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中華 状元への道

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2007年 12月 23日

激動の香港

北京の帰りの飛行機で香港映画を見ました。
香港映画といってもアクションやマフィアものではなく市井のひとびとの
歴史に翻弄される姿を描いたものでした。
歴史といっても今我々が見ている目の前の歴史なので感慨深いものでした。

【老港正伝】といいます。
内陸から香港に移民してきた主人公は共産主義に共鳴し、いつの日か中国に帰り
天安門に立ってみたいと夢見ているマジメ一本の映画技師です。

彼と彼の家族や友人たちが70年代から今日に至る激動の歴史の荒波のなかで
それぞれの人生を生きてゆく。

中国の文革、香港の大発展、香港回帰、中国急成長。

イメージからすると香港で常に最先端で時代をリードして
中国からしたら憧れの存在。

でも中で住む人々は結構大変。
狭いバラックのようなビルに大勢の家族が集まり暮らしている。
香港の市井の人々は懸命にそして大胆にただなにか軽やかに歴史に乗り自らの姿を変えてゆく。
株でもうけたり、アメリカに移民したり、中国に乗り込んでビジネスしたり。
変わらなければいき抜けない。

香港ってところはあんなちっちゃなところですから
それだけでは存在し得ない。常に外部との関わりが必要です。
イギリスだったりアメリカだったり中国だったり。
住む人々はいやおうなしに外部と接触し翻弄される。

ただ主人公だけはひたすら同じ道を生き、常に自己犠牲で人を助け、
来る日も来る日も変わらずに映画をまわし続ける。
そして北京を思い続ける。
激動の中、一人静かに変わらないのです。

(この時代の香港に北京を思い続けていた人がいたとは想像のほかでした。
でもたぶんいたんでしょう。)

一人息子は根っからの香港人。
父親とは全然違います。父親の頑固さの被害者でもあります。
ただ彼は軽い。何でもチャレンジする。でも全部失敗する。木っ端微塵です。
悲劇もたくさんあります。
でもくじけない。明るい。なぜか楽しげ。
これぞ香港人ってかんじ。
歴史の大変動を楽しんでる。
でも楽しまなきゃやっていられないのかもしれません。辛すぎて。

彼のチャレンジとオヤジさんのひたむきさの絡み合いが
胸を打ちました。飛行機で見る映画は気圧が引くいせいでぐっと来ます。
ちょっと潤んでしまいました。

私もそんな香港人の友達がいました。
オーストラリアにワーキングホリデーに行っていた時
私は夏休み中帰省した学生で空きが出た大学の寮を借りていました。
そこに香港からの留学生がいました。彼は休み中も帰国しません。

やっぱりアジア人の親近感から彼と一番親しくなりました。
彼はスポーツは全然だめ。香港はおそらく体育の授業で球技がないのでしょう。
なんにもできません。でもなんでもチャレンジしてすごく楽しそう。
遠出のトレッキングなんかも息を切らしつつも必ず参加します。

彼は建築家を目指していていました。
留学費用を聞くと大変高いものでしたので香港の金持ちかとおもいきや
家はビルの一室で6畳一間くらいの部屋に8人が一緒に寝てるそうです。
そして親戚中がお金集めて彼を送り出してくれたそうです。
また友達が皆で餞別にくれた一眼レフを大事そうにいつも持っていました。

一家や友人の期待を一身に集めて送り出されてきたのです。
でも重荷を背負ったような様子は全くなく淡々としています。
大きなチャレンジを軽く生きてゆく。なんかいいかんじ。

彼はこの激動をどう生きているのでしょうか?
あれから会っていませんせんが探してみたくなりました。
オーストラリアかな?香港?それとも大陸?
きっとどこでも爽快に生きていることでしょう。

この屈託のなさが香港の成長を支えてきたんでしょうね。
これからも特別な場所であり続けるでしょう。

以上

by zhuangyuan | 2007-12-23 23:21 | 中国関連DVD、本


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