2011年 02月 05日

蟻族と鼠族と黒灯

先日、元東大学長、小宮山宏氏の講演を聞きました。

今、日本が内需不足に苦しんでいるのは人工物が飽和しているからだといいます。

車でも家でも家電でもある程度行き渡ると飽和して
その時期を過ぎると買い替え需要しかなくなる。

車でいうと二人に一台持ったら飽和。
アメリカもイギリスも日本もみんな同じだと。

家でいうと世帯数で終わり
日本だったら5000世帯だから5,000戸で飽和。
後は買い替えということは
家の耐久年数が50年だとすれば5000戸÷50年=100。
つまり一年で100戸しか売れない。

そこで企業は飽和してない新興国へ市場を求めてゆくわけです。
小宮山先生の話はここから課題先進国としての明るい未来を描いてくれるのですが
私はそんな話を聴きながら、飽和国家日本とはちがい
元気すぎて問題の中国でのマンション投機の話を思い出しました。

中国は飽和に至っていないばかりか
先高を狙った投機マネーが不動産市場に流れ込んでいるので
市場が高騰して止まりません。
政府が何度も規制しようと政策を出しますが勢いは止まらない。

先週、中国語教室で雑誌記事を紹介してもらいました。
网上流行“晒黑灯”(ネットで流行、『真っ暗』を暴きだせ)

見出しを見るだけではなんこっちゃ?って感じですよね。

空室のマンションを見つけて
明かりのつかない夜のマンション写真を公開することが流行っているそうです。

つまり投機用に買って誰も住んでいないマンションを見つけ出し
そんなマンションを開発する不動産会社を非難しようってこと。

中国の不動産バブルは住むためのものではない。
買ったらすぐ転売。建ってもいないうちからどんどん転売。
そもそも住む気なんかないんですから。
でもってどんどん高騰して庶民はまったく手がとどかない。

“中国到底有多少套房子卖了没人住?”
中国ではいったいどれだけのマンションが売れても誰も住まないでいるのか?


電力網会社が電力メーターをチェックしたところ
6540万室が6ヶ月連続で電力使用なしだったそうです。

なんと二億人が住めるスペースが空いたまま。
投機用でほおっておかれているのです。


でもそんなものを写真撮ってネットにアップしたってなんの意味があるかなと思い
中国語の先生に尋ねてみました。

「そんなもの投資した強欲な金持ちがいずれ暴落して損するだけなんですから
ほっておけばいいじゃないですか?」

「そうじゃないんです。住むところがなくて困っている大勢の人がいるのに
投機用住宅がたくさん空室のままになっているのが問題なんです。」

日本でも話題になった蟻族。
大都市郊外に学卒で職のない集団生活者。
アパートの一室に集団で住んでいます。

それに続いて出てきたのは鼠族。
地下に住んでいるのです。

首都北京不断上涨的房租迫使越来越多的人像张和坤一样——像老鼠一样生活在居民楼地下防空洞改造的狭小得像盒子一样的房间里。中国媒体称他们为“鼠族”。

首都北京では家賃が高騰し益々多くの人が张和坤のように鼠のように生活している。
団地の地下防空壕を改造した狭隘な箱のような部屋に住んでいるのです。
中国メディアは彼らを鼠族と呼んでいます。


そんな人たちは北京で100万人、郊外も合わせると450万人いると載ってます。

中国大城市高房租催生“鼠族”


中国の数字は何でもでかすぎて実感がわかない。
でもあの国土や13億の人口ってのが頭にあるとなんかありそうに思えてくる。

白髪三千丈の世界かな。

投機をしてる金持ちたちも空き家がいくらあったって13億って数字があると
いつか売れるでしょっておもっちゃうんだろな。

金持ちはとんでもなく金持ち
でもそのすぐ周りには貧者がうごめく。

こんな状況を杜甫が詠んでると。

朱门酒肉臭,路有冻死骨


【解释】:富贵人家酒肉多得吃不完而腐臭,穷人门却在街头因冻饿而死。形容贫富悬殊的社会现象。

(金持ちの家では食べきれないほどの酒や肉が腐臭を放っているが
貧乏人は路上で食べ物がなく凍死している。貧富の格差を表現している。)

中国語の世界は深い。
こんな言葉をすぐ思いつくようになりたいものです。

以上
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by zhuangyuan | 2011-02-05 18:05 | 時事 | Comments(0)


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