中華 状元への道

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カテゴリ:中国関連DVD、本( 121 )


2015年 02月 15日

「薄氷の殺人」虚しく響く白日の花火

中国映画「薄氷の殺人」鑑賞。
ベルリン映画祭、金熊賞、主演男優賞。

バラバラ殺人
憂いを抱える謎の美女
落ちぶれた元刑事

この俳優、リアル過ぎちゃって素でやってるんじゃないのと思っちゃうほど。
みじめで不恰好、社会に折り合いつけようとしつつも武骨な男を好演。

主演女優は「藍色夏恋」のグイ・ルンメイ。
冬の女も似合う。妖しい透明感。守ってあげたい。

この映画、
原題は「白日焰火」
英語では「Black Coal, Thin Ice」
邦題は「薄氷の殺人」

そのまま訳せば、「昼間の花火」に「黒い石炭、薄い氷」
邦題が1番ダメ。
「薄氷の殺人」じゃあこの映画の歴史の転換を捉えたスケールが、
単なる謎解き殺人ミステリーに矮小化しちゃう。

白日焰火。
華やかなはずの花火が昼間に虚しく鳴り響く。
これに勝る題名はない。
観終わってずっしりきますよ。
この意味が。

舞台は1999年の哈尔滨(ハルピン)、石炭輸送の場面から。
猟奇殺人事件は迷宮入りし、時は2004年へと飛ぶ。

この1999年から2004年ってのが大事。
改革開放の成果が現れ、中国経済が徐々に世界経済に組み込まれてゆき
この時期に大爆発する。

石炭なんてまさに象徴的。
旧時代に置き去りにされてた石ころが
発展のエネルギーとしてもてはやされ、全国各地に供給されてゆく。
轟々と音を立てながら。

底辺で蠢く人々を尻目に時代は大きく変わってゆきます。
時代に乗れない犠牲者たちに構わずに。
主人公や謎の美女も置いていかれてるサイド。
というか刑事は職を失い元刑事に。

1999年と2004年は違う世界なんです。
ハルビンの町並みは一見変わらなく見える。
上海、北京のような発展はない。
でも人々の生活には大きな変化が出ている。
金が回り出してる。
同時に不公平感の軋みが鈍い音を出し始めてる。
ミシッ、ギシッ。

理不尽。
1999年はひたむきな努力の先にささやかな充足を得られると思えた。
みんなも貧乏だしね。
2004年は金を持った成功者がすぐそばに居て、時代に乗れない焦燥感が募ってくる。
でも同時に勝者たちも時代に乗った先の虚無感を感じ始めてる。

私、この時期、しょっちゅう中国行ってました。
経済大発展を音を近くで聞いてました。
わかるんです、この雰囲気。

金ができて垢抜けない街が上滑りの背伸びをし始める。
昼間の花火のように浮かれる
工場、出世競争、レジャー、歓楽街。
それぞれの世界で表面と裏の乖離がひどくなってゆく。
バラバラの死体はメタファー。

真っ暗な中、氷の上を不格好に走る。
何を追いかけてるのかも忘れて、何度も転びつつ。
経済成長ってそんなもの?

欧阳菲菲 『向往』って曲が流れる場面がありますが、それこそが今の中国を表してる。

この映画メタファーの連続で鑑賞後にどんどん味わい深くなってゆく。

私,この映画どハマりいたしました。


以上


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by zhuangyuan | 2015-02-15 07:10 | 中国関連DVD、本 | Comments(0)
2015年 01月 19日

映画で世界を覗いみよう

2014年はよく映画を観ましたよ。

DVDも入れたら145本、劇場は55作品。
ハズレがほとんどありませんでした。
子供のリクエストで選んだのもけっこう面白いんですよね。

私のテーマは映画を通して世界の多様性を知ること。
45カ国も覗いちゃいました。
2時間で各国文化の襞にふれられるってお得。

昨年観た劇場映画ベスト10をやっちゃいます。
順番は観た順。順位はつけられません。


「新しき世界」

韓国映画
こんなすっげえヤクザ映画は初めて。
えげつないアクション。
潜入捜査の果ては?
何が「新しき」なんだか知りたい方はぜひ。
中国ヤクザも恐ろしいよ。

「ほとりの朔子」

二階堂ふみかわいい。
夏を舞台にえぐい大人たちと純粋な若き恋を描く。
大人ってのは裏があるねえ。
片田舎に短い物語が意外にも世界に広がってゆくのです。

「もうひとりの息子」

湾岸戦争のどさくさで赤ちゃんが入れ替わった。
イスラエルとパレスチナ。

イスラエルって大都会。
でも壁を隔てると...
いろんな壁を勝手に作る大人たち。
少年たちの顔がいい。生きる力。


「Act of Killing」

インドネシアの将軍が語るつい最近の虐殺。
拷問の様子を得意げに語るうちに、徐々に。
色彩が怖い。


「チョコレートドーナツ」

号泣観客多数。
アメリカでのマイノリティ差別。
ついこないだのことです。
最後の熱唱だけでもぜひ。
'I shall be released' written by Bob Dylan
私は毎朝これで目覚めています。


「そこのみて光輝く」

炭鉱の街の貧困。
男闘呼組高橋、助演男優賞あげたい。
あんなやな奴そうはいない。
いやいるかも?あんな小権力者。

「マダム イン ニューヨーク」

夫や娘はグローバル。奥様はローカル
親戚の結婚式でニューヨークへ。
語学を頑張る人好き。
言葉ができない人を小馬鹿にするやついるんだよね。
負けるな。
マダムは美しすぎる。


「ジャージーボーイズ」

クリント イーストウッドはどんなジャンルでもいける。
成功の影にはいろいろあるよね。エンターテイメントの世界は特にね。
踊り出したくなる。音楽っていいなあ。

「0.5ミリ」

天才発見。安藤サクラ。
とっくに発見されてるんでしょうけど。
介護映画でこんなに面白いとは。
楽しい、悲しい、エグい。

「イロイロ ぬくもりの記憶」

シンガポールの発展を裏で支えるフィリピン人家政婦と少年の交流。
原題は「爸妈不在家」
外国でひたむきに働く人を尊敬します。
雇ってる夫婦もそれぞれ苦労してる。
でも皆優しいんだよね。本当は。経済成長って簡単じゃない。
ダメ父ちゃんも辛いんです。


これで10作品。

でも1番衝撃を受けたのは名画座で観た
「スカーフェイス」

テレビで何度か観てるのに大画面の迫力は圧倒的。
キューバから大量に犯罪者が流入。
というかカストロが送り込む。
今やそんなキューバもアメリカと国交回復するなんて。



それにしてもアル・パチーノかっこよすぎる。
一緒に行った息子の脳裏に鮮明に刻まれたようです。
トニーモンタナ。

「ねえ、パパ、アル・パチーノとエクスペンダブルズってどっちが強い?」

以上
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by zhuangyuan | 2015-01-19 07:19 | 中国関連DVD、本 | Comments(3)
2014年 06月 22日

罪の手ざわり うめき声が聞こえる


「罪の手ざわり」鑑賞。

オフィス北野なんですね。
どおりでよく人が死ぬ。
でもなぜかリアリティがある。

この映画賛否両論あり。
私の周りは否のほうが多いかな。

私は好きです。
4人の男女を通じて急変する社会の歪みを映し出す。

炭鉱で働く男。
幼なじみが村長とつるんで大富豪。

妻子ある出稼ぎ男。
稼ぎは強盗。

不倫する受付嬢。
影にいながら矜持あり。

仕事を転々とする若者。
淡い恋も虚しく。

詳しく知りたい方はBaidu(百度)の解説を。
オチまですべて書いてある。
観る前みちゃったらどうすんの?
ただし中国語。


実際に起きた事件を題材にしているとのことですが
一つ一つはニュースになり、大きな事件として取り上げられたんでしょう。
私が知ってたのは女子の事件だけ。

でも今もいつでもどこでも起こりうるのです。
そして実際起きているでしょう。

国有財産がいつのまにやら民営化され
巨大な資産が個人のものに。
その恩恵に浴さず、従来のまま抑圧されて、閉塞から抜け出ないひとたちはいる。
なんであいつは?
なんで俺だけ?
この不正義は人民のためではないだろなんて鬱屈がたまってゆく。
そしてドカンと爆発。

お金がなくても、愛を得られなくても、健気に生きる人がいる。
経済発展で、周りには浮かれた成金が増えてくる。
金のチカラに惑わされた奴ら。
金に任せて、人の尊厳を引き千切る。
それは矜持が許せない。

大発展の影で
もちろん何もかもうまくゆかなくて
自分の存在が無価値に思えて絶望なんてこともよくあるに違いない。

世の中の秩序が大きく変わるとき
軋みや歪みが顕在化する。

格差なんて簡単な言葉で表わせない不合理。
ものすごい成功を見せられる。
ものすごい不正も目の当たりにする。
でも自分は波に乗れずに、翻弄され、漂うのみ。

貧困な変化のない時代は
絶望と同時に、諦観がある。
階級社会はさらに簡単。

あきらめ。
天の定め。

今の世の中では
諦めきれない。
嫉妬が渦巻く。
恨みが満ちてゆく。

現代社会は
移動も簡単、情報も溢れてる。

変われるのに閉塞から抜けだせない。
今日もどこかでうめいてる。

俺はなぜここにいるのだ?
俺はなぜあの時に。
俺だけなぜ?

そのうめきを晴らすための映画です。

成功者もひとつ時代を間違えていれば
生まれる場所が違ったなら
がんじがらめの閉塞にうめいていたかも。

以上







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by zhuangyuan | 2014-06-22 21:38 | 中国関連DVD、本 | Comments(2)
2014年 05月 11日

カンフーで日本軍撃退?

「イップマン 序章」を息子(小5)と鑑賞。先日フライト中に観たドニー・イェンがかっこよすぎたので
借りてきました。

カンフー映画観賞後の常で、息子は早くケンカしたいといってます。
詠春拳習えばとすすめると、負けて死にたくないからやだと即答。
よわっちい。
 
イップ・マン(葉問)は実在の拳法家
広東省仏山出身。
日本占領下にも屈せず、腕っぷしひとつで立ち向かう。

アクションは素晴らしいのですが
この時代の中国香港映画の常で日本をデフォルメして描きます。
お決まりのメガネに出っ歯で卑怯な軍人が出てきて暴虐を繰り返す。
いつもの通り日本語がヘタ。

息子曰く、
「俺、今まで中国嫌いだったけど、日本が嫌いになったわ。ラムがかわいそう。」
「日本のこと悪く言うのが目的だからあまり本気にすんなよ。」と私。
「いやパパの言うこと信じられない。」

制作意図がきっちり果たされています。

でもこの時代は国民党政権下ですから事情はなかなか複雑。
wikiでイップマンをみてみると南の偽政権のころと出てきます。

南は広東語を話すわけですが
劇中で北からやってきた食いつめた拳士は普通語を話してました。
でもお互いがなんの齟齬もなく通じちゃってるのが面白い。
聞いた感じは全然違いますが当人たちにとってはやっぱ方言程度なのかな。

北の道場破りはぶっ飛ばされるわけですがこの辺は香港の北京政府に対する
意地が反映されているんでしょう。

イップマンは漢字で書くと葉問。Yip Man.
劇中で日本語通訳を通すとヨウモンと呼ばれる。
これすごい違和感あり。
固有名詞はそのままの音でいいんじゃないの?

言葉は通じないかもしれないが
武術は世界の共通語ということで日本軍トップの空手使いは冷酷ですが凛々しく撮られています。

このアクションは痛快、爽快。
主演のドニー・イエンはこの映画で宇宙最強の称号を得たとのこと。
シリーズまたみちゃおう。

ブルース・リーの師匠らしいのでブルース・リーの映画も
詠春拳視点からみるにもいいかもね。

以上

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by zhuangyuan | 2014-05-11 10:13 | 中国関連DVD、本 | Comments(0)
2014年 01月 26日

華僑に学ぶ金儲け

一生お金に困らない「華僑」の思考法則

大城 太/日本実業出版社

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私のいる業界は華僑が多い。 東南アジアはどこの国行っても貿易相手はほとんど華僑。
名前も現地風になってるのでわかりにくいですが大体、中国語喋れる。
とは言っても普通語でなく広東語や福建語、潮州語。海を渡って行ったんです。

彼らの行動様式とこの本の法則をみると符合するところがたくさん。
日本の華僑も同じなんですね。

 まず相手を利する。反対に借りを作る。相手の非を責めない。
こうして人間関係をディープにしてゆくのです。
そして仲間は絶対裏切らない。

 対する私がそれに対応できるかというとこれが難しい。
企業組織の1サラリーマンの身ですと、
この人間関係ですべきことはわかりつつも、
行動で示せるのはごくわずか、
結局は企業論理とベクトルがあう時だけなのです。

それでも責められない。それが逆に辛い。
それも術のうちなんでしょうけど。

 この本で一番腑に落ちたのは、ルールより人間優先ということ。
ルールつまり法律は熟知し利用しつつも、
全てしたがうわけでなく、自己都合で守らないこともしばしば。

発展途上国の政府役人なんてだいたい華僑に転がされてます。
「あの国は関税高いけど、まず俺に売ってくれ、あとはなんとかするよ。」
信じる信じないは度胸が必要ですが、それで回っているのが現実。

法律なんて時の為政者が既得権益保護のために勝手に作って
支配構造を固定するためのものだという認識。
そんなの守ってたら一生貧乏人ってな意識。

先日、日本にいる中国の友人が言ってました。
現代中国で金持ちは全員法律を破ることで金持ちになったと。
日本は既得権益を脅かす層が迫力ないんで固定されちゃう。
長い歴史のなかでずっとそんな中華社会で生きてきたんですから、
華僑にとっちゃ平和は性善説島国なんてファミリーが繁栄するぐらいちょろいもんでしょうね。

 この本はそんな華僑の思考法則を惜しみなくだしてくれてます。 オススメ。 以上

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by zhuangyuan | 2014-01-26 09:23 | 中国関連DVD、本 | Comments(2)
2013年 09月 23日

インド映画はスゲエ!

インド映画「きっと、うまくいく」鑑賞。
インド興行成績歴代第一位。
評判は高かったものの三時間という長さに躊躇していましたが
長さをまったく感じさせないハラハラドキドキ、波乱万丈ストーリー、
始まって数分で、これはものが違う、最後までいけると感じさせられました。
予想通りに最後まで突っ走り、笑いあり、涙あり(三回泣きました。)のスーパーエンターテイメントでした。

エリート工科大学の寮に住む三人組みの青春ストーリー。

インド映画にはナヴァ・ラサという9つの感情表現が必ず組み込まれているといいます。
(1) シュリンガーラ (恋情)
(2) ハースヤ (笑い・ユーモア)
(3) カルナ (悲しみ)
(4) ラウドラ (怒り)
(5) ヴィーラ (勇敢)
(6) バヤーナカ (恐怖)
(7) ビーバッサ (嫌悪)
(8) アドブタ (驚き)
(9) シャーンタ (平安)
インド舞踊③9つの感情表現-ナヴァ・ラサ

大人気映画だけあってこの9つの表現のデフォルメがすごい。
そんじょそこらの学園物とは比較にならないスケールの大きな物語
学生の日常を描くことでインドの歴史、現在の問題が浮かび上がってくる。
いやインドのすべてと言っていいかも。
もしかしたらグローバル社会共通の問題までも。

経済発展と格差
拝金主義
過度な競争社会
エリート社会
抑圧される若者
自殺問題
成功者と落伍者
媚びへつらい
嘘と不正
因習と近代化のきしみ
貧困
家制度
婚姻慣習
男女差別
社会保障
密集した都市
大自然
インフラ未整備

これだけ書くとなんか悲惨な話に思えちゃいますが
これらを全部うっちゃってしまう成功ストーリーです。
若者たちの明るい前向きな、力強い生命力で、リズム良く突っ走ってゆくのです。
俳優がうますぎ。ランチョー最高!
ちょい役もいい味出してます。
性格や出自の違いを良く演じてる。
さすが世界に輝くボリウッドのナンバーワン映画。

私もインド亜大陸の面々とは仕事で絡みがありますが
みんなキャラが立っていてインドって人を見てるだけで深さを感じます。
学生時代に旅行もしましたが一口では語られない複雑さがあります。
二度だまされもしました。
一度はこちら
インドで生き抜く
二度目はまた今度

そのころもインドは映画が盛んだと聞き
デリーで劇場に行ってみました。
その映画は劇場を紹介されていったのですが
面白いといわれた作品は前の週に終了しておりました。
仕方なくその週の映画を見ましたが、これが大ハズレ。
暗い画面のB級ホラー。何人死んだか?言葉もさっぱりわからずじまい。

踊るマハラジャもぴんと来なかったし、
それ以来の食わず嫌い。

この映画でインド映画への見方が完全に覆りました。
もしかしたらオールタイムベストかも。

劇場で見ることを薦めます。
歌と踊りもいい。サントラほしいな。
自然描写もサイコー。

"Aal izz well !"



以上
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by zhuangyuan | 2013-09-23 17:13 | 中国関連DVD、本 | Comments(2)
2013年 06月 02日

激賞 セデック・バレ

台湾映画セデック・バレ鑑賞。昨年の台湾映画賞グランプリ。

日本統治時代におきた原住民族の反乱、霧社事件を描いた大作。
第一部、第二部あわせて4時間半。

霧社事件とは日本統治に押さえ込まれていた原住民族が
日本警官の暴力事件をきっかけに300人蜂起し、
日本人運動会を襲い、老若男女を問わず約140人を殺害した事件。

この事件を最初に知ったのはこの本。

街道をゆく (40) (朝日文芸文庫)

司馬 遼太郎 / 朝日新聞社



第一部は日本統治開始時から事件勃発まで、
第二部は事件を受けた日本の掃討部隊とセデック族の戦いを描いています。

観る前は私は第一部だけを見ようと考えていましたが
あまりの強烈さに最後まで見なければと思い直し、
二日にわけて第二部まで鑑賞しました。
やはり観なければならない。強烈。

映画冒頭に、霧社事件を題材に脚色したとあるように
史実とは異なることがあるようですが
かならずしも事実そのもので真実が伝わるわけではない。
この映画はフィクションとして民族の葛藤と誇りを激しく表現し、
真実を伝えることに成功していると思います。

日本統治下の反乱というと反日映画かと思うかたもいるでしょうが
そんな単純な構図ではありません。

日本統治の下で管理され鬱屈のたまる民族たちがいる一方で
日本施政下で文明を学び、さらには武士道精神まで吸収する
先進的?優等生もいる。
彼らの葛藤が一番つらい。オレは誰なんだ?
国籍なんてどうでもよい。何を信じればいいのか?

文明ってなんなの?
物質的豊かさを求めるためのシステム?
戦う男たちにとっての豊かさとは?
昂揚する精神?

ただし彼らにもわかるのです。
圧倒的な文明の力が。
戦ったら全滅する。

それでも戦わなくてはならない。
セデック・バレ(真の男)であるために。

日本対原住民族の戦いを通して
世界が文明と触れるたびに繰り返されてきた摩擦と葛藤を映し出してる。

霧社事件は1930年の出来事ですが
日本も黒船来航のころには圧倒的な武力差をみて文明に屈服したわけです。
だけでも吉田松陰は攘夷を鼓舞するのです。

かくすれば かくなるものと知りながら 
  やむにやまれぬ 大和魂


その末に得た文明開化を自己正当化しようと
海外にでていったんでしょう。

大東亜戦争が終わるころだって
米軍に負けるのはわかっていたって
特攻で突っ込んでいったし、
硫黄島では全滅するまで戦った。

この映画で監督は当時の日本を批判するだけでなく
日本敗戦後にやってくる中国国民党政権も暗に批判してるんでしょう。

この映画は原住民の言葉と日本語だけで語られますが
現代の台湾では中国語字幕なしでは理解されない。
同じ台湾なのに。しかも少しだけ昔の。

もちろん中国だけでなく、当の台湾系住民にも批判をしてる。
民族の誇りを忘れるなと。

絶対おすすめです。
台湾山間部の景観もすばらしい。
キャストの目ぢからもすごい。
まさに血湧き肉踊るといったアクションも最高。





監督のウェイ・ダーション(魏徳聖)はこの映画の企画を長年あたためてきたといいます。
wikiによると1996年から。
霧社事件の漫画を見て映画化を思い立ったと。
ただ売れる映画にはなりえないと反対されてここまで時間がかかったそうです。
そのころ作ったデモバージョンはyoutubeにあがってます。
ラジオ「宇多丸のウィークエンドシャッフル」で聞き探してみました。


ちなみに監督が見たと思われる漫画はこちら
なんと日本版もある。(品切れ)

霧社事件―台湾先住民(タイヤル族)、日本軍への魂の闘い

現代書館



今は便利な時代でiphoneアプリで検索してみたら
同じ漫画作家が映画とのコラボで書いたと思われる新しい漫画アプリがありました。
漫畫‧巴萊:台灣第一部霧社事件歷史漫畫
私はipadにダウンロードしました。

以上
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by zhuangyuan | 2013-06-02 23:09 | 中国関連DVD、本 | Comments(3)
2013年 01月 03日

2012年ブック ベスト10

あけましておめでとうございます。

このブログもすっかり更新が滞ってしまい
開設以来初めて一ヶ月ゼロ記事にしてしまい、とうとう広告がトップにでるようになってしまいました。

2012年のことは昨年やっとかなくてはなりませんが
なんだがばたばたしており、掃除なんかも今年に入っても引き続きやっています。

本の整理はなんとか12/31に終えました。

49冊をブックオフに持っていき、
29冊は処分に。

古い本や書き込みした本は処分。
ブックオフは思い切って新しい本も持っていったおかけで
49冊中48冊に値段がつき、過去最高額4570円也。
最近は一冊5円なんて値もあるんですね。

ちなみに年末まで買取特別週間で900円分の割引券もらっちゃいました。
400円分はすぐに使っちゃいましたけど。整理にならない。

では2012年読んだ本からベスト10を選びます。
順番は読んだ順。

ちなみに読んだ本は90冊。冊数が激減しました。
なんか頭がいつもいっぱいで余裕のない一年だったような。

舟を編む

三浦 しをん / 光文社


こちらの記事参照
辞書を作るって?

ドキュメント東京電力―福島原発誕生の内幕 (文春文庫)

田原 総一朗 / 文藝春秋



田原総一朗おそるべし。
1980年に書いたものの復刊。
国家と政治の中で、東電の巨大さを改めて感じます。
福島は歴史の必然か?

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

高野 秀行 / 集英社



今をときめくミャンマーに、
誰もが入れないときに潜入しアヘン栽培までやってしまったお話。
ミャンマーの奥地で明朝の末裔がアヘン作ってる?

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

安冨 歩 / 明石書店


題名がうまい。広告で見て即買い。
恐ろしいほどの事務能力と邪悪な心を持つ東大学者たち?

一週間

井上 ひさし / 新潮社


こちらを参照。
まじめなことをゆかいに シベリヤ抑留

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

與那覇 潤 / 文藝春秋



中国化とはグローバル化。
漢字は世界最古にして最強のモジュール製品だって。

サクリファイス (新潮文庫)

近藤 史恵 / 新潮社


自転車レース小説。
青春、愛憎、嫉妬、サスペンス。
でも爽やか。
自転車を知らなくてもレースの醍醐味を堪能できる。

敗北を抱きしめて〈上〉―第二次大戦後の日本人

ジョン ダワー / 岩波書店


こちらを参照。
1950s 混沌と芸術

気になる部分 (白水uブックス)

岸本 佐知子 / 白水社



翻訳家の柴田元幸氏が面白い人だと著者を紹介していた。
さらに白水uブックスのエッセイが面白いと本で読んだ。
期待通りにチョー面白かった。
翻訳家の文章はわかりやすくて奥が深い。
岸本さんの翻訳も読まなくては。

ブラジル宣言 (ラテンアメリカ・シリーズ―コレクション・ブラジル)

港 千尋 / 弘文堂



骨太ブラジルガイドの翻訳。
管啓次郎氏訳。
先日「翻訳という怪物」という鼎談を聞きに行き、その中で紹介していました。

子どものころブラジルが一番行って見たい国だった。
アマゾンの探検に行きたかった。
ペレの国だし。

曽祖父はヨーロッパ視察の帰り、船を間違えたといつわり
貨物船でブラジルにわたった。
そんな逸話も憧れを強くした。

でも遠すぎて現実感がなく、いつの間にか忘れてた。
一番近づいたのはグアテマラまで行った時でした。

ブラジルの混沌雑多パワーがあふれ出してくるような文章でした。
行きたい。行きたい。

頻繁に出てくるポルトガル語も魅力的。
ひどい歴史と差別を表す言葉が邪悪なオーラを出している。

ところで国旗に書いてある文字の意味知ってます?
ORDEM E PROGRESSO  「秩序と進歩」
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ジョークでしょ?

ブラジルってのは触れて感じないとわからないんだろうな。

そういや次のワールドカップは...。

以上
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by zhuangyuan | 2013-01-03 21:46 | 中国関連DVD、本 | Comments(2)
2012年 05月 20日

まじめなことをゆかいに シベリヤ抑留

一週間

井上 ひさし / 新潮社



井上ひさしの没後に出た本。
シベリヤ抑留のお話です。

帯には「吉里吉里人」に比肩する面白さとありますが、
いくら井上ひさしの本でも捕虜収容所での一週間なんかを書いた本ですので
暗くて重いんだろうと、読み始めるのを逡巡してました。

いやいやどうして、やっぱり面白い。
氏のお言葉通りです。

「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、ゆかいなことはあくまでもゆかいに」


元共産党員の主人公のおちゃらけ度合いがいい。
極寒のシベリヤが少し和らぐような。

それにしても日本軍ってのはどうしようもない。
捕虜の強制労働はソ連建設に利用されるわけですが
関東軍参謀は日本兵の使役を申し出たとか。

「内地における食料事情および思想経済事情を考えるならば....」

とんでもない。

中国本土でも軍隊をそのままあげちゃったってのがありましたが
軍人幹部は下級兵士のことなんてなんとも思ってない。

さらにひどいのは楽土を求めて渡ってきた庶民たち。

劣勢になったって最後は最強軍団関東軍が守ってくれると思いきや。
敗戦間際には、満州を捨てて朝鮮を守れってことになったと。

そこで関東軍司令部の高級軍人は家族を逃がし
さらには全満州の軍人家族、満鉄幹部家族、大使館関係を輸送避難させる。
一般庶民には手が届かず。

私の祖母も全満州に散らばる軍人家族に当たったから
私がこの世にいるのであまり言えませんが。

そうと知ってみると知り合いで満州帰りの家族というのも
満鉄幹部だったり、高級軍人だったり。
これって偶然?必然?そういう人しか帰りついていないのかな?

こんなこと書いてますと
ほんとに面白いのかしらといぶかるむきもあるかもしれませんが
ご安心ください。かなり笑えますこの小説。

奇想天外な展開で
最後の皇帝溥儀なんかも出てきちゃいます。
溥儀が編纂させたという満州の民謡集も面白い。


以上

こちらもどうぞ。

天才 井上ひさし
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by zhuangyuan | 2012-05-20 21:56 | 中国関連DVD、本 | Comments(0)
2012年 01月 15日

歴史のなかの韓流

日韓ソウルの友情 (中公文庫)

司馬 遼太郎 / 中央公論社


先日、韓国からお客さんがあり、
その前に韓国文化本でも読もうかと古本屋で購入。

1988に文庫版初版がでており、2003年に第4刷。
単行本は1985年に出版されています。
このそれぞれがエポックな年です。

この対談が行われたのは1984年でその年は日韓新時代と幕開けといわれていたと。
全斗煥大統領が韓国大統領として初めて日本を公式訪問しています。
ハングル語講座もスタートしたとwikiにありました。

少し親しみが生まれてきたって感じでしょうか。

1988はソウルオリンピック。
これでさらに交流が深まります。

第4刷が出た2003年の前の年は日韓ワールドカップ。
2004年はヨン様ブーム。

そして私が読んでる現在2012年は韓流大流行。
これまでにも小韓流がちょくちょく来ていたわけです。

もちろん歴史をさかのぼるももっと大規模な流れも何度もきてるんですが
この本の中でも日韓交流の面白い話がたくさんありました。

例えば山口の大内氏。

大内義弘は1500年ごろ、海外貿易に乗り出し高麗と交流し
李朝まで関係が続いたといいます。

李朝では特別待遇を受けもてなされたそうです。
なぜゆえに?

なんと大内氏は百済王の末裔なんですって、
李朝の歴史書に書いてあるそうです。
「我ハコレ百済ノ後ナリ」って
611年に第三王子がやってきてその末だそうです。


お次はキリシタン大名、小西行長。
秀吉の朝鮮征伐、文禄の役で先鋒をつとめました。
韓国では壬辰の倭乱。

その小西行長が朝鮮語ができたんじゃないかって説があるそうです。
実家が薬屋で朝鮮人参を輸入販売してたそうです。
貿易商が仕入れ先の言葉をできてもぜんぜん不思議じゃない。

当時はお互い漢文はできたんでしょうから
案外朝鮮語しゃべるのだって結構簡単だったかも。

でも商人あがりでは相手方のバリバリ儒教の両班に見下されそう。

以上
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by zhuangyuan | 2012-01-15 20:43 | 中国関連DVD、本 | Comments(0)