2008年 10月 19日

グリーンスパンが語る中国の宿命

波乱の時代(下)
アラン グリーンスパン / / 日本経済新聞出版社

この本はすごい。
上巻は自伝のようなもので金融のトップとして経済の危機にいかに対応してきたかを振り返る。
下巻は世界経済の現況と未来を解き明かす。
特別版はサブプライム編です。
もいっこのブログにアップしました。早く言ってよ グリーンスパンさん

第14章は中国です。
さすがグリーンスパン短い文章でズバッと核心を突いています。

共産党がマルクス主義を捨ててなんでその正当性を維持できるかというのはよく問題になります。
彼はこう指摘します。

「共産党は革命を通じて権力をにぎったのであり
当初から、全ての国民に物質的な豊かさを提供するという哲学を
政治的正当性の根拠としてきた。」

そうですよね。
毛沢東が政権をとったのはなにも国民がマルクス主義を信奉したわけでなく
蒋介石よりも自分たちを食わせてくれると皆が考えたからです。
明日のおまんまのために。

時はながれて鄧小平は世界でマルクス主義がへたったときに

「共産主義思想にはてをつけずに
十億の民の物質的な要請にこたえることに党の正当性を求めた。」

そしてこれが大成功。

でもここからが問題です。

「だが物質的豊かさは、人間が求めるものの一部でしかなく
中略
時間が経つにつれて、豊かになった喜びは急速に薄れ
それが当たり前になり
さらに高い望みが生まれてくる。」

べつに経済がとどこおって失敗するのでなく
順調にいってても壁にぶつかるのです。

豊かになった人たちは
日々の飯を食うことへの渇望はなく
不公正と思えることに抗議する余裕をもてるようになる。

そして投票で指導者を代えられないとき
反乱をおこす。

つまり選挙という安全弁がないことが問題だというのです。

一方で市場メカニズムという価格決定方法は
政治的支配を弱めるといいます。

共産党支配はピラミッド構造で権力が上から下へと伝わり
上から裁量権が与えられ、各人が直属上司に忠誠を尽くす。
昔の価格統制はこれだった。

今は市場が全てを決定する。
すると政治支配がなりたたなくなる。

豊かになればなるほど矛盾がひろがってゆく

グリーンスパンは共産党に選択をせまります。

共産党は豊かさのために
政治的多元主義を受け入れるのか?

それとも豊かさを犠牲にして
共産党計画経済にもどるのか?

豊かさを犠牲にしてなんて共産党が考えて選択したって
人民がゆるさないでしょうね。

以上
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by zhuangyuan | 2008-10-19 22:06 | 時事 | Comments(2)
Commented by Shira at 2008-10-24 09:01 x
中国関係の本を読んでいて思いましたけど、選挙が機能している体制では、落選しても「ただの人」になるだけってのが平和ですね...。
Commented by zhuangyuan at 2008-10-24 20:22
Shiraさま
たしかに権力から滑り落ちるととたんに逮捕されたり死刑になったりするとこありますよね。私正直いいまして中国にはある程度の独裁的な権力をもった政府が必要だと思います。でないとまとまんないですよね。


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