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中華 状元への道

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2007年 07月 01日

1930年 魔都上海

1930年代の上海というと独特のイメージを抱かせます。
宮崎正弘のメールマガジンのなかで胡桃沢耕史や伴野朗の小説でそのころの
魔都上海の様子がよく描かれているとありました。

胡桃沢耕史はイメージとしては翔んでる警視正シリーズなんかの軽いイメージですが
中国関連の小説も結構あって面白いです。
魔都上海といえばそんまんまですが「上海リリー」なんて小説もありました。

伴野朗という人の本は本屋でよく見かけますが読んだことはなかった。
そこで古本ハンターは意識して探してみました。
適当なのが見つかりました。
「上海伝説」集英社文庫
100円かと思ってレジに持っていくと400円。

まあ、ひねりのないそのまんまの題名。
紹介がなければ絶対手に取らない題名です。

背表紙で内容をみると結構面白そう。
汪精衛に向けられる蒋介石の刺客うんたらかんたら。

早速読んでみました。
1930年代の魔都上海を舞台に歴史の断片を軸にして謀略が繰り広げられる。
そこに史実の小ネタがちりばめられててあっという間に読んじゃいました。
軽いタッチで読み進められますが
新聞社で上海駐在だっただけあって中国人の人間関係なんかもよく知って書いていて
ところどころにうならせる描写があります。

汪精衛のほかにも川島芳子や児玉誉士夫、青帮の大ボス杜月笙、悲劇の名女優阮玲玉
までも登場してきます。

阮玲玉って誰?って方も多いと思いますが
わたしも昨年までは知りませんでした。

上海に出張した際に雰囲気のいいレストランで食事をしました。
そこはまさに1930年代の上海を懐かしむようなスタイルでした。
この資本主義の象徴みたいなものを懐かしむことができるんだないまの中国はと妙に関心しました。
そこで昼から紹興酒を飲みながら食事をしていると
部屋の周りには沢山の美しい女性の肖像画が並んでいました。
その中で一際目が惹かれた絵の主を尋ねたところ、
それが「阮玲玉」でした。
1930年 魔都上海_d0018375_2246083.jpg

それまで聞いたこともなかったのですが
帰国後しらべると、30年代に活躍した大女優でなんと25歳で自殺していることがわかりました。

それから妙に気になっていたのですが
この短編小説集の最後の作品「南京路の幻影」は彼女の物語でした。

日本人の男性主人公が彼女が駆け出しのころ一夜をともにしちゃうのは
小説ですからご愛嬌といったところです。

映画が社会に与える影響が今とは比較にならないほど大きかった時代に
新しい女性像を演じ、国民党批判ととられ危険視されて政治的に抹殺されそうになり
そこに男女関係が絡み合い死を選ぶのです。

彼女の葬儀には20万人が繰り出したそうです。

伴野朗の小説もまた読んでみようと思います。

以上

by zhuangyuan | 2007-07-01 22:48 | 中国関連DVD、本


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