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中華 状元への道

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2008年 04月 04日

鬼嫁 呂后

漢文の話
吉川 幸次郎 / / 筑摩書房

吉川氏の本は初めて読んでみました。1962年に初めて出だ本だそうです。
中国の大家であるとは知りつつとっつきにくそうなので読んでませんでした。
ただこの本は漢文に興味のある一般人向けの入門書ということで楽しく読めました。

文章語としての歴史や、叙述の種類や訓読などについて易しく解説してくれます。

その内容はさておき、解説に用いられる例文が面白い。というか凄い。
中国の歴史は奥深い。

歴史書の文章の解説として司馬遷の史記の記述があげられています。

例えば漢祖劉邦の奥さん呂后がいかに残虐であったかという話。

晩年の劉邦は呂后には興味なくめかけの戚夫人ばかり可愛がる。
そして劉邦の死後に制裁を加える。

太后遂断戚夫人手足,去眼,煇耳,饮瘖药,使居厕中,命曰‘人彘’
太后遂に戚夫人の手足を断ち,眼を去り,耳をふすべ,瘖药を飲ましめて,厕中にい居らしめ,命じて‘人彘’(じんてい)と曰う


手足を切り離して、目をえぐって、耳を塞いで、唖になる薬を飲ませて
便所にぶち込み、人間豚と名づけた。

書いていても吐き気がしてくるほど残虐。
さらに戚夫人の子どもを連れてくるまで生きながらえさせてそれを見せたというから
恐ろしくなります。手足を切られても死なない秘薬までつかったとか。

こんな記述が歴史書に載っているってのが凄い。

ところでこの話を中国人のお客さんにしました。
呂后ってのはどんでもない女だと。

するとお客さんはいいました。
いわく呂后はホントはいい人だった。
それが劉邦のせいで悪い女になった。
劉邦こそ人間とは思えないほどひどい男だと。

まだ劉邦が項羽と戦っていたころ
項羽に負けて、馬車で逃げた劉邦は追いつかれそうになり
馬車を軽くするために二人の子どもを投げ捨てたそうです。
そこで部下であり後の大物夏侯婴はあまりのことにびっくりして
拾いにいって王子たちを馬車に戻す。すると再度劉邦は投げ捨てる。
なんどか繰り返しているうち劉邦はぷちっと切れて今度は
夏侯婴を殺すぞと脅したそうです。

呂后はこんな夫を見てたのです。自分の子を捨てることもいとわないトンでもオヤジ劉邦。
そして呂后は崩れていったそうです。

のぼりつめる奴はとんでもない奴ばかりです。

以上

by zhuangyuan | 2008-04-04 21:53 | 文化、歴史


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