2006年 09月 10日

モンゴルが世界を創る

世界史の誕生
岡田 英弘 / 筑摩書房
を読みました。この著者の本は何冊か読みましたがどれも斬新な角度から中国の成り立ちを
分析しており大変面白い。

今度の本は副題に「モンゴルの発展と伝統」とあります。
そして帯には「歴史はモンゴル帝国から始まった!」と太字で書いてあります。
いわく、モンゴル帝国以前は世界は同一の歴史はなく、
中国を中心とする世界と地中海を中心とする世界が別々に存在しており
その歴史の考え方もばらばらであった。
モンゴルの世界帝国で初めて世界がつながり現代へと続いていくそうです。

中国の歴史を普通に眺めるとモンゴル帝国たる元は勢力範囲は最大であるものの
中国歴代王朝のなかではごく短い間、君臨しただけと考えがちです。
しかし著者の見方からすると元というのはそもそもモンゴル帝国のごく一部であり
中国を植民地化し、いくつもある植民地のうち中国部分を元と呼んでいたに過ぎないと。

そして明に破れて中国を失ったあとも消滅せずに各地で残ってゆく。
また中国を取った明でさえも行政方法などは元時代のものをそのまま活用したとのこと。

明のあとの清はモンゴルの継承国家であり、元朝の持っていた玉璽を引き継いでいたらしい。
そして清にとっても中国は植民地の一つに過ぎないと。
ゆえに清朝や元朝時代に勢力範囲となっていたチベットを現在の中華人民共和国が
領有権を主張するのは理屈が合わないとのこと。なぜならチベットは中国人の中国に
支配されたことは一度もないから。
それを主張するならモンゴルこそが正統国家になってしまうと。

中国以外にもモンゴル継承国家がいくつもあるそうです。
中国語教室でそんな話題をしていますと先生が言いました。
「ロシアとかインドとか、あとヨーロッパの匈牙利」

ロシアについては以前、エリツィンがチンギス・ハーンに似ていると触れたことがありますが
何百年もタタールのくびきに繋がれてたのですがから影響がないほうがおかしい。

でもインドはないだろ、顔も違うし、ヒンドゥー教の世界はまったくちがうでしょ。
と思いきやインドも継承国家なんです。
ムガール帝国って聞いたことがあると思いますがこれはモンゴルがなまってムガールなったんですって。
モンゴル継承のティムール帝国が南下して立てたのがムガール朝だとのこと。

で最後の匈牙利(xiongyali)とはどこなんでしょう。
ハンガリーでした。
そういえば以前聞いたことがあるハンガリーとはフン族の国だと。
フン族とは東方の遊牧民である。
一説によるとそれはモンゴル帝国を形成した遊牧民の起源の匈奴だとのこと。
表意文字中国語の面目躍如で匈の字をつけちゃいました。
でも外来語は表音文字で貫いてもらわないとさっぱりわかりませんでした。

フン族とは東方からやってきてゲルマン人の大移動を引き起こした。
ここでもモンゴル=遊牧民が世界史を作ったんです。

でもハンガリー=フン族説ってのは最近の学説では否定されていると
wikipedeliaに書いてありました。

日本は海に隔てられていますので元寇にもやられることなく
良かれ悪しかれ日本であり続けました。
でも日本の国技はモンゴルに乗っ取られましたね。
朝青龍は今日も強かった。

以上
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by zhuangyuan | 2006-09-10 22:37 | 中国関連DVD、本 | Comments(8)
Commented by azu-sh at 2006-09-11 07:31
今のモンゴルと昔のモンゴルは世界での地位がかなり違うんですね。なんだか想像がつきません…。遅ればせながらリンクいただきました。よろしくお願いします。ネームカードかっこいいですね(笑)
Commented by zhuangyuan at 2006-09-11 22:22
azu-shさま
昔、馬で戦ってたころは強かったんでしょうねえ、モンゴル。でも私この遊牧民族ってのに憧れてます。わたし牧場育ちなんで。
リンクありがとうございます。ネームカードは状元の写真を探したのですがいいのが見つからず、康煕帝になっちゃいました。
Commented by かめ at 2006-09-12 11:32 x
ロシアの地域をモンゴル人が「ルーシ」と呼んでいたのがロシア(及びベラルーシ=白ロシア)の語源と聞いた事があります。中国でもハルピンやウルムチといった地名もモンゴル語だそうですが・・・。
思い出してしまいましたが昔、モンゴルの草原でモンゴル人と相撲を取らされました。ワタクシメも柔道有段者でしたので、ちょっと頑張っちゃいました。奮戦30分、決着つかず引き分け。おかげさまでスーツはボロボロになりました。お客の冷やかしでそんな事までやらされる、因果な商売です。 
Commented by zhuangyuan at 2006-09-13 22:17
かめ様
お帰りなさいませ。草原でモンゴル相撲とは豪快でいいですねえ。気持ちよさそう。30分!プロレス並みですね。しかもスーツでやるとは。でも正式のかっこなら勝てたかもしれませんね。プロレスとモンゴルといえば昔電車でよくキラー・カーンを見かけました。
Commented by 奥様は長春人 at 2006-09-17 12:18 x
私も今この本を読んでいますよ~(司馬遼太郎さんの影響で学生時代から北東アジアの騎馬民族関係の本が大好きです、笑!)

この著者の「この厄介な国、中国」もお薦めですよ!すっごく面白く、中国(人)を理解するのに最適本ですよ!
Commented by zhuangyuan at 2006-09-17 20:38
奥様は長春人さま
私が岡田氏の本で最初に読んだのが「この厄介な国、中国」でした。これは題名で想像する内容よりずっと深い面白いものでした。「皇帝たちの中国」ってのもいけますよ。でも騎馬民族系だとこのブログでも何度か取り上げた「狼图腾」(中国語)が最高です!
Commented by 630叔叔 at 2006-09-18 16:06 x
世界史の本を西洋と東洋をくるくる捲りながら読み、繋げてみたら、ゲルマン民族の大移動はやはり中国・モンゴル近辺の攻防と関係があるなぁという感想をもったものです。そして、日本に大和朝廷らしきものが見え初めるのもその頃なんですよね。呉服の呉の字は魏呉ショクの呉ですもんね。納豆とか赤飯とか、諸々の日本の物産の多くは中国南部のそれに起因するものが多いんですよね。
 源義経=チンギスハン説も面白いですよね。
Commented by zhuangyuan at 2006-09-18 21:51
630叔叔さま
納豆も中国なんですか、知らなかった。因みにこの岡田さんが言うには日本国ができたのは大化の改新のあと天智天皇の時だそうです。それ以前は万世一系でなくそれぞれ別の朝廷が存在したとのこと。天皇騎馬民族説ってのも昔流行りましたね。


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