中華 状元への道

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2007年 03月 11日

甘粕正彦

先日
李香蘭のテレビを見てましたら、満映社長、甘粕正彦が登場してました。
この謎の人物については以前から興味がありました。

そこで前に買って読んでいなかった彼の本を読んでみました。
甘粕大尉
角田 房子 / / 筑摩書房

角田房子の本は何冊か読みましたが偏っていなくてよい。
でもこの本の初版が1975年で著者自身も現在90歳を超えていると知りびっくり。

甘粕正彦の名はなんといっても関東大震災での甘粕事件で有名。
関東大震災時に憲兵大尉としてアナーキスト大杉栄とその妻伊藤野枝、甥の橘宗一を殺害したのです。
治安維持の責任者が法を踏みにじり殺人を犯したとして世の中を震撼させた事件です。

高校生にころ歴史一問一答問題集かなんかに載っていました。
なんで大杉たちは親戚なのに苗字が皆違うんだと不思議に思うくらいでした。

私はこの一問一答式問題集が大得意でほとんど全部暗記してましたが
当時の事件の背景なんかは全く知らずに名前や年号だけを覚えているだけでした。
日本の受験制度の悪影響ですね。マークシート式で合格できちゃうんですから。

この本が推測するに
甘粕はこの事件を自身の意図で行ったのではなく陸軍全体の意志として
当時の無政府主義者の大物の殺害を行ったとのこと。

であるから懲役後も陸軍の費用負担でフランスに渡航したり
その後の満州での活躍があったと。

この甘粕事件を今の世の中から表面的に見ると
憲兵の暗いイメージと殺人という陰湿な行為が重なり
極悪非道の人物ということになり、
なぜそんな人物が社会的に復活できるのかと不思議に思います。

しかし本書によると当時の混乱した世の中で
甘粕が大杉を殺したのは社会秩序を守るためやむをえない行為だという
評価が多かったとのいう。
その結果、甘粕の裁判で彼の減刑を願う嘆願書への署名が65万人分も集まったとのこと。
今みたいにメディアが発達していない世の中での数字ですから驚異的です。
当時の世の評価は国の治安を守るために自ら汚れ役を引き受けた愛国者だというのです。

甘粕は少年時代から陸軍幼年学校で学び
愛国教育で純粋培養され、国を愛する気持ちが人一倍強く、国のためなら何でも出来る男であったそうです。
その彼は満州にわたり、満州事変に至るまでは謀略活動に携わり、爆破事件やテロを
演出し、日本による治安維持が必要な環境づくりに奔走したそうです。

そして満州国成立後は満映理事長となり
満州建国の正当性を宣伝すべく力を尽くします。

彼は本当に満州国を立派な国に育てようと心血を注いだそうです。
そのためには日本人でなく満州国人を立てて、彼らを理解した政策をとろうとしたそうです。
そして日本人の利益のみで短絡的に行動する横暴な関東軍を頻繁に批判したそうです。

こんなことがあったそうです。
南京陥落の際、満州でも関東軍が祝賀記念国民大会を企画し
零下25度の寒空に満州人、漢人がかりだされて、小旗を振って行進し
日本人とともに万歳三唱をさせられたそうです。
そこで甘粕は言ったそうです。
中国の古都、南京が日本軍に占領されるのは満州にいる4千万の漢民族にとって
悲しいことです。それを祝賀行事に参加されるのは間違いだと。

でもこのように満州人のことを考え、満州をよくしたいと思う気持ちも
根源のところは天皇に対する敬愛の念から出てきたもので
満州の発展が日本の発展につながり、天皇のお役に立てるという心からのものであると
著者は言います。

天皇の臣、日本人をもっとも純化させたような人物だったんでしょう。
最後には日本敗戦を期に自ら命を絶つのです。

彼の葬儀には敗戦後、満州人の日本人に対する態度が一変した後にもにも関わらず、
満映社員を初め多くの満州人が集い、長い列ができたとのこと。

以上
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by zhuangyuan | 2007-03-11 23:11 | 中国関連DVD、本 | Comments(7)
Commented by 空気 at 2007-03-12 21:16 x
今天不努力工作,明天努力找工作より

今天工作不努力,明天努力找工作の方が正しいらしいよ
Commented by zhuangyuan at 2007-03-14 23:24
空気さま
ご指摘ありがとうございます。中国googleで検索してみますと両方とも使ってるみたいですね。私のバージョンは中国の工場の現場に大きい看板に書いてありまして、関心してメモってきました。でも空気さんバージョンのほうが切れ味があるかもしれませんね。
Commented by Xia at 2007-03-14 23:59 x
我觉得这两句都对!
先生お早うございます!  と    お早うございます先生!

って違いありますか?^~^
Commented by かめ at 2007-03-15 11:41 x
文法的には両方合ってますが、中国の工場か会社の事務所に掲げてあるのは、空気さんの言われる方の「今天工作不努力~」ですね。
それよりも、甘粕さん、ラストエンペラーではYMOの坂本龍一が演じてましたが、したたかな策士とばかり思っておりました。
Commented by zhuangyuan at 2007-03-21 07:03
かめ様
中国にはこうした半ば脅迫的なスローガンが多いですよね。
私も甘粕のイメージは坂本龍一なんですが、本物はさらにスケールの大きい策士兼権力者兼実務者兼人情家の愛国者だったようです。
Commented by hiro at 2007-04-01 14:35 x
遺言状 墨東奇談にはさんであったって?
Commented by zhuangyuan at 2007-04-01 16:22
hiroさま
確かにこの本にはそう載っています。でもなんで永井荷風なんだかはさっぱりわかりません。死ぬ間際まで読んでたんでしょうか。私は永井荷風は一冊も読んだことがありませんのでなおさらわかりません。永井の小説は面白いですか?


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