中華 状元への道

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2006年 09月 27日

本当の三国志とは

三国志 きらめく群像
高島 俊男 / 筑摩書房
を読みました。
この方ははっきりって中国歴史オタクですね。中国の歴史書にいちゃもんつけさせたらナンバーワンじゃないでしょうか。

この本もオタクの真骨頂のような本で細かい年号や用語の言い回し、歴史書の矛盾点などを
どんどん衝いてゆく。これで私も三国志オタクになれます。
著者自身が文庫あとがきで
「中国の史書についてこれだけわかりやすく、かつ興味深く書いたものはなかなかないんじゃないか、
もしかしたらオレが書いた本で一番面白いかもしれない。」などと自画自賛しています。

面白いのですが真実をばらしすぎて、興ざめしちゃう感もあります。
これもそのあとがきにあるのですがある出版社の人に言われたらしい。
「事実は本のとおりなんでしょうけど、三国志ファンには受けませんよ。」と。

普通一般の日本人は三国志といえば、小説三国演義のことですが
その物語なんて完全否定しちゃいます。

諸葛亮のところに劉備が尋ねて行く有名な「三顧の礼」なんてボロクソいってます。
そもそもなんど職もない諸葛亮に三回も出向くなんてありえないし
この「三」は何度もという意味であって多くても二回しか行ってないはずだとかいいます。

また二回いったとしてもそれは劉備がたいしたことのない馬の骨だからで
たとえていうなら
中小企業の親父が大学出たものの就職先のないぶらぶらしている青年のうちに来て
うちの会社で事務でもやらないかと誘った程度のことだとかいいいます。

小説では埋もれている将来の大参謀と将来の皇帝との運命的出会いが
著者にかかるとこんな感じになっちゃいます。

また、魏呉蜀の三国時代といったって後世では対等なイメージがあるが
圧倒的に魏が強くて勢力が大きく呉や蜀なんて海南島やチベットあたりの辺境の地で
中央に従わない連中が勝手に皇帝を名乗っているだけだ。
そもそも魏の民衆は呉や蜀の存在すら知らなかったとかいうことになっちゃうんです。

群雄割拠で英雄たちがそれぞれの国のため三つ巴で戦う男の活劇がなんか冷めたものになっちゃいます。

やっぱりお決まりのストーリーが気持ちいいですよね。
諸葛亮は天才じゃなきゃつまらないし、曹操は悪人。これのほうがすっきりします。

水戸黄門が出てきて印籠だしたらみんなで「ははぁー」っていうのがいいですよ。
巨人も強くなきゃ野球はつまらないし、横綱大関がみんな負けてたら面白くない。

でも結局歴史なんて真実は著者のいったとおりで
私たちが歴史だと思っているのは後世の人が恣意的に作り上げた虚像なのかもしれません。

でも三国演義ってのはすごいですよね誰もが小説だって知ってるのに
それが歴史になって人々に多大な影響をおよぼしてるんですから。

とはいいつつ私は三国演義をまだ読んでません。
こどものころ岩波少年文庫で読んだだけです。
吉川英治のは買ってありますがまだ未読。
でもこれも著者に言わせれば半日本みたいな変な小説だとのこと。
でもいつかは読んでみたい。

以上
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by zhuangyuan | 2006-09-27 23:11 | 中国関連DVD、本 | Comments(14)
Commented by tianshu at 2006-09-28 11:03
こんにちは!
  お久しぶりです.
  「三国演義」を、中国語版で読んだらいかがですか?

  高島 俊男の名前は初めて聞きましたが、ZHUANGYUAN さんのご紹介はなかなか面白いですね。読みたくなります。つまらなくなるかもしれませんが、それこそ日本人の真面目に似合う書き方ではないかと思っています。
Commented by dashi at 2006-09-28 19:05 x
高島俊男さん、週刊文春で長いこと連載を持ってましたよ。自称ひねくれおやじ(独身らしい)で、かなり辛口の痛快なエッセイが多い人です。中国関係に造詣は深いけど、そうとう変わり者みたいな。私は一時愛読してた(面白かった)けど、飽きました(笑)。
その本は読んでないけど、自分の本(文章)を自画自賛するのはいつものことですよ、あはは。
Commented by zhuangyuan at 2006-09-28 20:58
tianshuさま
「三国演義」は去年の夏、原書(古代漢語)で読み始めたんですが、現代漢語もマスターしていない私が読むのは時期尚早とのアドバイスを受けて中断いたしました。今度現代漢語版をトライしてみます。
Commented by zhuangyuan at 2006-09-28 21:01
dashiさま
高島さんは独身なんですか。まああれだけの知識量は並大抵のことでは手に入らないでしょうから年中書斎にこもって原書をあたったりしてそうですからとても家庭なんて顧みることはできないでしょうね。文章は自画自賛するだけのことはありますね。でも私は中国ネタ以外は読んだことがありません。
Commented by dashi at 2006-09-29 11:20 x
高島さんって、どっかの大学(いいとこ)の教授をされてた方だと思いますよ。その道の専門家ですね。
戦後の漢字改革について(当用漢字とか制限がついた件)など、真面目で面白いことを書いていらっしゃいました。
例えば芸という字などは、簡体化されて表意文字としての役割は果たせなくなったでしょ、そういうのを批判されてました。私も、拿捕をだ捕、拉致をら致と書くような表記には大いに不満なんで、共感を覚えましたね。
機会があったら読んでみて下さい。
Commented by かめ at 2006-09-29 15:16 x
三国演義は読み物として面白くしたせいか、時間的、地理的な矛盾が多いと昔から指摘されていますが、三国志(正史)も日本語版があるのですが、どっちもどっちという感じがしています。 つまり三国演義の方が面白いって事はないような気がしてます。 全部日本語の物語にするときに面白くして頂いているからでしょうね。
Commented by jiumei at 2006-09-29 15:45 x
はじめまして。

私が三国志もので好きなのは、陳舜臣の「諸葛孔明」ですね。
文体がくどくなくて、いたって読みやすい、というのがその理由です。
妙に感傷的になる必要が無いところが好きでした。
Commented by zhuangyuan at 2006-09-29 21:03
dashiさま
高島氏の本で最初に読んだのは「漢字と日本人」でした。これは薀蓄が詰まって楽しかった。中国語の勉強を始める前のことです。
Commented by zhuangyuan at 2006-09-29 21:05
かめ様は正史のほうも読まれたなんてすごいですね。日本の小説家が書いたものですと誰のものがお薦めですか?
Commented by zhuangyuan at 2006-09-29 21:11
jiumei様
はじめまして。陳舜臣さんは確か曹操も書いてましたよね。今度諸葛孔明トライしてみます。彼の小説は司馬遼太郎とくらべて時代考証がしっかりしていると中国通の方が言っておりました。
Commented by かめ at 2006-09-30 00:20 x
面白さからいったら、吉川英治の三国志が一番面白いと思います。これは「通俗三国志」「三国演義」などの長所をとって書かれてます。正確には三国志の醍醐味を味わうのには適してませんが、作者の三国志への思いがこもった作品だと思います。あまりにも平凡だったかな?
Commented by jiumei at 2006-09-30 12:23 x
> 彼の小説は司馬遼太郎とくらべて時代考証がしっかりしていると中国通の方が言っておりました。

そうですか。
陳舜臣は著書(歴史小説)の中で、「『三国志』にはこう書かれているが、私見では~」とか、「『史記』にもこう記されている~」云々と、いちいち出典を明記する傾向がありますね。(私の勝手な思い込みですが)それに対して司馬遼太郎は、ムードを大切にするロマンチストという感じがします。街道シリーズの『中国・江南の道』、『中国・蜀と雲南の道』、『中国・閩の道』などでも、良い意味で軽快な“電波”を飛ばしていたように思います。
Commented by zhuangyuan at 2006-09-30 21:10
かめ様
そのお答えを期待しておりました。吉川英治文庫「三国志」(全八巻)が読まずに本棚に眠ってます。8冊の本をスタートする勇気がないのと、日本的三国志などと高島氏に言われ少し興ざめしてました。早速読んでみようと思います。
Commented by zhuangyuan at 2006-09-30 21:15
jiumeiさま
司馬さんの本ではストーリーよりも時代背景を説明した挿話が結構好きです。でも実は私、司馬遼太郎の中国小説をよんだことがありません。


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