中華 状元への道

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2009年 08月 09日

あの頃の東京

私、開高健のファンでありますが
彼が東京について書いたルポがあると知りました。

「ノンフィクションと教養」というムックでいろんな人が推薦してました。
ノンフィクション 勝手にベスト10

ずばり東京 (文春文庫 (127‐6))

開高 健 / 文芸春秋



東京オリンピックを迎える前の
煮えたぎるような暑くて熱い東京の諸相を描いています。
ベトナム行く前ですね。
開高さんも若かったオリンピックの年に34歳。

この頃の東京は今の中国にそっくり。
勢いがあります。
猛烈なペースで都市建設を行い、先進国目指して突っ走っている。
多少のゆがみなんて関係なし。

東京には田舎からの出稼ぎがあふれてる。
山谷で待ってればトラックに拾ってもらえて職にありつける。
宿も安いよ。
そして朝8時から夜7時まで建設現場で働きづめ。

たまには怪我もしますよ。
どっちかっていったら怪我して労災もらえたらめっけもの。
わざと怪我したふりして三年もベッドで仮病を続けたなんてつわものもいたそうです。

カネを貯めなきゃ田舎には帰れない。
出たときと同じ服では軽蔑される。
そんなんではあぜ道であっても挨拶してもらえない。
東京でがっぽり稼いで豪華に着飾って凱旋する。
そうしてはじめて尊敬される。

まさに中国の農民工の姿です。
時代の地響きが聞こえるようです。

一方都会の農民たちは
道路建設や公団住宅のための立ち退きで大金持ちに。
東京にどんどん人が集まってきて土地不足で大暴騰。
農家は農業やめてアパート経営。
農協に集まった成金長者がほとんど農業やっていないことも。

そんな成金農家の全国ナンバーワンは練馬区の農家だったそうです。
わが町練馬です。これにはびっくり。

もうひとつの成金である産業界もルポしてる。
資本主義の総本山、工業倶楽部。
会員である経営者たちの姿はというと

英国紳士然としているが
哲学なし、信念なし、道義なし、ものを考える能力もなければ、時間もなく、意見は秘書任せ、
やってるのは人と会って忙しがっているだけ。
ゴルフも宴会も車も豪邸もすべて会社の金。

ぼろくそです。
こうした人たちが歴史を振り返ったときに名経営者とあがめられているのです。

経済成長がすべてを成功にみちびき美化してしまうのでしょう。

こうして東京オリンピックを迎えたのです。
北京もいまこんな感じなんでしょう。

オリンピックの工事で死んだ人の数が挙げられています。

高層ビル   16人
地下鉄工事  16人
高速道路   55人
モノレール   5人
東海道新幹線 211人
合計       303人

こうして轟音とともに高度成長が達成されたのです。
そして何がのこったか。

がむしゃらに進んでいるときが一番いいかもしれません。
その後の日本はこんな感じ。
夢破れて40歳

以上
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by zhuangyuan | 2009-08-09 17:28 | 中国関連DVD、本 | Comments(2)
Commented by rorobird at 2009-08-10 15:15
こんにちは。
先日、上海万博会場の工事現場を道路から眺めました。
飯場のプレハブと、浙江省の田んぼの中に建つ農民工の豪邸が頭の中で重なりました。

各省からはるばるやってくる団体旅行の勢いもすごい。
かつての日本の農協観光ですね。

状元さんの文章はどんどん中身が濃くなっていて敬服します。
豊富な読書と経験に裏打ちされた記事がいつも楽しみです。
Commented by zhuangyuan at 2009-08-11 21:17
rorobird様 中国行っていらしたんですね。先に豊かになるレジャー組みとそれを支える建設労働者って構図も当時の日本といっしょですね。文章について過分なお言葉を頂戴しましたが今回の記事は開高さんの文章を編集しただけなんでなんともお恥ずかしい限りです。この本はおすすめです。


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