中華 状元への道

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2006年 10月 08日

見える統制 見えない統制

おとといの記事でも書きましたが中国には言論の自由がないといいます。
どこどこのサイトが閉鎖されたとか誰々編集長が解任されたとかいうニュースが
よく日本のメディアを騒がしています。

さぞかし中国大陸の方は自由な発想のない画一的な思想コントロールを受けているんだろうと
一般には思われています。
確かにそういう面もあるんでしょうが私が思うにそれがそうでもない。
なぜか?みんな中央がそうした思想コントロールをしていることを知っているから。
そもそも政府の言っていることなんか誰も真に受けない。
気にはしてケアはするけどその対策を考えるだけで素直に受けない。

私も中国と絡む前は、皆さんガチガチの思想なんだろうなと思ってましたが
結構自由になんでも議論していますし、歴史上のことについても見方はそれぞれ。
毛沢東の文革以来強烈な統制をやったんでしょうけど
こんなことは4000年の歴史上いくらでもあったことで皆さん生き方を知っています。
メディアのいってることなんて信じない。信じるのは家族と友達の話だけ。
これは民衆の知恵ですね。

もっと問題なのは日本のメディアです。
先日こんな本を読みました。
閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本
江藤 淳 / 文藝春秋

これは第二次世界大戦後GHQが日本において徹底的に行った言論統制について
検証したものです。資料の引用が多く論文を読んでいるようでなかなかつらいですが
内容は非常に興味深いです。著者(故人)が現在の日本のメディアに抱く違和感の
根源を米国に眠るGHQ関係の資料から解明しようとする執念を感じます。

アメリカ軍は戦争中から戦後の日本の思想統制=検閲について着々と準備をすすめ
戦後早速実施し安定期に入り、必要のなくなったあとも継続した。
そこで問題なのは公にせずに見えない形で検閲を行い統制をしたこと。
個人の手紙なども徹底的に開封し世論の状況を調査し新聞、ラジオなどを使って
宣伝を行った。

中でも特に力を入れたのが
「War guilt information program」
(戦争についての罪悪感を日本人に植えつけるための宣伝計画)

当時日本には大東亜戦争は自衛戦争であり
敗北したがこれは一時的な状況であり、国体は維持し将来の繁栄に向け臥薪嘗胆するという
気運があったそうです。
それをGHQは嫌い、その戦争を次のように定義します。
日本は狂信的な軍国主義者に乗っ取られ、その軍国主義者は共謀して何十年もまえから
世界侵略をたくらみ、日本国民を騙し、窮地に追いやり、そして世界でも悪逆非道を尽くしたと。
キーワードは超国家主義、残虐行為。

そしてそれを決定付けるために東京裁判も行われた。
東条英機は裁判の宣誓で主張しました。
自分は国民に対して指導者として敗北の責任は負う。
しかし大東亜戦争は国際法上認められた自衛戦争であると。

その時の国民は正々堂々と主張した東条氏に対し高く評価したとのこと。
しかしその世論に驚いたGHQはこのまま東条氏を絞首刑にすれば
殉国の志士になってしまうと恐れ、更に徹底的に宣伝、教育を行ったそうです。
詳しくは本書をご覧ください。

宣伝の一つの例を挙げると
日本が戦い敗北した戦争は「太平洋戦争」であるとされ、
「大東亜戦争」という言葉が徹底的に排除されメディアから消されたそうです。
大東亜戦争とういう響きがアジアの植民地からの解放という大義に結びつくからでしょう。

たしかに太平洋戦争といわれると大国アメリカに無謀に戦争をけしかけ
パールハーバーで騙しうちし、絶海の孤島で大勢の兵士を見殺しにしたあげく
なすすべなく敗退したという印象が強まりますね。
そういえば先日紹介したむかつく満州の本も「太平洋戦争研究会」とかいう
うさんくさい名前の会が編集していた。

そしてその片棒を担いだのが今も存在する新聞を中心とするメディアです。
当時の日本のマスコミは破壊されておらず敗戦後も存在していたため
GHQはそれをそのまま活用したのです。
記事はすべて事前検閲を受けてコントロールされました。

戦争が終わるとマスコミはそれまで礼賛していた指導部に対する姿勢を
一変させ、戦争批判を行いますが、一般的にこの現象は
戦時中の情報統制から解放された民主的なマスコミの自由な発言であるとされています。
しかし実際はGHQからさらに強い統制を受けていたのでした。
先日読んだ「われ巣鴨に出頭せず」という近衛文麿の伝記にもそんなマスコミが描かれています。
戦争中はもてはやされた近衛氏は戦後は急転直下卑怯者にされるのです。

そしてこの検閲を受けて改訂して発行するという行為がいつしか自己規制へとつながり
統制される側から統制する側への共犯意識となったとのこと。
挙句は優越感がでて愚民を導く宣教師感覚になっちゃったんでしょう。

これが今まで脈々と続いているんです。検閲はないですが自己規制が。
見えない統制は恐ろしいですよ。

「拒否できない日本」の著者関岡英之氏は現在も日本はアメリカの意のままであるし、マスコミはそれを報道しないと。
現在マスコミが靖国参拝などを批判するのはなにも国家主義台頭を懸念しているわけでなく
反対に愛国的気運が高まっていることを強調し(報道すればするほど注目される)
その実、亡国的対米追従外交を隠蔽しているとのこと。
郵政民営化などは米国に要求されていたことであるがこうした事実はあまり報道されない。
詳しくはyoutubeの関岡氏話をごらんあれ。

なんて新聞を批判しつつ私はその権化、朝日新聞をとっています。
ほんとは産経が好きなんですけど。
産経は折り込み広告が少ないらしくて許可がおりません。

朝日の社説の読者を完全に子ども扱いし小馬鹿にしたものいいが
逆に執筆者のそこの浅さを表しているようで面白いです。

以上
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by zhuangyuan | 2006-10-08 21:59 | 文化、歴史 | Comments(6)
Commented by 森本 at 2006-10-09 01:20 x
「中国人は政府の洗脳を受けているのかもね」という中国人がいました。
ステレオタイプに凝り固まっている一部の日本人より柔軟な考えの持ち主でした。
Commented by zhuangyuan at 2006-10-09 20:30
森本さま
コメントありがとうございます。日本の場合は誰も洗脳されてるなんて思っていないだけに、疑ってかからないから、すぐ乗せられてしまいますよね。という私も小泉フィーバーでは自民党に入れちゃいました。
Commented by トミーと松 at 2006-10-10 16:06 x
初めてコメントします。私もその通りだと思います。GHQが徹底的にやった結果たしかに効果はありました。しかし、その結果、朝鮮戦争勃発で慌てたのは米国だったようです。つまり、徹底的にやったことで日本は軍備よりも経済の方にシフトしました。で、一番困ったのは米国で日本には再軍備をと吉田首相に提言・提案したようです。しかし、吉田首相はのらりくらりと交わしながら、これまでGHQがやってきたことを指摘しながら、しぶしぶ自衛隊の元をつくりました。案外、自衛隊は吉田のGHQを主導する米国への抵抗だったんじゃないかと思うんです。
Commented by かめ at 2006-10-11 11:09 x
最近の白洲次郎や吉田茂、近衛文麿へのアプローチでぼんやりと浮かんでいたものがすっきりした気がします。 御縁あって白洲様のご子息とは(といっても大先輩ですが)海でたまにあそばせて頂いていますので、何気なく白洲次郎夫人のものや次郎氏自身の本まで読むようになったのがきっかけでした。 愚妻の実家が鶴川なのも奇縁であります。
しかしこの米国追従の国民意識を植え付けた技術はすごいですね。我が家の近くにもギラギラとしたハロウィーンの飾りつけをした家がありますが、家主は誇らしげですらあります。 
日の丸掲揚を問題視する風潮よりも、もっと大事な事を学校で議論すべきだと思います。その辺に問題の根が始まっているのではないでしょうか。旗立てるか立てないか、そんな事で大騒ぎする教育界のレベルの低さにあきれています。
Commented by zhuangyuan at 2006-10-13 07:01
トミコさま
コメントありがとうございます。GHQの宣伝効果が60年以上も続いてしまうんですから日本人は従順ですよね。最近はまた米国の都合で別の刷り込みが始まって憲法改正の勢いです。ところでトミーと松といえば清水章吾さんの子どもが恐喝されたそうです。助けに行かないと。
Commented by zhuangyuan at 2006-10-13 07:03
かめ様の人脈にはいつも驚かされますが「風の男」のご子息まで登場するとは恐れ入りました。白洲次郎はかっこよすぎます。奥さんも理想的だし。


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