2009年 08月 01日

リストラの果てに 

中国で恐ろしい事件が起きました。

リストラを発表した会社社長が3000人の労働者に囲まれ
殴り殺されてしまいました。
吉林省でリストラ抗議デモ暴徒化、社長を撲殺

何がそんなにショックかといいますと
私が身をおく鉄鋼業界の出来事だからです。
通化钢铁公司劳资冲突 一人死亡 百人受伤(通化鋼鉄にて労使衝突で一人死亡 百人負傷)

更に私はつい先日、この会社の北京本部に訪問しているのです。
地方に出資した工場がたくさんあり利益を上げ始めたと誇らしげに語っていました。

民営企業が地方の国有企業に出資し
経営者を送り込み、リストラを行って体質改善を行う。
これは世界では普通のことですが中国では簡単にはいきません。
抗議のデモならわかりますが殴り殺しちゃうんですから恐ろしい。

これでいろんなことがわかります。
まず労働問題=失業問題は社会不安のキーファクターであるということ。

中央政府はとにかく雇用不安を恐れ景気刺激を行っていますが
この重要性がよくわかります。
職を失った群衆は暴徒と化すのです。

もうひとつは
国有企業は効率がめっちゃ悪い。
3万人の従業員を5000人にするというリストラ策が取れるほど
なんもしてない人がたくさんいるのです。
別に景気が悪くて生産量が落ちている状況ではありません。
たくさん造っている状況下でも人を減らせる状況なんです。

実際多くの国有企業は地方経済のみならず
地方の社会福祉まで担っています。
家族まで丸抱えで世話してます。

それを合理的な効率経営を志せば、
人はいりませんってことになる。

今週お会いしたある欧州貿易会社のアジア代表も言っていました。
中国の国有企業はオフィスになんにもしていない人がたくさんいると。
そこでその会社の幹部に聞いてみたところ
失業して外で騒がれるより、大した給料ではないのだから雇っておいたほうがよいとの答えだと。
正に社会福祉です。

中国政府は今年初め盲目的に増産を続ける地方都市の鉄鋼会社に対し
生産量を抑制するよう通達を出しました。

理由は供給過多になり企業収益が悪化するのを抑えることと
輸入する資源(鉄鉱石)の暴騰を抑え、鉱山会社との交渉を有利にすすめるため。
もうひとつはおまけで環境保護も挙げられています。

違反したら罰則もあるんです。
融資をしない。
電力をとめる。
水も供給しない。
かつてないほど厳しい通達でした。

ただそれを発表したときにいろいろヒアリングしてみてわかったことは
これは効果を挙げないということ。

地方鉄鋼会社は地方の経済の柱であり
多くの労働者を雇用している。

よって地方政府は中央のいうことを聞かない。
もし強制執行したら暴動がおきるだろうといっておりました。

今回の事件で
それが本当であることがよくわかりました。

労働者は怖い。
さすが共産主義国家。

以上
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by zhuangyuan | 2009-08-01 17:51 | 時事 | Comments(2)
Commented by お節介じいさん at 2009-08-07 14:27 x
労働者は怖いと言いますが、これは共産主義国家に限ったことではないです。最近のニュース報道で、韓国で、ある自動車工場の労働者が、リストラに抗議して、機動隊と派手にやりあっている光景を見ました。韓国人には活力と反抗精神があります。羨ましいですね。それに比べて、日本の労働者は女々しいです。デモもなければ、ストライキもない。日本人って、「長いものには巻かれろ」で、現状にすぐに甘んじてしまって、不満があっても、我慢してしまう。苦労して納めて来た年金が消失しても、みんな黙って抗議もしなければ、暴動も起きない。日本人って、従順でコントロールしやすい民族なんですよ。ちなみに、私が納めた年金も、かなり消えているようです。日本是騙人的國家。我恨不得離開這里。
Commented by zhuangyuan at 2009-08-09 16:37
お節介じいさん様 確かに韓国も凄いですね。以前韓国最大の鉄鋼会社の製鉄所で人質とって何日間も立てこもったことがありました。北の影響を受けた専門組合員が扇動してるって話もありますね。韓国労働問題も地域問題とイデオロギーが絡んでてややこしいですね。おかげで日本企業はずいぶん撤退しました。日本の場合最近は労働問題より無気力問題のほうが深刻なような気がします。


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