中華 状元への道

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2005年 10月 29日

悠々たる大地

先日、昼時に明るい陽光が差し込むイタリアンレストランでお客さんと早めの昼食をしていました。
とても美味しいのですが広いスペースには他のお客さんはいませんでした。

その方は私の父親と同じ歳ですがよく一緒に食事をします。
話の内容は仕事の話より本の話が多いです。

彼は読書家でいつも本を読んでいますがほとんどは小説。
読んだ本はすぐ人にあげる。わたしもよく頂きます。
ただホントに好きな作家の本は本棚に並べるとのこと。
それは司馬良太郎、山田風太郎、海音寺潮五郎、塩野七生。

この中で私は海音寺潮五郎だけ読んだことがなかった。

そこで私は言いました。
海音寺は読んだことがないですが今気になっている本が一つあります。
それは「美女と黄金」。
私が中国の歴史上で一番気になっている人物は呂不偉。
その人物を海音寺が描いているのを最近知ったと。

すると彼はおもむろにポケットから折りたたんだノートの切れ端を
見せてくれました。

青天かぎりなく
人間いくばくの時ぞ
土を積んで山と為し
山を重ねて嶽となすとも
かの蒼たるものこれは天
笑うにたえたり人間のいとなみ
一壺の酒 一折の飯
至楽なからんや 至楽なからんや
悠々たる大地 白雲閑なり

Vancouverにて


これはその「美女と黄金」に出てくる詩だよと。
出張の時に読んで気に入ったからメモしていつも持ち歩いていると。

なんたる偶然、なんたる縁。
運命というのは大げさですがホントにびっくりしました。

その本を貸してくれるとおっしゃいましたが
辞退してそれ以来、古本屋でその本を探すことにしました。
それは新潮文庫「中国妖艶伝」という短編集のなかの一篇。既に絶版。
以前に古本屋で見たことがありましたが題名から全然興味が湧かずスルーしていました。
探そうとするとなかなか見当たらない。

苦節3ヶ月やっと見つけました。
通っている中国語教室の裏の古本屋。これも縁か?

実は探し出す前日に、彼から聞かれました。
「本は手に入れたかい?まだであればあげるよ。
本棚に飾っても読まないから、読みたい人にあげたほうがいいかなと思って」
「ありがとうございます。是非いただきます。」

こんな会話の翌日に本が見つかりました。ホント縁は奇なもの。

で、その念願の「美女と黄金」を読み終わりました。

秦の中国統一の礎を作った宰相で秦の始皇帝の実の父親かとも言われている大商人呂不偉の波乱万丈の人生がかの詩とともに描かれています。

この詩は呂不偉に人生の道しるべを与えた仙人がたびたび
唄っている詩です。

計4回この詩が登場しますが
回を追うごとにこの詩の意味が胸に沁みこんできます。
青天かぎりなく
人間いくばくの時ぞ
土を積んで山と為し
山を重ねて嶽となすとも
かの蒼たるものこれは天
笑うにたえたり人間のいとなみ
一壺の酒 一折の飯
至楽なからんや 至楽なからんや
悠々たる大地 白雲閑なり


人間の一生は山あり谷あり楽あり苦あり
ただ天を見上げれば雲はいつも青空を流れ行く
人生なんてちっぽけことである。
今を楽しんで生きよう。

是非ご一読を。

以上
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by zhuangyuan | 2005-10-29 09:14 | 中国関連DVD、本 | Comments(6)
Commented by tianshu at 2005-10-30 23:56 x
今は宮城谷昌光の本をよんでいますが,
「美女と黄金」をよんでみたくなりました。
今度探しに行きます。
海音寺潮五郎ですよね
この方の名前は初めて知りました.
ありがとうございます!
Commented by zhuangyuan at 2005-10-31 06:17
宮城谷昌光さんの本は全部長いので買うのを躊躇してしまいます。重耳は読みましたが晏子は2巻まででとまってます。呂不偉を書いた奇貨置くべしも4,5巻ありましたよね。
Commented by tianshu at 2005-11-02 22:07
私は半年前bookoffで「管仲」の上巻を買ってきましたが、今でもその下巻は手に入れていません。
もしzhuangyuanさんは全部買うことにしましたら、将来借りに行くかもしれません(大笑)!

宮城谷昌光さんの想像力に頭を下げますが、もし彼は中国人でしたら、もっとよく書けたではないかと思っています。
Commented by ケイチー at 2005-11-03 17:07 x
宮城谷さんの短い小説もありますよ。
「花の歳月」
きれいな物語です。感動物は好きじゃないのですがこれは淡々とした表現にもかかわらず、泣きました。
長編は「えいやっ!」という気合をいれなくちゃならなくて、手に取るのはためらいがありますが、中篇、短編小説なら気軽に入れますね。
面白すぎると徹夜になってしまって、翌日に響くし。


Commented by zhuangyuan at 2005-11-03 19:30
ケイチー様、ご紹介ありがとうございます。私はまだ本を読んで泣いたことがないので是非トライしてみます。
Commented by ケイチー at 2005-11-04 20:48 x
いえいえ。。。
私は単に涙もろいので。
zhuangyuanさんが泣けるかどうか、保障はできませんよ?


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