中華 状元への道

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2013年 06月 02日

激賞 セデック・バレ

台湾映画セデック・バレ鑑賞。昨年の台湾映画賞グランプリ。

日本統治時代におきた原住民族の反乱、霧社事件を描いた大作。
第一部、第二部あわせて4時間半。

霧社事件とは日本統治に押さえ込まれていた原住民族が
日本警官の暴力事件をきっかけに300人蜂起し、
日本人運動会を襲い、老若男女を問わず約140人を殺害した事件。

この事件を最初に知ったのはこの本。

街道をゆく (40) (朝日文芸文庫)

司馬 遼太郎 / 朝日新聞社



第一部は日本統治開始時から事件勃発まで、
第二部は事件を受けた日本の掃討部隊とセデック族の戦いを描いています。

観る前は私は第一部だけを見ようと考えていましたが
あまりの強烈さに最後まで見なければと思い直し、
二日にわけて第二部まで鑑賞しました。
やはり観なければならない。強烈。

映画冒頭に、霧社事件を題材に脚色したとあるように
史実とは異なることがあるようですが
かならずしも事実そのもので真実が伝わるわけではない。
この映画はフィクションとして民族の葛藤と誇りを激しく表現し、
真実を伝えることに成功していると思います。

日本統治下の反乱というと反日映画かと思うかたもいるでしょうが
そんな単純な構図ではありません。

日本統治の下で管理され鬱屈のたまる民族たちがいる一方で
日本施政下で文明を学び、さらには武士道精神まで吸収する
先進的?優等生もいる。
彼らの葛藤が一番つらい。オレは誰なんだ?
国籍なんてどうでもよい。何を信じればいいのか?

文明ってなんなの?
物質的豊かさを求めるためのシステム?
戦う男たちにとっての豊かさとは?
昂揚する精神?

ただし彼らにもわかるのです。
圧倒的な文明の力が。
戦ったら全滅する。

それでも戦わなくてはならない。
セデック・バレ(真の男)であるために。

日本対原住民族の戦いを通して
世界が文明と触れるたびに繰り返されてきた摩擦と葛藤を映し出してる。

霧社事件は1930年の出来事ですが
日本も黒船来航のころには圧倒的な武力差をみて文明に屈服したわけです。
だけでも吉田松陰は攘夷を鼓舞するのです。

かくすれば かくなるものと知りながら 
  やむにやまれぬ 大和魂


その末に得た文明開化を自己正当化しようと
海外にでていったんでしょう。

大東亜戦争が終わるころだって
米軍に負けるのはわかっていたって
特攻で突っ込んでいったし、
硫黄島では全滅するまで戦った。

この映画で監督は当時の日本を批判するだけでなく
日本敗戦後にやってくる中国国民党政権も暗に批判してるんでしょう。

この映画は原住民の言葉と日本語だけで語られますが
現代の台湾では中国語字幕なしでは理解されない。
同じ台湾なのに。しかも少しだけ昔の。

もちろん中国だけでなく、当の台湾系住民にも批判をしてる。
民族の誇りを忘れるなと。

絶対おすすめです。
台湾山間部の景観もすばらしい。
キャストの目ぢからもすごい。
まさに血湧き肉踊るといったアクションも最高。





監督のウェイ・ダーション(魏徳聖)はこの映画の企画を長年あたためてきたといいます。
wikiによると1996年から。
霧社事件の漫画を見て映画化を思い立ったと。
ただ売れる映画にはなりえないと反対されてここまで時間がかかったそうです。
そのころ作ったデモバージョンはyoutubeにあがってます。
ラジオ「宇多丸のウィークエンドシャッフル」で聞き探してみました。


ちなみに監督が見たと思われる漫画はこちら
なんと日本版もある。(品切れ)

霧社事件―台湾先住民(タイヤル族)、日本軍への魂の闘い

現代書館



今は便利な時代でiphoneアプリで検索してみたら
同じ漫画作家が映画とのコラボで書いたと思われる新しい漫画アプリがありました。
漫畫‧巴萊:台灣第一部霧社事件歷史漫畫
私はipadにダウンロードしました。

以上
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by zhuangyuan | 2013-06-02 23:09 | 中国関連DVD、本 | Comments(3)
Commented by お節介じいさん at 2013-06-06 16:01 x
残念ながら私、この映画を観てないんです。この映画は「霧社事件」を題材としたフィクションとのことですが、時代考証で当時の様子を忠実に再現した映画だそうです。台湾映画とは言え、台詞が外国語(日本語)と少数民族の言葉のみ。一般の台湾人は字幕を見るしかなく、外国映画を観る気持ちだと思います。日本統治時代、日本は武力弾圧で多くの台湾の土着民を殺したそうです。聞くところによると、劇中の出て来る日本人は悪役として描かれていないということなので、私はちょっとホッとしています。台湾は日本植民地時代を経ていながら親日です。その一方で同じ日本統治時代を経験した韓国は、徹底した反日です。朝鮮半島でも3・1独立運動の時、多くの人々が投獄され拷問され殺されました。台湾の親日そして韓国の反日、この違いは一体どこから来るのでしょう。もう少し歴史書をひも解いてみないと、この謎は解けそうもありません。。
Commented by zhuangyuan at 2013-06-08 22:00
お節介じいさん様 台湾人が字幕を見るしかないというのが、監督が表したかった現代台湾への批判なのではないかと考えます。ところでセデックたちが話していた言葉は閩南語には近いのでしょうか?それとももっと昔から存在する言葉なんでしょうか?
Commented by お節介じいさん at 2013-06-09 09:15 x
質問の答:
台湾原住民の言葉は漢語ではないですから、閩南語とは全く別系統の言語です。語族(言語系)から言うと、フィリピン・マレー系の言語に近いそうです。しかし同じ台湾原住民でも各部族ごとに言葉が異なるので、部族が違うと当然言葉が通じません。そこで日本統治時代では、異なる部族及び漢族との意志疎通は日本語だったそうです。台湾は言語的に複雑なところのようですね。私はいま中文教室で閩南語を習っていますが、先生のお父さんは福建系でお母さんが客家系。そのため先生は閩南語と客家語の両方の方言が話せるとのこと。先生は米国に留学経験があり英語がペラペラ。そこで一体、何種類の言語を話せるのか、先生に伺ったところ「北京語・閩南語・客家語・広東語・英語・日本語・韓国語とのことでした。外国人に中国語を教える仕事の関係上、色々な言語が話せるのが当然なのかも知れませんが、それにしてもすご過ぎる。先生を尊敬しちゃいます。その先生とはマンツーマン・レッスンですが、私の希望で日本語は一切使わずに、授業中の媒介語は國語(普通話)で進めてもらってます。
ちなみに日本の日本語学校の先生は、みんな英語ができるとは限らないそうですよ。


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