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中華 状元への道

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2008年 02月 03日

本音と建前 

shiraさんの参考になるブログで紹介されている「知音夢裡尋」薦められていた日本語と中国語
劉 徳有 / / 講談社
を読んでみました。

長く中国要人の通訳を勤めただけあって示唆に富む興味深い内容でした。
沢山チェックマークをつけてしまいました。

中国では通訳というと非常に重要な立場だそうで
あるお客さんは中国国営企業の通訳として来日してその後、日本の社長になりました。

それもそのはず政治の国、中国の要人の発言は全て通訳を通じて
外国に伝えられますので全ての重要情報がその通訳を経ることになります。
つまり全てを知っている。

立場が重要であればあるほど敵も多いでしょうし嫉妬もされるでしょう。
であるからこそ日本にあまり理解をしめして友好的だとそれは批判の対象になるでしょう。

そのせいかは知りませんが日本通で日本語の全てを知っている知日家である
と思われる著者もやはりご多分にもれず、冒頭で日中戦争時の苦労を語り
小泉首相の批判を繰り広げる。

つまり日本語についての見聞と知識を語る前にの枕として
日本批判し公の立場を鮮明にしなくてはならない。そして本題に入る。
もちろん勝手な推測です。

この本を読んでいて自壊する帝国
佐藤 優 / / 新潮社
の記述を思い出しました。
共産党時代のソ連では資本主義や宗教への評価は許されない。
では学問の世界ではどうするのか?
例えばこんな感じ。
序文では、ペレストロイカになってもイデオロギー闘争は重要だと書き、現在、
欧米では以下のような看過できない思想潮流があると書く。
そしてその後、欧米の言説をできるだけ丁寧に書く。
最後に共産党の決定やレーニン全集からの引用をちりばめて
いかにこのようなブルジョアイデオロギーがけしからんものであるかをできるだけ説得力がない形で書く。P60


教授も生徒に欧米学説をわざと発表させ、公の場で批判して、立場を保全しつつも
最新の学説を紹介するそうです。

ややこしいですねえ。共産国家は。
北京大学の先生も講義の上でも公の内容と
ゼミの中のプライベートな空間での議論は全然違って興味深いと聞きました。

まあこうしたことはともかく日本語と中国語の違いや特徴について
面白い話が沢山のってました。

日本語は言いにくいことは外来語で表すとのことで
「いまの話はオフレコで」とか
「リベートの件はどうなっていますか?」などと表現する。

著者はこの本をすべて自分で日本語で書かれたそうですが
こんな表現を使っています。

「文革のころの中国は当時のアブノーマルな国情もあって...」

アブノーマルですか?異常とは言えないのですね日本語では。
さすが達人です。

以上

by zhuangyuan | 2008-02-03 20:44 | 言葉


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