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中華 状元への道

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2017年 07月 18日

ネット時代 中国語は世界語になった

「パリの昼下がりマルチリンガルのギャルソンのおかげで、私は、少しヴェトナム風にアレンジされたとてもおいしい広東料理にありつくことができました。中国語を身に付けておけば、(たとえフランス語やドイツ語やタヒチ語ができなくても)世界中の至るところでこのような口福に恵まれるチャンスが待ち受けている」P62


「中国語はじめの一歩」にある一説です。


パリのチャイナタウン(Porte de choisy)で華僑が営む広東料理店で食事をすると、街の外から来たであろう著者に店員は普通語で話しかけたという。その華僑二世である店員は広東語は家庭で覚え、普通語はコミュニティスクールで習ったという。パリでも中国語が話せる時代です。


私は32歳で中国語を始めましたが、学生時代の第2外国語はスペイン語でした。中国語は北京でしか通じないローカル言語だと思ってた。確かに今でも各地各地で方言が使われます。本書によると漢語方言は大きく10区にわけられるという。実際に以前友人に紹介してもらったテレビドラマDVDは主人公が四川訛りでさっぱり聞き取れませんでした。全部普通語字幕がついてます。


ところが昨今の普通語の普及ぶりは目を見張るものがあります。テレビと教育の浸透に加え今では世界第2の経済大国となった中国は史上初めて音声言語統一されたような。かつては、北京人にとって世にもおそろしいと言われた「広東人の話す普通語」も若い人たちなんかはすっかり洗練されました。香港人もしかり。今では香港映画も普通語バージョンが必ずあるしジャッキーチェンだって普通語喋ります。


海外に渡った華僑たちの大半は広東、福建あたりから出ていますが彼らも普通語習ってる。かつてはチャイナタウンごとにそれぞれの方言が話されてた。知人の親戚は台湾華僑でニューヨークに渡りましたが、チャイナタウンで福建ベースの台湾語が通じずに、チャイナタウンで広東語を覚えたという。


チャイナタウンのある外国にとっても中国の重要性が高まると同時に教育として中国語が導入される。この場合もちろん普通語です。すると華僑の子息も勉強します。


本書よるとアメリカでは1994年に普通語がフランス語、スペイン語とともに学校教育の第1外国語の選択肢に入ったという。P63


学生時代シドニーで小学生の日本語で話しかけられた。学校で習ってるって。でも今は中国語に押されてる。


華僑の子息が大陸で普通語を学ぶことも増えている。もう10年前ですが私が北京で語学コースに言った時、上級クラスの1/4が華僑の子息でした。アメリカ、オーストラリア、香港人も来てました。一番遠くはスイスの中華料理店の娘。インドネシアの華僑は暴動から逃げて来ていました。彼らは上達が速い。特に会話は。生活言葉だけは苦もなくできる。では方言とはいえ漢語世界ですからね。でも漢字ができないんだよね。時事問題なんかの漢語表現は全然ダメ。それらの漢字は和製漢語だから俺の方ができた。まあそれはともかく方言世界が中心だった世界中の漢語世界に、北京で学習した子息を通じて普通語が浸透してゆくのです。


アジア各国ではチャイナタウンに行くまでもなく経済は華僑が握っていますのでビジネスの世界ではたいてい普通語も通じます。普段はグループごとに広東語、福建語、潮州語なんかを話してますがみんな集まると普通語喋ります。つまり普通語が共通プロトコルになってる。もちろん漢字が古代からその役目を担って来たわけですが、そこに音声も加わり最強言語となった。


アヘン戦争に敗れて停滞した中国は、その原因として複雑すぎる漢字とそれによる識字率の低さをあげた。毛沢東は簡体字とピンインを導入した。しかしスマホでピンイン入力できる今、漢字の壁は越えた。しかもネットでつながるテキストの時代、表意文字である漢字のメッセージ力の強さと効率は驚異的。試しに140文字で比べてみてね。


ただし中国語の漢字には使われるその場の環境によって意味する範囲や時の感覚が異なって伝わることがある。その意味でテキストだけをネットに放つのは、受けとられ方を考えないとね。


まあ言いたいことはネットで世界の垣根が取れて中国語が世界語になったってこと。しかもですよ中国語ができれば4000年のアーカイブにアクセスできるんです。


以上




by zhuangyuan | 2017-07-18 21:08 | 中国関連DVD、本


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