2016年 08月 06日

ブラジルはやっぱりペレ

Pelè 伝説の誕生」鑑賞


想像を超えるスケールの大きな映画でした。ペレの生い立ちだけでなくブラジルサッカー、そしてサッカーそのものの歴史まで、ともすると大航海時代まで視野に入った壮大な物語と言えます。


正直観るつもりはなかったのですが、その日は2つの街で3つの映画に振られ、帰るのも悲しいのでPelèにしました。


私も小学校から大学までは結構真面目にサッカーやってましたし、今も小学生のコーチだったりしますのでペレの偉大さは知っています。でもね俳優がサッカーして、ペレですって言われてもしっくりくるわけないですし、アニメだって上手くできないのに特撮でも無理でしょって。アニメと言えばキャプテン翼がテレビ初放映した時のショボさはわすれられない。ましてやペレですよ。


しかも今ペレってことはリオ五輪便乗というかプロモの一環でしょうからこの点も期待を下げる要因でした。でもなんでオリンピックでペレなんだよブラジル?サッカーワールドカップ決勝のゲストに王貞治を呼んだNHK並みじゃない。


後日ラジオで知ったのですが、実はこの作品はブラジルワールドカップの前に出来るはずが間に合わなかったのだといいます。なんともブラジルっぽいエピソードです。この映画を観ていればブラジル代表のモチベーションが上がって、ドイツに世紀の大惨敗をすることもなかったかもね。この映画ではブラジル代表が背負ってる歴史的役割を再認識できるから。

その2014のドイツ戦ってのはブラジルサッカー史上に残る惨劇と言われてます。なにせ地元開催で17ですから。でもそれよりも大きな悲劇が1950年にあったんです。マラカナンの悲劇。Maracanaço。ワールドカップ決勝リーグがリオのマラカナンスタジアムで行われ、ウルグアイに負けて優勝を逃したのです。


映画はここから始まる。

1950年のこの試合に負けたブラジルは国全体が沈み込みペレの尊敬する父親も落ち込んで泣いてしまう。じゃあ僕がブラジルを優勝させるって。当時10歳。そこから初めてのワールドカップ出場の17歳までを描きます。


ぼくらはペレ以降のサッカー、ペレ後のブラジルしか知らないのですが、ペレ前の世界、つまり王様なしの時代が当然あったわけです。ブラジルは当時まだワールドカップ優勝していないし、マラカナンで敗れたブラジルの個人技優先のスタイルは酷評されてたんですね。ヨーロッパの組織サッカーが優れていると。そして個人技は封じられる。


ジンガ。

ブラジルサッカー独特のステップ。これを抑えられてた。

このジンガの歴史と開放、爆発がこの映画の肝です。


ブラジルは移民国家で他民族混合ですが、多くはアフリカから奴隷として連れてこられた。なかには白人に抵抗し逃亡し山にこもって武装した人たちがいました。いわゆるマルーンです。Maroon。彼らは格闘技も習得し、そのアフリカ由来のカポエイラからジンガが生まれたと。そのステップがブラジルサッカーの魂なのです。


それを欧州サッカースタイルに勝つために封じられる。

でもね、17歳のペレは違うんですよ。ファベーラで育った黒人ですからね。

ジンガを爆発させて大活躍するんです。賢い組織されたサッカーを歴史が宿ったジンガサッカーが打ち破る。世界の歴史を反転させるような意義があったんです。ペレ以前はブラジルサッカーにおいても白人優位だったとは全く知りませんでした。


映画を観る前に、自分よりずうっと若いコーチにメッシとマラドーナはどっちが実力が上だと思うかと聞かれたことがあります。マラドーナの方がずっと好きだがチームのシステムの中で機能するという意味でメッシが上なんだろうねと答えました。この質問は常に繰り返され、ペレとマラドーナ、ペレとクライフなんてみんなが比べたことでしょう。正直言ってペレのプレーを今みるとピンとこないんです。というか理解できていなかった。速い、柔らかい、強い、高い。だけどサッカーのシステムとしてどうなの?って。でもねここが映画の肝だったんですよ。ブラジルはこうじゃなきゃいけない。ロナウジーニョなんかまさに血を引いてますよね。


いやあ面白かった。

で今リオ五輪がまさに始まるのですが

ブラジルはペレなんですよ。

なんといっても。


自慢しますが私ペレの足触ったことありますよ。リアルに。


以上





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by zhuangyuan | 2016-08-06 09:31 | 文化、歴史 | Comments(0)


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