中華 状元への道

zhuangyuan.exblog.jp
ブログトップ
2009年 03月 08日

インドで生き抜く

ぼくと1ルピーの神様 (ランダムハウス講談社文庫)

ヴィカス スワラップ / ランダムハウス講談社



ずいぶん前に書評でとりあげられていて面白そうだったので買ったのですが
しばらく忘れていました。

それがなんと今年アカデミー賞を8部門獲った「スラムドッグ$ミリオネアの原作だったのです。

そうなりゃ読むしかない!

インドのスラムに住む少年がクイズ・ミリオネアで最高賞金10億ルピーを獲得したが
インチキだとして逮捕される。
少年はそこで出された問題全てをそれまでの人生においてたまたま学んでいたと主張します。

そこで彼は一問一問に関して、いかにその答えを知りえたかを語り始める。

インドは今、BRICSの一員として経済繁栄ばかりが注目されていますが
その裏には未だに貧困が渦巻いています。

どん底を這いつくばる一人の少年が必死に生き抜く様を描いて
エンターテイメントに仕上げています。

日本に普通に住んでたら、思いもつかないほどの貧困、歴史の宿唖、宗教と文化、植民地支配、差別...。
主人公の名前はラム・ムハンマド・トーマス。
ヒンドゥーとイスラムとクリスチャンをミックスした名前です。
全てを受け入れている。

インドの奥深さと複雑さに圧倒されます。
ここまで大きな壁に囲まれてしまうと
ありのままを受け入れるしかないんでしょうね。
ありのままの人生を必死に生き抜く。
輪廻を信じるしかない。

主人公は貧困で悲惨な生活をしているのに
なぜか小説のリズムは明るく希望がある。
そして力強さを感じます。

私はこれまで二度インドに足を踏み入れたことがあります。
学生時代に一度と仕事で一度。
インド圏という意味ではバングラデシュとパキスタンも経験があります。

学生時代が1994年ですから随分前なんですが
基本的に何にも変わってない。
新しく発展しているところは変貌を遂げていますが
もう一方の貧しい部分は全然変わっていない。

小説のシーンひとつひとつがビジュアル感を持って思い出されます。

エピソードの一つで主人公はアーグラーにたどり着き
そこでタージ・マハールの勝手ガイドで生計をたてます。

d0018375_20263923.jpg


私はここでこの勝手ガイドに騙された経験があります。

まだ暗い早朝にアーグラーの街に着いた私に
タージマハールツアーの誘いのため数人がまとわりついてきます。

タージマハールを見るために来たし、ツアーに参加するつもりだったので
一人を選んでついていった。

旅行代理店に連れて行かれ、翌日のツアー申し込み手続きをしました。

のちに調べると倍の料金をとられていたことがわかりました。

いっぱしのバックパッカーを自認していた私は怒り心頭に達し
奴を見つけ出して、お金を取り戻すと決心しました。

まず送迎バスが迎えに来る宿の主人に詰め寄る。
奴の行方は知れない。

朝手続きした代理店に行ってみる。
なんとその男は代理店とまったく関係のない男で
ただそのカウンターで代理店社員に成りすまして手続きをしただけだったのです。

そこで駅に行き、
あたりを探し回る。
人が多すぎ。

最後の手段、チケットに書いてある旅行主催会社の住所を調べていってみた。
古い汚いビル。
小さな階段を上って、
その会社のドアの前に立つ。
深呼吸して中へ。

暗くて何も見えない。
奥にはロウソクの明かりがともり
ひげの男がいぶかしげにこちらを見る。

完全に戦意喪失。
怖すぎ。

でも来たからには問いたださないと。
そこで丁重に事情を説明しました。

そんな男は知らん。
会社には規定代金しか入ってこない。
エキストラ部分は男の手数料だと。

ハイわかりました。

くやしいけど引き下がり
翌日ツアーに参加しました。
現地人ばかりが参加する、現地語ガイドつきのツアーでした。
ツアー中も少し怖かった。
ヒンドゥー教の寺でみんなが祈っているときの心細さはいまでも怖い。

これまで騙されたことのなかった私は
とても悔しかった。

でもこの本を読んで思った。
私は甘すぎる。
彼らには人生がかかっていた。

私はバブルの日本から
バイトで貯めた金できた
お気楽な学生。

インドを知りたいっていったって
所詮帰るところはあるし、食うものはたくさんある。

彼らはその日を生き抜くことに命をかけている。

この本オススメです。
映画もすごいらしい。

以上
[PR]

by zhuangyuan | 2009-03-08 17:44 | 文化、歴史 | Comments(0)


<< いっぱい食べちゃだめなんです。      拳法修行 >>