨とつけるとなんだか かっこいいらしい。
偽物k-タイなら山寨手机、
コピーDVDも盗版じゃなくて山寨版。

山寨というと砦です。
腐敗した皇帝を倒すための反乱軍の砦。
水滸伝の梁山泊みたいなものです。

中国ではこの逆賊ってのが天命を得ると皇帝までのぼりつめちゃうって例が
いくらでもあるから、この砦にこもって戦う、奴らってのも、けっこうかっこいい。

毛沢東だってそんなようなものですよね。
農村から都市を包囲してゲリラ戦しかけて天下をとった。

今の中国はすっかり経済大国になっちゃって
貧富の格差が拡大して大変なことになってます。
そんな状況下で共産党と国有企業が甘い汁をすって管理しようったって
言うことなんて聞かねえよっていうのが山寨精神なんでしょう。

WTOだとか最近はTPPだとかコピー商品取りしまりとかでやかましいですが
そんなものは勝ち組が支配の構図を固定化したいだけです。
えらそうなお題目掲げたって結局は既得権益の保護ですね。

山寨たちは逞しいのです。

山寨现象是草根文化向精英文化发出的
挑战,也是民间对官方发出的挑战,弱势人群对强势人群发出的
挑战。

(山寨現象は草の根文化がエリート文化にしかけた挑戦なのだ
もしくは民間が官に対して起こした挑戦ともいえる
弱いものたちが強いものたちに向かっていっている)


かっこいいなあ。

。社会矛盾的普遍和尖锐,引发了世界观和价值观的混乱,
然后催生了山寨现象。山寨现象可以说是多种多样的社会情绪日积月累以后,
突然间释放了出来,然后不断演绎成了反权威、反主流和反垄断的闹剧似的社会革命。

(社会矛盾が普遍化し、激しくなり、世界観や価値観が混乱を来たし
山寨现象が発生してきた。山寨现象は社会の多種多様な不満が鬱積し
突然吐き出され、反権威、反主流派、反独占に立ち上がっているような
社会革命といえる。)


中国の今をときめく民営企業だってもとは違法すれすれでやってたわけです。
共産党だって思いっきり違法だった。

今はおれ達も豊かになってやるって山寨から立ち上がっているのです。

北京五輪のとき、政府は聖火ランナーを官が選抜し、走るルートも厳密に規定したそうですが
このときも山寨聖火ランナーが登場したとのこと。誰もが国を愛しているのだから、選ばれなくっても
おれ達だって権利があるんだと田舎の農民たちが立ち上がった。

村民手拿自制的简易火炬互相传递,每一个村民都有资格参加,
无须经过政府有关部门的批准。他们神情自豪,他们对祖国的热爱丝毫不亚于正版的火炬传递者

村民たちは手製の簡易聖火つなぎ、村民みんなが参加の資格をもち
政府部門の許可も必要もない。彼らは誇りにあふれた表情で、
祖国への愛は、正式な聖火ランナーに少しも劣ることはなかった。


ともすると中国人民は強力な政府に押さえつけられていると思われがちですが
民の草の根はこちらでも思うより良いずっとずっと強靭なのです。

そしていつか天下がひっくり返る。


以上
[PR]

by zhuangyuan | 2012-11-23 21:06 | 言葉 | Comments(1)
2012年 04月 30日

ものの値段 辞書を買う

小学校三年生の息子が辞書を買ってくれと言う。
学校の授業で使うとのこと。
使うというより引き方を習うようです。

「家にあるものを持って行きなさい」というと
「広辞苑がいい!」と

なんでも、でかい辞書をもっていって学校で自慢したいからだそうです。
ランドセルに入らないとおもいますけど。

そこで家にある国語辞典をチェックしてみると
一つはこれ。

例解学習国語辞典 ドラえもん版

金田一 京助 / 小学館



もう一つは新明解国語辞典。
これは私が学生時に使っていたもの。

奥付をチェックするとなんと1982年12月印刷のもの。
おそらく中学校入学(1983)にもらったものでしょう。
つまり私は中学入学以来一度も国語辞典を買わなかったわけです。

じゃあまあこれを機会に広辞苑を買うとするかと決心。

広辞苑 第六版 (普通版)

新村 出 / 岩波書店



子供用に8400円は高い。
しかも必ず乱暴に使われるし落書きもされる。
それならいつものブックオフで。

ということでブックオフ行脚を始めました。

一番近くの店舗では第六版が4000円。
ブックオフでこの価格は高すぎ。
しかも半額という安易な価格設定が駄目。
パス。

次の店舗。
第四版が3250円。1994年物。
これはバカにしてる価格設定。
しかも表紙が少し痛んでる。
仕入れは100円とかにしてんだろうな。

本は買った時点で減価される。
本の価値=内容+装丁は原価に占める割合は半分以下といいます。
あとは書店の利益と流通費など。

ですから古本屋に売ると安くなる。
でも売ってる値段は結構高い。
売れ残りリスク代かな?

今回の目標購入価格は1500円。
ということでさらにいくつか回りついに候補が見つかりました。

第五版 800円 表紙に痛みあり。
第五版 1900円 かなりキレイ。
第四版 100円 痛みあり。

第四版は前の店舗で3250円だったのと同じ1994年もの。
まずこの店舗の良心的な価格設定を評価。

でもこの一冊しかなかったら恐らくもっと高く設定するんだろうな。
ほかに選択肢があるとかなり見劣りする。

第五版は1998年もの。
古いことは古い。
はじめの店で第六版の価格が高かった意味がやっとわかった。

どうせ汚くされるのだから安いほうを買おうかなとつつも逡巡。
キレイなほうは、本屋の発注用のしおり(スリップというらしい)も入っており
おそらく誰も使ってない。

まあその差1100円なら気持ちよさに一票ってことで
結局1900円ものをゲットしました。
目標の1500円はオーバーしましたが選択肢をたくさん示されると
ついどれかを選びたくなる。これは心理ですね。


そこでふとiPhoneを見る。
「鍵を忘れたので外で待ってます。」という妻からの恐ろしいメール。
すでに15分たっています。
折り返しメールをしようとすると
今度は着信が。

「メール見た?」
「すみません。すぐ帰ります。子供用に広辞苑買ってました。」

買い物から先に帰った私はついついブックオフ詣でをしてしまいました。
あと二冊、自分用に買ったのは内緒。

家の前でお待たせしたのは計40分。
まあ許容範囲かな?

以上
[PR]

by zhuangyuan | 2012-04-30 11:20 | 言葉 | Comments(2)
2012年 01月 29日

辞書を作るって?

舟を編む

三浦 しをん / 光文社



なんか気になる題名だなとは思いつつ、手に取らないでいたところ、
ラジオでの紹介を聞き、辞書の本だと知りました。

舟とは辞書のこと。

言葉という大海原を航海するための舟。

うまい。

辞書編集部のお話です。
ある出版社でその名も「大渡海」という辞書を出すことになった。
その出版までの人間模様。

辞書作りで小説を書こうっていう発想がすごい。
しかも恋愛まで絡んでくる。
青春ドラマといってもいいかも。

『「愛」(あい)』という項目に同性愛も入れる必要はないという編集者に
後輩が一言。

「 『大渡海』 は新しい時代の辞書じゃないんですか。
多数派におもねり、旧弊な思考や感覚にとらわれたままで、
日々移ろっていく言葉を、
移ろいながらも揺らがぬ言葉の根本の意味を、
本当に解釈することができるんですか。」

かっこいい。

言葉好き、語学好きにはたまらない小説です。

言葉に関する薀蓄も面白いのですが
私が興味を引かれたのは紙の品質のこと。

紙メーカーがその辞書のために特殊な薄紙を開発する。
紙質へのこだわり。
ぬめり感なる言葉があるそうです。

指に吸い付くようにページがめくれるような感じ。
それでいて紙同士がくっついて複数ページがめくれることがない。

確かに辞書の紙って独特ですよね。
でもこれは日本の辞書がやっぱ一番いいように思います。

こないだブックオフで買った角川「新字源」はかなりいいぬめり感があるような。

私の机には

Collins Cobuild English Dictionary
现代汉语词典
프라임 한일사전

など各国出版の辞書がありますが
どれも紙質は日本より劣ります。
ちょっと厚かったり、開いたページでとまらなかったり、重ねたままの状態にゆがみがあったり。

いいぞメイドインジャパンって感じ。

先週もちょっとした辞典を買いました。
私は辞書系が好きです。
研究するわけでないのについ買ってしまう。

今回はご縁があって買いました。
韓国語教室で先生が作ったという辞典を紹介されたのです。

「舟を編む」を読んだばかりで、辞書を作る苦労をしっているので
辞典を作ったと聞き、びっくりしました。

カラー版 とっておきの韓国語会話表現辞典

カラー版 とっておきの韓国語会話表現辞典 / ナツメ社



一年半もかかったとおっしゃっていましたが
私の感覚はそんな短い時間で?といったもの。

たずねてみると、まず英語版のシリーズがあり、そこに出てくる日本語例文を
韓国語にしてゆくという作業であったと。

でも英語とちがって、敬語のレベルが何段階かあるので苦労したと。
カジュアル、スタンダード、フォーマルと表現方法を分けて書かれています。

さて、例の「ぬめり感」はというと?

ブッブー、×です。

カラーだからしょうがないのかな?

たぶん会話辞典なんていうのは気軽に手に取れる
親しみのあるカラフルなものの方が売れるんでしょうね。

以上
[PR]

by zhuangyuan | 2012-01-29 22:03 | 言葉 | Comments(10)
2011年 12月 25日

The Reality Distortion Field

Chinesepodを聴いてましたら「スティーブ・ジョブス伝」の評論に関する話題がありました。
なんでも中国ではジョブズの熱狂的なファンが多く、彼の氏がアメリカでよりショックを与えているといいます。

この文章のなかに「现实扭曲力场」という言葉が出てきます。
Reality distortion fieldを訳したものです。
なんとも魅力的な言葉です。

ジョブズはこれをもっているといいます。
つまり現実を捻じ曲げてしまうフィールドを持っている。

ネットでは日本語で現実歪曲空間と訳されているケースが多い。
ちなみに日本語版「スティーブ・ジョブス」では翻訳家、井口耕二氏が「現実歪曲フィールド」と訳しています。
先日、井口氏の話を聴きにいきました。
日本語版は読んでいないのですが英語版は購入し数章読みました。
The Reality Distortion Field と題する章まであります。

Steve Jobs

Walter Isaacson / Simon & Schuster


Chinesepodではジョブスを形容するときだけに使う専用言葉だといっています。
そもそもはジョブスの部下が初めてつかったそうで
スタートレックの宇宙人がつくりだすフィールドだったと。
ともかく人間界ではジョブスだけが使うんでしょう。

ジョブスの偉大さを表す凄い言葉です。
じゃあどんな力なのか?
Chinesepodで取り上げた評論らしきものがネットありましたのでそこで見てみましょう。
现实扭曲力场

强大到逆天的能力可以说是乔布斯改变世界的一个重要武器,力场一开,黑的就变成白的,假的变成真的,不可能变成可能。

強大で天にも逆らう能力でジョブズが世界を変革する重要な武器だと言える。
この磁界が現れると、黒いものも白くなり、偽物も本物に、不可能なことも可能になってしまう。


かっこよすぎる。

周りにいる常識人たちはびっくり仰天でしょうけど
ジョブズ フィールドに巻き込まれてグルグル回っている間になんか世界が変わっちゃってるって感じかな。

日本語の訳より中国語のほうがいいような気がする。
扭曲と歪曲、捻じ曲がっていること と 捻じ曲げること
空間と力场、 力场を中日辞典で見ると「(電気・磁気などの)場」とあります。
フィールドそのものが力を発しているイメージがある。
そこだけ時空に乱れが生じて、現実が揺らいでしまう。
ジョブズ自身がゆがめるのでなくもっと神秘的な超越した力(フォース)。

一度フォースを感じてみたかった。
youtube経由では感じられるかな?

以上
[PR]

by zhuangyuan | 2011-12-25 22:29 | 言葉 | Comments(0)
2011年 10月 02日

韓国と朝鮮 その呼び名

朝鮮語のすすめ 日本語からの視点 (講談社現代新書 614)

渡辺 吉鎔 / 講談社



先日、こちらの本を読みましたが購入する時にちょっと違和感がありました。
それは朝鮮語という言葉。
なんかすごく古臭いイメージがありました。
言葉が重い。政治色も。

この本のまえがきにも説明がありました。

韓国育ちなのに
「なぜ韓国語といわないのかと聞かれるかもしれない。」

「現在(1981年当時)日本の大学に設置されている朝鮮半島の言葉の講座は
1,2の例外を除くと朝鮮語と言う名称を用いており....
それに従わせてもらっただけで他意はない。」


「他意はない」というところを見るといろいろいちゃもんをつけてくる人が沢山いたんでしょう。

日本語と韓国語 (文春新書)

大野 敏明 / 文藝春秋


こちらの本にはこんな例もありました。
NHKが語学講座を始める際に「韓国語講座」か「朝鮮語講座」かもめスタートが二年遅れたそうです。
で結果「ハングル講座」という名称になったと。

そのせいでハングルという文字だけをあらわす単語が言葉全体をあらすかのように
誤解される原因になってますね。
ハングルと言う言葉も私は漢字語かと誤解しており
韓国語(ハングンマル)から来ているとおもってました。
正しくは「大いなる文字」という固有語だといいます。

じゃあそもそも「韓国」「朝鮮」ってのはどんな違いとそれぞれのこだわりがあのか?

この本に歴史の流れが載ってます。
簡単に言っちゃうとこんな感じ。

まずは今の大韓民国、これは大韓帝国が共和国として復活したもの。

大韓帝国ってのは皇帝をいだいているのですが
それまでの李氏朝鮮ってのは中国冊封国。国王しかいない。
中国皇帝に朝貢してる。

その中国(清)が日本に負けちゃった。
そこでいきなり帝国になっちゃった。

つまり朝貢国の朝鮮から脱皮すべく韓がでてきて大韓帝国。
独立国です。

でもこれが長くつづかない。
日韓併合。

日韓併合直後に勅令がだされて韓国から朝鮮にまた変わる。

韓国統監府は朝鮮総督府へかわるなど韓の文字が抹殺されたといいます。
つまり帝国じゃないんだよってこと。

こうして戦後の分断を迎える。

南には大韓民国。
北には朝鮮民主主義人民共和国。

北朝鮮は李氏朝鮮の復活。
大韓帝国時代はなかったことになってるそうです。

金日成が植民地からの独立を勝ち取る。
北にいわせりゃ南は相変わらずの米国植民地状態ってわけ。

そういやあ何かっていうと中国いってる将軍さまも
実は歴史を踏襲して朝貢国気分がぬけてないのかも。

それぞれにいろんな理屈がなりたつわけですが
今の日本でのイメージは韓流ブームと北朝鮮拉致問題で
ずいぶん差がついちゃったようですがどちらにせよ色が濃すぎる。

NHKがハングルってのをひらめいたのはかなりのヒットですね。
政治っぽさが抜けててよい。

ところで将来いっしょになったらどんな国名使うんでしょうね。
高麗民国なんていいかもね。
KOREAの語源でもあるんだし。


以上
[PR]

by zhuangyuan | 2011-10-02 18:37 | 言葉 | Comments(2)