2010年 05月 05日

漢奸と愛国者のわかれめ

先日出張時の飛行機で映画をみました。

風聲
中国映画。

戦争スパイ物をイケメン俳優と美女をそろえてエンターテイメントに仕上げています。

親日政権である汪精衛政権(中国にいわせれば偽政権)に共産党スパイが
入り込んだ。容疑者たちを崖の上の別荘に監禁してひとりひとり日本軍特務が拷問してゆく。

こう書くとえぐいですがイケメン、美女ばかりなのでそう悲惨さは感じません。

普通ですと日本人役は醜男ときまっているのですが
こちらはイケメンです。台湾の人気俳優だといいます。

日本語もかなりうまい。
と思いきや吹き替えだそうです。

中国語がへたくそなのも
日本人の吹き替えのせい?

言葉はともかくみんなかっこよすぎてリアリティがないんです。

漢奸政権に命を懸けて国を救うべく入り込んだ愛国者の共産党員。
それを拷問する日本軍。

ステレオタイプで単純。
そもそもあんなにきれいで金持ちっぽい娘さんや坊ちゃまが
共産イデオロギーを信奉して敵の政権に入り込むなんてのは
ちょっと無理がある。

だいたい中国内の様々な党派対立だって
けっしてイデオロギーが原因ではないとおもう。
もっと現実的な金や生活がかかってどちらかに味方してただけだと思う。

だれもが勝ち馬に乗りたい。
負けたほうは常に漢奸にされちゃう。
売国奴っていつもののしられる。

昨日記事にした

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

加藤陽子 / 朝日出版社

でも戦後、汪兆銘が漢奸として批判されたときの奥さんの言葉が載っています。

「蒋介石は英米を選んだ、毛沢東はソ連を選んだ、自分の夫、汪兆銘は日本を選んだ、
そこにどのような違いがあるのか」

どこにも違いはないんです。
ただ負けただけ。

その点をうまくやりぬけた人もいます。

梅蘭芳。
稀代の京劇俳優。

死ぬまで愛国者としてとおった。
共産党にも入党をゆるされた。

梅蘭芳ー世界を虜にした男ー

加藤 徹 / ビジネス社



戦前から大スターなわけですから
当然時の権力者ともうまくやっていたわけです。

満州事変のその日に張学良が彼の京劇を観劇していたなんて逸話も残ってます。

でもかたよらない。
アメリカ公演もこなし、ソ連も日本も公演します。

でも肝心なときには意志を貫く。
日中戦争のときは香港に逃げ、
けっして日本軍のいうことは聞かなかったそうです。
後付の逸話かもしれませんが。

でもそのおかげで共産中国でも見事スターとして生き残ったのです。

もしかしたら亡くなるタイミングもよかったかも。
文革前に天寿をまっとうしたのです。

以上
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by zhuangyuan | 2010-05-05 19:08 | 文化、歴史 | Comments(4)
Commented by お節介じいさん at 2010-05-08 07:25 x
漢奸と言えば、李香蘭(山口淑子氏)の名前が、真っ先に頭に浮かびます。彼女は実は日本人だったため、中国での処刑を免れて、日本に逃げ帰ることができたという話は、余りにも有名です。当時の中国社会には、かなりの数の漢奸がいたようですね。
私が毎日観ている中国の連続テレビドラマの中にも、漢奸に関する話がありました。「狙撃手」というドラマで、延辺電視台で毎晩8時頃から放送しています。当時、日本軍は国民党軍の中に、内奸(内通者)を送り込んでいたようです。
ところで、今までの中国の映画やテレビドラマでは、日本人を醜悪に、時には滑稽に描いたものが多かったのですが。このドラマでは、日本人の俳優を採用して、日本語の台詞も、ごく自然なので、私はこのドラマを好感を持って、観ています。日本人役をいつも悪役として描いていた今までの中国ドラマですが、最近のドラマは、大きく変わってきたなぁ~と言う感を強く持ちました。
Commented by zhuangyuan at 2010-05-08 21:19
お節介じいさん様 中国の行動には必ず目的があり戦略をもって動いているといいます。ドラマの日本人が醜くなくなったのは日本と仲良くすることが今は得だからなんでしょうね。アメリカと関係が悪いですから。とりあえずいまは日本は抱き込んでおこうと。
Commented by 中国人 at 2010-05-14 11:49 x
当時、蒋介石と毛沢東は中国を侵略していない国を選んだ、 しかし、汪兆銘は中国を侵略している日本を選んだ。
違いないでしょうか???
Commented by zhuangyuan at 2010-05-15 00:32
中国人さま 侵略という観点から見ると確かに違いがありますね。ただソ連なんかは侵略意図が間違いなくあったとおもいます。ただ毛沢東はスターリンの想像以上の大狸だったということです。蒋介石もソ連、日本と迷ったうえでアメリカを選んだんでしょう。


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