2006年 12月 09日

もじもじ文字獄 言葉狩り 

清の時代、文字獄というのがありまして、まあ現代でいうところの言葉狩りです。

清朝は満州族王朝ですが漢民族に対してコンプレックスがあったらしく
自分たちは一生懸命、漢文化を勉強しつつ、一方で自分たちが外来民族であるという認識を
消し去ろうと言葉狩りを行ったのです。

余秋雨の一个王朝的背影という文章には次のようにあります。
他不许汉族知识分子把清廷看成是“夷人”,连一般文字中也不让出现“虏”、“胡”之类字样,不小心写出来了很可能被砍头。

彼(乾隆帝)は漢族が清朝廷を夷人とみなすことを許さず、
文章の中に“虏”、“胡”の類の字が出てくるのを許さず、うっかり書いてしまうと
首を飛ばされることもあった。


胡錦濤主席なんて書いたらもうだめです。
でもいくら取り締まったって異民族は異民族で意識は変わらないし
一方で思想の漢化を目指しつつも、辮髪を強要するわけですからわけがわかりません。

言葉狩りというと最近の日本でも「核」というのがそんな感じになっています。
「核」っていうのは議論もしちゃだめだ!ってのはなんなんでしょうか?

でも逆にそんなことを言うと違和感が出ますから
この違和感が時代が変わったってこのなんでしょう。
以前だったら言った瞬間に大臣更迭とかになってました。
そんなあたりの世間の微妙な変化の風を感じて発言を始めてるんでしょう。

学生時代に紅色政党にいた友人が言ってました。
自民党の政治家がなぜ先の戦争を擁護する発言をして
そのたびにマスコミにたたかれ大臣を辞任するのか。
それは世間の反応をその都度確認するためだと。
つまりリトマス試験紙なんだそうです。

今を発言し首になるのでなく、核を議論するなというほうが違和感が出るそんな時代になりました。

言葉狩りといえば私が常々違和感を感じているのは
差別に関する言葉。みょうな平等な世の中を言葉上から作ろうとする変なことば。

グリーン車っていうのも意味がわかりません。特等席とかならわかるけど。
普通席は二等席だとまずいんでしょう。

学校の成績表はなぜか通信簿と呼びます。
それも小学校では「たいへんよくできました」「よくできました」「ふつう」とかいう段階で評価する。
良い、普通、悪いではだめなんです。

ボケ老人は認知症といわなければならず。
精神分裂病は統合失調症。

ジェンダー関係もわけわからない。
ビジネスマンはだめでビジネスパーソンとか
看護婦は看護士でスチュワーデスはフライトアテンダント。

放送禁止用語も行き過ぎです。八百屋や床屋もだめなんです。
八百屋さんが八百屋さんって言われて嫌がるわけないでしょ。
逆に卑しい職業だったのかっておもっちゃいますよ。

忌み言葉ってのも意味があるのかどうか。
閉会は縁起がわるいから「お開き」と呼び、スルメはアタリメ。
夏に大阪の妻の実家に行った時、川沿いに葦原(あしはら)がありました。
でも植物を解説する説明板には「よし」とありました。「あし」は「悪し」につながるからだめなんです。

言葉の言い換えも多い。
企業で首切りはだめでもリストラはokなんて。
「父さんは解雇じゃないのよ、リストラよ」なんてサラリーマン川柳がありました。

下請け企業は協力会社と呼びなさいとか。
実態は変わらないのに言い方だけ変えても意味がないでしょ。

でもこれの極めつけは自衛隊ですよね。軍はもたないんだから自衛隊は軍隊じゃないって。

言葉がどうであれ、実態が大事なんですけど
日本語ってのはこういうのが多くて困ります。
こんな日本語使ってるとどんどんゆがんだ精神構造になっちゃいます。

私自身は面倒くさがりで余計な気を使うのがいやなので
直接表現をよく使うのですが、やはりこれがよく軋轢を招くのです。
日本語ってほんとにむずかしいですね。

ところで最近私はけっこうブルーなんです。
それは娘の国立小学校受験の最中ですでに二つだめだったんです。
先週はその発育総合調査があったんですが
その合格者発表に行ったんですがその発表掲示板にこう書いてありました。
「抽選有資格者発表」
二次試験合格者と言わずに最後の抽選にすすめる有資格者の発表ということなんです。
で結果は「抽選有資格者」になれませんでした。
べつに気を使って婉曲表現してくれなくてもいいんですけど。

来週も最後の一校があるんですよね。
これは関門がきびしく、総合発育調査つまり選抜テストにすすめるかどうかの抽選倍率が
すごくてそのテストにすすめるかもわからないのです。
まあ天の声を待つしかないですね。

以上
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by zhuangyuan | 2006-12-09 17:26 | 文化、歴史 | Comments(6)
Commented by Harusan at 2006-12-10 09:11 x
全く同感ですね。
私は今年古希を迎えた年寄りですが、お年寄りなどと呼ばれるのは
気味が悪るく思ってます。
Commented by ケイチー at 2006-12-10 15:18 x
「あきめくら」なんて言葉も禁句になるのでしょう。
Commented by zhuangyuan at 2006-12-11 21:42
Harusanさま
コメントありがとうございます。婉曲表現が慇懃につながり結局心無い空虚な言葉がおおいですね。でも古希ではお年寄りとはいえませんね。私の祖母は来年米寿ですが最近卓球はじめました。因みに本日は68歳の社長さんと忘年会でした。ずっと説教されていましたが…。
Commented by zhuangyuan at 2006-12-11 21:43
ケイチーさま
そんな言葉はもちろんだめです。ちなみにケイチー様のところを裏日本と呼んでもだめですよ。中国からみたら表ですから。
Commented by ケイチー at 2006-12-12 05:35 x
「裏日本」!
確かに以前そんな呼び方もあって、タダでさえ暗いイメージがますます暗くなるので、やめようということになったはず。
中国から見て表?というのは、近いからですか?

身体の不自由さを直接表現する言葉は確かに強烈ですが、何でもかんでもオブラートに包んでソフトにするの、違和感あります。
それで問題が少しでも改善されるのか?とか、どうもごまかしと思えて仕方ありません。
Commented by zhuangyuan at 2006-12-13 21:25
ケイチーさま
昔から中国は世界の中心ですから中心から見たら日本海側は表ですよね。昔は新潟なんか人口が一番多かったそうですし。
障害についてけなし言葉に使うのは日本ではかなり控えめです。その点中国語はバシバシ直接表現使いますからびっくりします。


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