中華 状元への道

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2006年 09月 18日

「蟻の兵隊」 鑑賞

一年以上前に蟻の兵隊という映画が撮影されているという記事を書きましたがやっと見てまいりました。公式hpはこちら

行かなきゃ行かなきゃと思いつつもなかなか時間が見つけられずにいたのですが
もうそろそろ公開が終わっちゃいますので会社の後行ってきました。
渋谷のイメージフォーラムという小さな映画館での単館(東京では)上映です。
お客さんの入りもいいようで上映を延長しています。

これは中国山西省に残留した日本軍の元兵士(80歳)を追ったドキュメンタリーです。
日本は1945年に敗戦しますが、日本軍現地司令官が当時山西を牛耳っていた閻錫山と
密約し兵力を引き揚げずに残留させ、閻錫山と共に戦わせました。

日本軍にとっては兵力の中国での温存、閻錫山にとっては解放軍との内戦に勝利すること
が目的ですが、問題は残留した兵士は軍の命令で残ったのか、自ら志願して残ったのか。
結局、1954年に帰国したあとに国家は彼らは志願して残留したと認定し、恩給を与えなかった。

彼らは軍の命令で残ったと主張し国を訴えます。
その彼らの奮闘を追ったものです。

主人公は80歳ですが20歳の初年兵で終戦を迎え、そのまま残留、
解放後は収容所を経て29歳で帰国。天皇のために戦ってきたはずが
閻錫山のために勝手に志願して戦ったとされ、しかもその閻錫山さえも
共産党に破れて台湾に逃げてしまう。

彼らは80歳を過ぎてまでなぜそこまで執拗に国を訴えるのか。
それはやはり自分生きてきた意義をしっかり意味づけしたいのだと思います。
自分の青春を天皇に捧げて命も省みずに戦い
しかも戦争中とはいえ人を殺し、紆余曲折を経てやっとの思いで帰国すると
国からはまったく認めてもらえない。

どこで読んだか忘れましたが、ないか心理学の本でこんなことが書いてありました。
人が何か行動をするときに理由なんてものはない。理由は後から自分でつけているものだと。
当時は運命として徴兵され中国で戦って人を殺した。
でもやっぱり理由が必要だし、その背景を知りたい。自分の行動を意義付けしたい。
しかし当時は無我夢中で何もわからず、帰国したらすべてを否定される。
人間の欲のうちで一番強いものは評価されたい欲望らしいのでこれは何にも勝るショックなのでしょう。

こうした訴えを国が認めるとうことはポツダム宣言違反を認めるようなものなので
勝ち目はまったくないのでしょうけどこれに打ち勝とうとする
主人公の奥村氏の淡々としたキャラクターと
内に秘めた闘志に感銘を受けました。古きよき一本気な日本人を見た気がしました。

映画自体の編集にはステレオタイプの善悪論が鼻につく場面もありましたが
この主人公のひたむきさと実直さがその安易さをカバーしてヒットにつながったと思います。

余談ですが冒頭にあげた前に書いた記事の中にこんな引用をしました。
これらの両手が中国人民の鮮血で染まった日本軍の捕虜に対し、解放軍は人道精神を発揮し、彼らを大同云冈一带の炭鉱に送り、労働改造を行い、特別に安全な場所で鉱石運びをさせた。そして食べ物と衣服を保証し、彼らの思想改造を手伝ってあげた。これらの捕虜は解放軍の配慮や温かさに心から感動し、日本返還後も中日友好に積極的に奔走し、またある人は中国に残り、日本軍国主義が中国人民に犯した甚だしい罪を自ら行動することによって補っている。

この映画でもこの思想改造の一角を垣間見たような場面がありました。
山西省検察院の資料館には残留日本兵全員の自己懺悔文は保管されているのです。
そこで兵士は自らを鬼として描き反省していました。
きれいな字で一字一字びっしり記された原稿用紙から冷やりとするものが伝わりました。

以上
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by zhuangyuan | 2006-09-18 23:17 | 文化、歴史 | Comments(0)


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